2009年10月19日

暫定路北延伸供用に大反撃 10・11三里塚 空港を切り裂くデモ

週刊『前進』06頁(2412号4面1)(2009/10/19)

暫定路北延伸供用に大反撃
 “現闘本部を実力で守る”
 10・11三里塚 空港を切り裂く長蛇のデモ

 空港ど真ん中に食い込む畑

 この日は快晴に恵まれ、全国からの仲間たちが色とりどりの旗やのぼりを掲げ、会場の東峰の畑を埋めていった。初参加の若者が多い。
 前方では暫定滑走路への着陸機が轟音(ごうおん)を発して横切り、後方では東峰の森を破壊して造られた東側新誘導路を飛行機がひっきりなしに走行している。異様な近さだ。この畑そのものが、欠陥空港のど真ん中に深々と食い込んだ闘争拠点なのである。
 司会を萩原富夫さんと太郎良陽一さんが務め集会が始まった。森田恒一さんの「敵の心胆を寒からしめる闘いを!」との開会宣言に続き、北原鉱治事務局長が主催者あいさつに立った。「30年前に完成していなければならない空港が、半分しかできていない。国家への怒りがこの空港を包囲しているからだ。勝てます。追い込んでます」と廃港の展望を力強くアピールした。(北原事務局長ら4氏の発言要旨は別掲)
 萩原進事務局次長が基調報告を行い、三里塚にかけられている攻撃の数々を根本的に批判し、実力闘争への決起を満身の怒りで訴えた。「今闘わずしていつ闘うのか!」との呼びかけに、会場から「そうだ!」の声が飛んだ。

 市東さんの決意に拍手と歓声

 反対同盟の気迫にこたえて、動労千葉の田中康宏委員長が特別報告に立った。三里塚43年の不屈の闘いが、国内はもとより全世界でも類例のない素晴らしい闘いであり、三里塚闘争への連帯において労働運動の質が問われることを強調した。そして正念場を迎えた国鉄1047名解雇撤回闘争の意義を訴え、11・1全国労働者集会への大結集を呼びかけた。
 続いて関西実行委の永井満さん、山本善偉さんが発言した。
 さらに闘う農民が壇上に並び、民主党農政を鋭く批判しながら、市東さんの農地をともに守りぬく決意を表した。この中で事務局の鈴木謙太郎さんが、裁判が重大局面を迎えたことを訴えた。
 市東孝雄さんは裁判支援の人びととともに登壇し、「廃港までともに闘いましょう」と農地死守の不動の決意を表し、ひときわ大きな拍手と歓声が送られた。続いて市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会などの代表が、ともに闘うと発言した。
 婦人行動隊の鈴木加代子さんは、北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんの逝去をいたみ、新たな闘いの決意を述べた。
 続いて反対同盟顧問弁護団が壇上に並んだ。葉山岳夫弁護士は、現闘本部裁判と市東さん農地裁判で敵を追いつめていることを報告し、裁判支援・傍聴へのこぞっての参加を呼びかけた。
 カンパ・アピールに立った婦人行動隊の宮本麻子さんは、東側誘導路建設による東峰の森破壊に怒りをぶつけた。
 住民団体・共闘団体の発言では、婦人民主クラブ全国協議会が天野美恵さんの闘争写真の横断幕とともに登壇し、遺志を引き継ぎ、北富士・三里塚の勝利を労働者階級の闘いと一体でかちとる決意を表した。さらに、部落解放同盟全国連、闘う障害者の代表などが発言した。
 全学連の坂野陽平委員長代行は、民主党政権への幻想を振りまく体制内勢力を断罪し、法大闘争の勝利と11・1への大結集で主流派へ躍り出ることを宣言した。
 集会宣言を野平恫一さんが読み上げ、最後に北総大地を揺るがすガンバロー三唱を行った。

 デッチあげで1人不当逮捕

 ジェット機の爆音が頭上数十㍍から覆いかぶさってくる中、反対同盟を先頭に空港を切り裂く長蛇のデモが出発した。東側誘導路に囲まれた東峰部落を通り、市東さん宅前から団結街道へ。その勢いに圧倒された警察・機動隊は突如デモ隊に襲いかかり、労働者1人を暴行を加えて逮捕した。許せない! 封鎖された現闘本部前では成田治安法での封鎖を告知する看板が「国土交通大臣・前原誠司」の名で更新され、民主党政権への怒りをかきたてた。
 デモ到着地は現闘本部横の市東さんの畑だ。きれいに手入れされた黒い土を目の当たりにした参加者は「農地死守」の戦闘宣言にこたえて決起することを誓った。