2009年10月19日

〈焦点〉 オバマは戦争の元凶 「ノーベル平和賞」の茶番

週刊『前進』06頁(2412号5面2)(2009/10/19)

〈焦点〉 米帝オバマは戦争の元凶
 「ノーベル平和賞」の茶番

 米大統領オバマによる「核廃絶プラハ演説」や同大統領のノーベル平和賞受賞の茶番劇にもかかわらず、アメリカ帝国主義の現実の世界政策は、核戦争を含む世界的な戦争の危機を恐るべき速さで拡大している。
 広島市の秋葉市長や一部の被爆者団体などがオバマの受賞を歓迎するコメントを出し、「労働運動内部の資本家の手先」である連合中央が、まるでオバマを平和の使者のように扱って被爆地訪問を要請する(8月)など、労働者人民の階級的反撃の矛先を鈍らせる役割を担っていることは、実に許し難い問題である。
 オバマの「核軍縮」なるものは完全なウソだ。現在、世界に核弾頭は2万5千発以上存在すると言われるが、その95%はアメリカとロシアが保有している。オバマはロシアとの「核兵器削減交渉」で「2千発以下」の核弾頭を削減するというが、耐用年数の過ぎた弾頭の一部を廃棄して「核軍縮」とは、あからさまな欺まんだ。そもそもオバマ「プラハ演説」の核心が「効果的な核戦力の維持(と使用)」にあることは、世界のブルジョアジーにとっても常識だ。
 現にオバマ政権の正体は、アフガニスタンへの侵略戦争の拡大で露呈している。オバマは今年6月、イラク都市部からの撤退を余儀なくされた直後から、アフガン侵略拡大方針を鮮明にし、「テロリストの拠点」と勝手に決め付けたパキスタン北西部への度重なる爆撃を含め、無数の殺戮(さつりく)作戦を強行している。オバマは最近も「米国への脅威は世界の隅々から来ている。すべてのテロ拠点を打ち壊していく」と演説(6日=ワシントン)、泥沼化した戦況への支配階級内の動揺をも押し切り、アフガンへの3万人を超える大規模増派を決定した。米軍現地司令官はさらに4万人増派を要求している。兵力の漸次投入という、絵に描いたような“ベトナム化”だ。石油資源の支配という一点で、米帝は何がどうあろうと中東地域から撤退できないのだ。
 オバマの「核軍縮」なるものは、この米帝の世界支配の崩壊的な危機を、最終的には核戦力に依拠して突破しようとする絶望的な戦略なのだ。米帝は、アジアや中東、南米などで、第2次世界大戦後の侵略戦争だけで1千万人を超える虐殺に手を染めてきた歴史がある。怒りは完全に臨界点を超え、01年9・11ニューヨークの反米ゲリラ戦を生みだし、イランや北朝鮮などでの対抗的「核開発」に発展し、さらにはイスラム復興運動が核保有国パキスタンの軍部に迫るという現実まで生み出した。これに対する“封じ込め”と先制攻撃を正当化するロジックこそがオバマの「核軍縮」なのだ。
 ロシアが「地域戦争でも核先制使用を認める」新軍事ドクトリンを発表(10・15)したことは、このオバマ戦略への対応だ。帝国主義の世界支配の破綻は、米帝オバマ体制の下で、核戦争へのハードルを限りなく低めているのだ。
 11月中旬のオバマ来日が決定した。闘う労働者人民は断固としてこれを弾劾しなければならない。オバマを先頭とする世界大恐慌下の戦争と大失業攻撃を根底から粉砕する道は、プロレタリア世界革命勝利への闘いだけである。