2009年12月14日

障害者総合福祉法粉砕へ 解放運動の解体狙う

週刊『前進』06頁(2420号6面3)(2009/12/14)

「障害者参加」で民営化を推進する
 障害者総合福祉法粉砕へ
 障害者解放運動の解体狙う改革推進本部

 12月8日の閣議で「障がい者制度改革推進本部」の設置が決定された。鳩山首相を本部長に平野官房長官と福島瑞穂特命大臣(障害者施策)を副本部長にすえた。この本部設置は社民党をつなぎ止め、同時に20人とされる参与(非常勤公務員)のうち過半数に民間障害者委員を登用し、既存障害者団体幹部を民主党・連合政権に取り込んで、戦争・改憲、民営化・労組破壊の上に道州制、社会保障制度解体をあくまでも貫こうとする攻撃だ。派遣村村長の湯浅誠を国家戦略室の参与に投入したことと同じである。DPI(障害者インターナショナル)・JIL(自立支援センター)幹部で弁護士の東俊裕が障害者として事務局長に内定している。
 労働者階級は、障害者とともに自民党政権を打倒し、国鉄1047名解雇撤回闘争を軸に新自由主義攻撃と闘い、長妻厚労相の自立支援法撤回表明にまでこぎつけた。しかし長妻はいまだ自立支援法の廃止を打ち出さず、「4年がかりのスパンを見てくれ」とごまかしている。
 今年の10・30障害者自立支援法撤廃集会においても、主催者の政権頼みという大裏切りに直面したが、1万人の参加者は国鉄1047名解雇撤回−11・1労働者国際連帯集会の呼びかけに続々と呼応した(門前情宣で国鉄署名230筆、チケット33枚販売)。
 障害者自立支援法は、介護保険制度や支援費制度を助走に2006年に施行された。公務員ヘルパーを廃止し、規制緩和のもと大量の非正規・無権利ヘルパー労働者を生み出した。介護事業の民営化と一体で障害者への1割応益負担を迫り、国庫負担削減と自助努力を強制し、怒りの中で頓挫したのだ。自立支援法廃止の声は、応能負担への回帰ではなく、介護福祉の全額国庫負担化・無料化が当然だとするものだ。労働者も障害者も家族や支援者と一緒に生きていけるだけの社会保障費を含んだ賃金をよこせということだ。
 改革推進本部が飛びつこうとしている障害者総合福祉法はさらなる改悪だ。障害者の応能負担を固定化し、「障害者参加」の名で公務員制度解体=介護事業の一層の民営化を進める。批判が強かった「障害認定区分」を廃止し「支給量決定」を障害者主導で行うという。一般学級にも障害者参加を増やすという。予算が膨大にあるという前提ではもっともらしい。だが実態は「事業仕分け」と同様に労働者の首切り・非正規化、大増税と一部の特権的障害者への権限委譲にほかならない。
 介護認定では「ソーシャルワーカー専門調査員」を新設するというが、起こることはまたぞろ外注化や非正規職増大だ。さらに「社会参加(保障)カード」も導入する。税と年金の一体化をめざし、支払いがなければ年金も医療も福祉も得られないという新たな応益負担の導入だ。
 また後期高齢者医療制度の廃止後の代案である「地域医療保険制度」との一体化すら狙われている。これは、保険料の企業負担や国庫負担をそぎ落として被用者保険(国民健康保険以外の保険)を解体し、個々独立の国保に横並びさせ、地域ブロック内の保険料に応じてしか受給できない仕組みに転換する攻撃だ。
 さらに道州制導入、社会保障丸ごと解体を貫くために障害者虐待防止法や障害者差別禁止法までセットで吹聴している。しかしそれは、障害者問題を一層ブルジョア道徳問題に切り縮め、差別の根本にある資本の雇用破壊や団結破壊と闘わず、労働者階級の解放をとおして障害者の解放をかちとる闘いと思想を粉砕していく攻撃だ。JRの検修外注化阻止決戦を民営化粉砕の先端で闘い、階級的労働運動の復権をかけて障害者総合福祉法粉砕へ総決起しよう!