2009年11月12日

民主党・連合政権成立に動転し屈服する志位 日共9中総

週刊『前進』08頁(2414号7面4)(2009/11/12)

8・30情勢、民主党・連合政権成立に動転し屈服する志位
 日共9中総は何を示したか

 「国鉄1047名解雇撤回」と「国際連帯」を軸にかちとられた11・1全国労働者総決起集会の大高揚の対極で、労働者階級の闘いを抑圧し、資本主義の救済にきゅうきゅうとしているのが日本共産党スターリン主義である。彼らは労働者階級の怒りで自民党支配をたたきつぶした8・30情勢に恐怖し、動転している。彼らは革命の前進に真っ向から敵対して、自らを「建設的野党」と称して民主党・連合政権を翼賛している。この日共反革命を粉砕することは、プロレタリア革命にとって不可欠の闘いである。以下、日共24回大会第9回中央委員会総会(10月13、14日)での志位委員長の「幹部会報告」を中心に批判する。

 8・30で綱領的破産を露呈

 日共は、9中総を開き、総選挙総括と民主党政権に対する態度などを論議し、来年1月に第25回党大会を開催することを決定した。
 9中総で示されている第一のことは、8・30情勢、民主党・連合政権成立に日共中央が大動転していることである。
 今日の世界大恐慌の情勢、そして自民党政権崩壊の8・30情勢、この中で日共の路線の破産性が浮き彫りになり、その存立が問われる危機に直面している。
 日共は、そもそも今日の世界情勢をどう見るのか、という時代認識の根本において、完全に破産している。世界大恐慌下で、資本主義はもはや立ち行かなくなっている。資本主義の最後の延命策であった新自由主義が行き詰まったことは、日共がこれまで掲げてきた「資本主義の枠内での改革」など不可能だということを教えている。
 だが、日共は今日の危機を覆い隠し、「ルールある経済社会」を目指すことが資本主義の再建策としてあり得るかのように宣伝している。だから、志位の「幹部会報告」でも今日の情勢、資本主義・帝国主義の危機についてまったく触れることができない。
 第二は、オバマを礼賛し、民主党・連合政権に屈服していることである。
 今春、オバマのプラハ演説(「核兵器のない世界」)を絶賛する書簡を送った志位は、9月24日の国連安保理首脳級特別会合(オバマが議長)の決議を「核兵器のない世界への前進の一歩」として「歓迎」している。
 支配階級の頭目どもの会議で、世界の平和がつくられるというとんでもない思想だ。現にアフガニスタンで、イラクで人民虐殺を強行している帝国主義強盗に対する美化を許すことはできない。
 また、鳩山が9月の国連演説で「温室効果ガス25%削減」「核廃絶」「東アジア共同体」などを提起したことを歓迎し、褒めたたえている。
 民主党政権は、「対等な日米関係」や「東アジア共同体」などを掲げて、対米対抗性を打ち出しているが、日共はこれを後押しするスタンスで臨んでいるのだ。
 そもそも民主党政権はブルジョア政権であり、また連合と結託し帝国主義労働運動の力で労働者階級の決起を抑える反革命政権である。
 ところが日共は民主党・連合政権の階級的規定をまったく行わず、自らを「建設的野党」として補完的に位置づけているのである。
 志位は民主党政権を「過渡的政権」として、「日米安保中心の政治、財界・大企業中心の政治からの転換」の過渡であるかのように美化し、協力・加担している。
 日共の言う「建設的野党」とは、資本主義の崩壊をくい止め、労働者の闘いの前に立ちはだかるという意味である。日共は民主党・連合政権の道を掃き清め、協力している存在だ。

 道州制=360万首切りに協力

 第三は、道州制攻撃、360万人首切りの攻撃に完全に協力していることである。
 9中総報告において、志位は労働運動についてまったく言及していないが、連合と結託した民主党政権が成立したもとで、このこと自体が驚くべき屈服であると言わなければならない。
 全労連公務部会は10月17日、「新政権下での道州制・地方分権『改革』について考えるシンポジウム」を開いた。だが、そこでは公務員360万人いったん全員解雇・選別再雇用という国鉄分割・民営化以上の首切り・労組破壊の大攻撃であることはまったく問題にされず、労働組合の主催なのに、道州制反対が労働運動の課題として位置づけられていない。「自治体労働者=全体の奉仕者」という「公僕」論に立って、住民サービスの観点から問題にしているに過ぎない。それは、道州制に本質的なところで屈服・加担していることなのだ。
 郵政民営化に対する態度も同様、すべては住民サービスの観点から論じられるだけで、労働者の「郵政民営化絶対反対」の階級的闘いに真っ向から敵対している。
 日共の最大の裏切りが、動労千葉を排除し、国鉄1047名闘争に敵対し、解雇撤回を投げ捨て「政治解決」をお願いする4者4団体の策動だ。その中心に日共=革同がいる。国労西日本エリア本部=革同は「不当労働行為があっても解雇は有効」という鉄建公団訴訟控訴審の3・25反動判決を全面賛美している。日共は、国鉄分割・民営化攻撃、1047名解雇撤回闘争解体攻撃の先兵だ。
 日共はまた、日共の影響力があるJAL(日本航空)の労働組合で首切りに沈黙と逃亡の姿勢を示している。また、社保庁労働者に対する1千人首切り攻撃にも完全に屈服している。
 今日の大恐慌・大失業攻撃に日共は階級的に対決するのではなく、むしろ資本と対決して職場で闘うことを抑圧し、日共の国会議員が経団連や企業の経営者と会見して申し入れる、あるいは裁判に訴えることをもって代えている。彼らは、労働者の生きるための自己解放的な決起を何一つ中心に据えず、抑圧する側に立っているのである。
 その上で、志位は「国民要求にもとづく闘い」を進めるための「二つの留意点」を挙げている。一つはJA(全国農協中央会)や日本医師会、さらに保守系の自治体首長、議員など、これまでの自民党の支持基盤との共同の条件が広がっているとして、「視野を大きく広げて」共同の闘いを広げよう、と述べている。労働運動についての言及が報告全体で皆無であることを併せて考えると、日共が階級的な闘いを抑圧して右へウイングを広げていることは明白である。
 いま一つは、「国民要求実現には、財界・大企業の抵抗と圧力を打ち破る世論と運動が不可欠である」ということを挙げている。これは労働者階級の資本との闘いを進めることかと言うと、まったくそうではない。「労働者派遣法の改正、温室効果ガスの大幅削減」などに抵抗している経団連に「大企業としての社会的責任を果たさせる」と言うのである。ここでも「資本主義の枠内」を守ることが強調されているのだ。

 労働者の信頼失い党勢後退

 大恐慌・大失業と戦争の時代を闘い抜く階級的労働運動は、日共スターリン主義を打倒し、解体することで前進することを確認しよう。
 日共は21世紀に入ってからの衆院選、参院選、都議選において得票率、議席を連続して減らし続けている。志位は前回選挙の9議席を今回維持したことで「善戦・健闘」と強弁しているが、一方で4年前の党大会より日刊紙3万余、日曜版15万余を減らしている。来年1月の大会までにその水準を回復しようと呼びかけているが、4年間に減らしたものを3カ月で回復できるわけはない。
 「宣伝戦でも組織戦でも、掲げた目標に及ばなかった」「(その根本原因は)この総選挙が、私たちが実力をつける途上での選挙だった」「私たちの自力がまだ足りません」ということが「最大の教訓」だと言うのだ。
 ともあれ、日共は議会主義党として路線的に完全に行き詰まっている。
 根本的には、日共は労働者階級こそがこの社会を運営することができる階級であるというマルクス主義の基本精神に敵対している党派であることに問題があるのだ。労働者階級の力を信頼せず、階級性を抜き去った単なる一票に局限し、抑圧しているのである。したがって労働者階級の信頼を獲得し得ず、長期低迷を続けるしかない。
 日共9中総では、道州制も民営化も労組破壊との闘いも、何一つ言及されない。民主党・連合政権によって労働運動が圧殺されようとしていることも問題にされない。
 彼らは逆に、労働者の職場から闘いが爆発することを恐れ、それを抑圧し、議会主義的枠内に閉じこめようとしている。つまり日共は、プロレタリア革命を絶対阻止するという意識性をもって労働者の闘いの前に立ちはだかっているのである。彼らはスターリン主義反革命であって、単なる日和見主義ではない。歴史的にも労働者の階級的闘いを圧殺するためだったら何でもやる党派だ。
 われわれは、日共と闘い勝利する決定的武器を綱領草案として、革共同25全総で確立した。この道を断固進もう。日共を打倒し、階級的労働運動の発展をかちとろう。
(高田隆志)