2009年12月 7日

正義が権力を圧倒 「共謀」砕き検事に大敗北強いる

週刊『前進』08頁(2419号2面4)(2009/12/07)

国鉄闘争の正義が権力を圧倒
 「共謀」砕き検事に大敗北強いる

 11月27日、東京地裁刑事第10部(植村稔裁判長)が下した国労5・27臨大闘争弾圧裁判の判決は、5・27被告団の勝利を歴史に刻むものになった。判決は、暴力行為等処罰法は適用できないとし、被告の間に共謀があったことも否定した。
 その結果、国鉄闘争支援者の向山和光被告は無罪をかちとった。他方、判決は、刑法の暴行罪は成立するとして、国労組合員の富田益行被告に60万円、羽廣憲、東元の各被告に40万円、橘日出夫、原田隆司、小泉伸の各被告に20万円の罰金刑を言い渡した。ただし、「未決勾留日数を1日5000円に換算して刑に算入する」としているため、実際の罰金額は各被告ともゼロとなる。これは、実質的に無罪判決に等しい。
 東京地裁は、被告団の闘いに追いつめられながらも、被告をあくまで有罪にするという政治的意図に基づいて、こうした判決を出したのだ。だが、それは被告の闘志を一層打ち固めただけだ。
 この勝利は、国鉄分割・民営化と人生をかけて対決してきた被告団の闘いの正義性が、裁判所を徹底的に追いつめたことよって実現された。1047名の一人である羽廣被告はもとより、国労組合員の各被告は、国鉄分割・民営化と非和解的に闘ってきた。だからこそJR資本の憎悪を浴び、解雇や不当配属という仕打ちを受けながらも、被告はそれに屈せず、1047名解雇撤回闘争を全力で闘いぬいてきた。4党合意粉砕の闘いの最先頭に立った被告たちは、闘争団を統制処分にかけるために国労本部が強行した02年5月27日の臨時大会を、満身の怒りで弾劾した。
 その闘いに、国労本部と公安警察が一体となって襲いかかったのが5・27臨大闘争弾圧だ。
 被告団は、自身の生々しい闘争史を、被告人質問や最終意見陳述で全面的に説き明かし、裁判官に突きつけてきた。その迫力が、この判決を引き出したのだ。国鉄闘争の正義性と被告の労働者魂は権力を圧倒しきった。
 判決は、国鉄分割・民営化によって1047名が首を切られた過程や、政治解決路線をとる国労本部が権力と資本に屈して解雇撤回闘争を裏切っていった過程、5・27臨大の議案の内容や、同大会に際し国労本部派が国労共闘を先頭とする反対派を告訴する目的でビデオカメラを準備した事実などを詳細に認定した。そして、「(被告の)ビラ配布・説得活動自体は憲法28条の保護のもとにある」と認めざるを得なかった。被告団の陳述と弁護団の弁論は、そこまで裁判所を追い込んだ。
 判決がこうした認定をした以上、7被告全員に無罪が宣告されてしかるべきだ。だが、東京地裁は、「被害者」と称する本部派組合員の証言やビデオ映像から暴行は認定できると決めつけて、6被告を有罪とした。検察側立証の破綻を逐一指摘し弾劾しきった弁護団の弁論を具体的に検討して反論することから、裁判官は逃げまくったのだ。
 他方で判決は、被告の行為を「ビラを受け取ろうとしないなどの本部派組合員の態度に立腹した結果」とし、本部派の対応にもみ合いの原因があったことを認めている。そして、各被告の「暴行」は「その時々の状況に応じた各実行犯の判断に基づくもの」として、共謀があったとする検察側の主張を退けた。また、「各被告の暴行が多衆の威力を示して行われたと認定することはできない」として、暴処法の適用も否定した。
 これは、向山被告を「首謀者」に仕立て、本件を「中核派の組織的犯行」にデッチあげた検察側の主張が完全に崩れたことを意味している。
 非転向を貫き団結を固めた被告団の闘いは、弾圧に込められた敵の狙いを粉砕し、戦前来の労働運動弾圧法=暴処法を無力にさせた。この勝利を打ち固め、完全無罪戦取へさらに強固に闘おう。