2009年11月12日

〈焦点〉 経団連が道州制など提言

週刊『前進』08頁(2414号7面3)(2009/11/12)

〈焦点〉 経団連が道州制など提言
 民主党政権に必死の接近

 10月26日から臨時国会が始まった。沖縄米軍基地問題や日本郵政の新人事、社保庁1千人首切り、日航の大量リストラ計画、対北朝鮮の臨検法制定策動など、民主党・連合政権の反労働者的正体は一層あらわになりつつある。
 個人資産14億円の鳩山の「友愛」という歯の浮くような美辞麗句のもとで進んでいることは、労働者人民に一切の犠牲を押しつけて日帝支配階級・ブルジョアジーが延命するための政治だ。「東アジア共同体」構想と「道州制」推進はその最たるものである。
 民主党政権が何よりも連合に依拠した政権であることをもって、「経団連の役割は終わった」というような論評もなされているが、それは民主党のブルジョア政党としての階級的本質を見ない浅薄な議論だ。日本経団連は自民党政権の崩壊に大打撃を受けたが、今や民主党政権との結合に全力をあげている。経団連会長・御手洗は、手のひらを返したように鳩山民主党政権に接近し、「世の中は百八十度変わった。世の中が変われば(経団連の)方針も変わるんです」と開き直っている。また民主党の側も、日本経団連との新たな関係づくりに動いている。
 10月20日、日本経団連は3本の提言を打ち出し、鳩山政権に提出した。①「改めて道州制の早期実現を求める」、②「安心で信頼できる社会保障制度の確立に向けて」、③「危機を乗り越え、アジアから世界経済の成長を切り開く」——の3本である。
 ①の提言で経団連は、道州制を「グローバルな競争」にかちぬくために「国家百年の大計のもとで行われる大改革」であると位置づけ、「具体的な成果を早期にあげるよう、政治の強いリーダーシップを期待する」と述べている。その核心は「民主導の経済社会運営」であり、国鉄分割・民営化型の大量首切り、労組解体攻撃だ。
 ②の提言の核心は、社会保障制度の解体と消費税率の大幅引き上げである。③は鳩山の「東アジア共同体」と軌を一にした新「大東亜共栄圏」構想だ。
 御手洗ら経団連幹部は、この提言をもって早速23日に原口総務相と懇談し、「道州制の早期実現」を要請した。これを受けて、もともと道州制推進論者である原口は、タスクフォース(作業部会)をつくって道州制導入を検討することを約束したのである。
 このように民主党政権と日本経団連(日帝ブルジョアジー主流)は、矛盾と危機をはらみながら新たな結合を追求しつつある。ここで重大なことは、連合が両者を結びつける役割を果たそうとしていることだ。官房長官・平野(電機連合)や経済産業相・直嶋(自動車総連)など、入閣した連合幹部がその先兵となっている。
 「東アジア共同体」も「道州制」も、日帝にとってその実現はけっして容易でない課題だ。労働者階級が真正面から反撃に立ち上がるならば、日帝の階級支配を破綻させ、革命的激動に転化できる鋭い激突点だ。その最先端の攻防が国鉄1047名解雇撤回闘争である。労働者階級を裏切り、日帝ブルジョアジーと結託する帝国主義的労働運動=連合本部を打倒し、プロレタリア革命の勝利に向かって闘おう。