2010年2月 1日

2・13総決起を 尼崎事故を絶対にくり返すな

週刊『前進』08頁(2425号2面1)(2010/02/01)

1047名闘争勝利・検修外注化阻止へ 今こそJR体制打倒!2・13総決起を
 尼崎事故を絶対にくり返すな

 2・13全国労働者総決起集会は、国鉄1047名解雇撤回を貫き、JR東日本の検修・構内業務全面外注化を阻止する決定的闘いだ。JR東日本の検修外注化攻撃は、鉄道の安全をとことん破壊する。こんなものが強行されたら、首都圏で第2、第3の尼崎事故が起きるのは不可避だ。労働者の未来をかけてJR資本と真っ向から対決し、外注化を絶対に粉砕しよう。

 安全崩壊はすでに臨界点

 2005年4月25日の尼崎事故は、乗員・乗客107人の命を一瞬にして奪った。これは、国鉄分割・民営化体制=JR体制のもとで、鉄道の安全が根本的に破壊されたことを衝撃的に突き出す事態だった。
 だが、JRは安全を一層破壊する外注化・合理化に突き進もうとしている。JR東日本は、08年3月31日に打ち出した「グループ経営ビジョン2020−挑む−」で、駅中ビジネスやスイカ事業など「運輸業以外の営業収益を全収益の4割程度にまで引き上げる」と叫んでいる。鉄道事業をとことん切り捨てるということだ。その戦略的柱に据えられているのが、検修・構内業務の全面外注化攻撃だ。

 運行最優先で350人も虐殺!

 JR東日本はすでに01年から、保線や電力、信号通信など設備部門の外注化に着手している。これによる安全の破壊は、すでに限界を超えている。その上さらに、車両の検査・修繕部門まで外注化されたら、とてつもない事態が起きる。
 保線の外注化で、レールの検査周期は大幅に延伸された。列車のスピードアップが強行される中で、レールにかかる負荷は格段に増えている。にもかかわらず、レールの検査・修理業務はないがしろにされた。
 その結果、起きているのがレールの破断や異常摩耗の続発だ。これは、脱線事故につながりかねない重大事態だ。
 合理化による矛盾のすべては、労働者にしわ寄せされている。
 コスト削減のために業務を外注化し、さらに外注費をたたくという構造の中で、JRの下請け労働者は、まともな安全対策も教育もされないままに無権利・超低賃金で強労働を強いられ、命を奪われている。国鉄分割・民営化以来、350人以上の労働者が事故で殺されたのだ。
 昨年12月20日、東北新幹線上野−大宮間の荒川橋梁付近で、JRの孫請け会社の労働者が事故で命を奪われた。線路の補修工事の終了を前に、高架から資材を降ろす作業中、作業用リフトから重さ約20㌔の鉄製資材が落下し、労働者の頭を直撃した。資材が転落したのは、ゴンドラのロックをかけ忘れたためだ。新幹線の始発が迫る中で、安全よりも作業が優先されていた。
 重層的な下請け・孫請けの中で労働者はバラバラに分断され、時間に追われての重労働を強いられている。JRの保線労働者は「一つの業務を複数の会社で請け負っているから、下請け労働者は、別会社の労働者の安全まで考えられない状態だ」と憤る。
 08年9月には、東北本線・黒磯駅構内での感電死亡事故と、八戸線・侍浜−陸中夏井間での触車死亡事故が立て続けに起きた。以来、JR東日本は「安全・安定輸送の非常事態」を表明したまま、今に至るもそれを撤回できていない。昨年9月10日にも、東北新幹線仙台駅構内で、架線張り替え作業中の下請け労働者が、架線に胸を強打されて死亡した。

 車両の故障は私鉄の11倍に

 送電トラブルや信号トラブルなどによる運休や運行の乱れは日常化している。
 JR東日本はすでに、検修部門の外注化にも部分的に着手している。その結果、総合車両センター(かつての「工場」)では、修繕されるべき個所が修繕されないまま、故障した車両が営業運転に回されるという事態も起きている。
 そうした欠陥が車両センター(かつての「電車区」)での仕業検査で発見され、大事故はかろうじて防がれている。ところがJR東日本は、その仕業検査業務をも外注化しようとしているのだ。
 総合車両センターで働く労働者は、「外注化の結果、ディーゼルエンジンに冷却水のホースとエンジンオイルのホースを逆につなげてエンジンの中を水だらけにしてしまう初歩的なミスさえ起きている」と危機感をあらわにする。「外注会社にはJRからの出向者もいるが、今まで13人でやっていた仕事を10人でやらされ、外注先の労働者に仕事を教える余裕はない」と彼はいう。
 JR東日本の車両故障の発生率は、私鉄の約11倍だ。「運転台には故障のシールが半年以上も張りっぱなし」と動労千葉の組合員は指摘する。
 JR東日本は、動労千葉の破壊を目的に、その拠点である幕張車両センターから仕事を取り上げ、総武快速線電車の検修業務を鎌倉車両センターに移管した。ところが、鎌倉では車両修繕の体制が不十分で、故障したままの車両をそのまま走らせている。

 検査切れ車両が営業運転に

 JRの車両管理能力の低下も著しい。昨年12月には久留里線で、走行距離50万㌔ごとに検査しなければならないという規程を破り、検査切れになったディーゼルカーを走らせていたことが発覚した。外注化が強行されたら、JRは車両をまったく管理できなくなる。
 とりわけ深刻なのは、車輪の「フランジ」と呼ばれる部分が規程値を超えて摩耗したまま、車両が営業運転される事態が頻発していることだ。これは、まさに列車の脱線につながりかねない危険な状態だ。
 1月14日には、常磐線の取手—藤代間で、試運転中の電気機関車が突然動かなくなった。電気機関車が直流区間から交流区間に入った途端に、エンジンが火を噴いたのだ。配線ミスで、1500ボルトの直流が流れるべきところに、2万ボルトの交流が流れたことが原因だった。これは、直接には川崎重工や三菱電機など車両製造会社のミスによるものだが、これらの企業でも派遣・請負という非正規職化が進み、技術継承が断たれている。