2009年11月23日

投稿 日航の年金削減問題 日航OB

週刊『前進』06頁(2417号4面4)(2009/11/23)

投稿 日航の年金削減問題
 労働者の責任にするな
 日航労働者OB 渡辺 勉

 今度の年金問題について考えたのですが、われわれがすべてをひっかぶって全責任を負わなければならないなどという話はとんでもありません。
 まず国土交通省の責任です。国際国内を問わず、路線の「許認可権」は全部国交省がにぎって、会社はナショナルフラッグの美名のもとに、国際線だけでもやれニューヨークだロンドンだと勝手に決められて飛んでいたのが実情ではないでしょうか。国際信義上、不採算路線だからといって、会社の一存で勝手に切れなかったのが実情ではないでしょうか。
 これが国内線になるともっと最たるものになります。国交省は1県1空港なる「空夢」を見て、自民党の土建屋政治家と一体となって利権にまみれて、航空会社の実情などはほったらかしで採算などはまったく考えずバブルに走り、県の圧力に押され航空会社への「許認可権」を振りかざして、空騒ぎをしました。その結果が、国際国内を問わず会社の惨状となっているのです。
 だから、前原を始め国交省には、自らの責任を棚にあげて一民間企業に対して偉そうなことを言う資格はありません。まず、自ら百パーセント反省しろと言いたい。
 次に経営陣の責任だが、国に振り回されたとはいえ自らの主体性を主張できず、過去未来永劫(えいごう)に役人さまさまでいた責任は厳しく問われなければいけない。いい大人が「子どもの使い」ではないのだから、自分たちの主体性を最後まで言えなかった責任はきわめて大きい。大人ではないのかと言いたい。
 最後にわれわれの「責任」であるが、われわれも、無責任経営者のもとで自らの賃上げ、一時金要求などで闘ったものの、経営陣の無策ぶりを追及できなかった責任の一端が百パーセントないとは言えない。それは労働者としても反省しなければならないと思う。
 しかし、上記の問題はすべて、国および会社に根本原因があるのであり、被雇用者の立場であったわれわれに、国、会社と同等の責任を押し付けるのは間違っている。
 だから今度の年金問題も、日航労働者があたかも加害者であるかのようにいう世論もマスコミも間違っている。年金問題さえ片付ければ、すべてはバラ色になるなどというのは、大幻想だ。これでは、「弱いものいじめ」の最たるものだ。
 ゆえに、私は、銀座でも渋谷でもどこでもいいが、本当の実情、現状を世論にアピールするために、デモを敢行することを提案します。世論は、ビラを配っても、「何この『ぜいたくデモ』」と言って一蹴するかもしれない。しかし、現役とは違って、ストライキを打てないわれわれOBが世論に訴えるにはこれしかない。確かに、実情を知らない右翼が来るかも知れない。それでもやる価値はあると思う。
 全国年金者組合などもあるが、大中小をふくめて、今ここでわれわれが「防波堤」にならなければ後は推して知るべしとなると思う。