2010年2月22日

会長選挙の危機と破産 「めざす会」が声明発表

週刊『前進』06頁(2428号6面2)(2010/02/22)

「司法改革」を葬り去ろう
 日弁連の権力翼賛を打ち破れ
 会長選挙の危機と破産 「めざす会」が声明発表

 弁護士を激増させ裁判員制度を導入した「司法改革」に対する絶対反対の闘いが、若手弁護士を始め圧倒的な労働者人民の支持と共感を集めて前進している。これに恐怖した日弁連執行部は、闘いの先頭に立ってきた高山俊吉弁護士から卑劣な手段で日弁連会長選立候補資格を奪った。断じて許さない。しかしそうまでして強行した選挙では、会長を選出することができず、「再投票」というかつてない危機的事態に陥った。2月17日に日弁連の全会員に送られた「憲法と人権の日弁連をめざす会(代表・高山俊吉弁護士)」の声明を紹介します。(編集局)

 裁判員制度・弁護士激増・改憲に対決する日弁連を!

 憲法と人権の日弁連をめざす会

 高山俊吉弁護士は、前回08年の日弁連会長選挙で7043票、43%を獲得した。卑劣な懲戒攻撃をもって、その高山弁護士の立候補資格を剥奪(はくだつ)したうえで、いずれも「司法改革」賛成・裁判員制度推進の2候補で「争った」今回選挙は、会長を決定できずに「再投票」という事態に陥っている。
 私たちは、「司法改革」絶対反対の旗を一層高く掲げ、裁判員制度・弁護士激増・改憲とたたかう日弁連の再生に向け前進する。

 動乱の時代

 世界を見れば、ドル暴落と中国バブル崩壊の影いよいよ濃く、戦後最大の失業と賃下げの嵐が吹き荒れている。沖縄普天間基地やトヨタ車リコールで「日米同盟」も根本的に揺らぎ、この危機乗り切りをめぐる支配内部の分裂抗争劇「検察・『小沢』戦争」がつづく。「第2の尼崎事故」を不可避とするJR合理化に対する労働者の総反撃も開始された。
 全国2万8000人弁護士は、この歴史的激動のまっ只中にある。

 「司法改革」の無惨な破綻

 政府・財界は日弁連執行部を手先に使いつつ、新自由主義攻撃の一環として、弁護士激増と裁判員制度導入の「司法改革」を強行してきた。結果、弁護士総体の急激な経済的没落と若手弁護士の深刻な就職難が進み、ロースクールの廃校が現実化している。「司法への市民参加」が被告人の防御権と弁護人の弁護権を抹殺する刑事裁判の「超迅速・厳罰・ショー化」以外の何ものでもないことを誰もが知った。

 私たちは立ってたたかう

 私たちも、「司法改革」の当事者として、否応(いやおう)なくこの現実に向き合っている。
 1930年代、弁護士失業が社会問題化するなか、当時の弁護士は「満州国の法務官は弁護士にやらせろ」と政府に要求し、ついに関東軍への戦闘機献納や前線慰問に雪崩をうった。この恥ずべき歴史を踏み越え、いまこそ、「生きさせろ!」と叫ぶ労働者民衆とともに生活と未来をたたかい取り、歴史の主体に飛躍する秋(とき)だ。
 弁護士が「貧困を救済する」とか「救済されるべき」存在という観念は、現下の大恐慌の進行で必ず吹っ飛ぶ。問題はそのようなところにあるのではない。また、そのようなことで問題が解決されるものでもない!

 若手の反発、支配の危機と高山資格剥奪

 日弁連執行部の「司法改革」推進に対する全国の弁護士、とくに若手の危機感と反発は野に満ちている。その圧倒的な声と「司法改革」反対運動との分断にこそ「高山懲戒=資格剥奪」攻撃の本質がある。『法律新聞』第1839号「論壇」で中本源太郎会員(東京弁護士会)が喝破するように、本来懲戒にまったく相当しない案件を東弁の綱紀委・懲戒委は強引に「戒告」に持ち込み、全国800名にのぼる弁護士が直ちに弾劾抗議に立ち上がると、日弁連は結論を先延ばししたうえ立候補届締切時刻の3時間前に不服申立てを棄却し、立候補資格回復の法的手段すら奪った。
 この卑劣さは、裁判員裁判の「出頭率」がついに30%前後に落ちるほど民衆の反発が拡(ひろ)がり「過料」の制裁すら発動できない状況に追い込まれた権力と日弁連執行部の底なしの危機感と恐怖を示す。
 私たちは、この1ケ月間、全会員向けに週2回の「司法改革に断を!」通信を発し、また高山弁護士とともに全国を歴訪し、若手を先頭とする多くの強固な団結を作り上げた。

 在野に徹して

 「民主党政権に逆らうな」の執行部の言説が横行している。また、「これまで弁護士は在野精神が強く、野党的な立場に立っていた。日本のガバナンスの一翼を担うというのであれば、もっと政府の中に入っていく必要がある」などという弁護士出身民主党閣僚のインタビュー記事が日弁連新聞のトップに登場した。二人の候補は、公聴会で、政府に入ることと在野性は矛盾しないとそろって言い切った。
 私たちは、その姿勢を峻拒する。日弁連再生の力は、野にあって権力と金力に日々対決するひとり一人の弁護士の心意気と団結の中にこそある。

 5月18日、裁判員制度廃止全国集会へ!

 崩壊の姿を全国民にさらす裁判員制度。この日は改憲手続法の施行予定日でもある。それらに弔鐘を鳴らすことは、弁護士が決起し、労働者・市民と団結すればできる。その力が私たちにはある!
 日弁連の権力翼賛を打ち破り、今やボロボロの「司法改革」を葬り去ろう!
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 裁判員制度廃止!全国集会

 5月18日(火)午後6時
 東京・日比谷公会堂
 主催 裁判員制度はいらない!大運動