2010年3月 1日

民営化推進のJP労組中央委 絶対反対で闘おう

週刊『前進』08頁(2429号2面4)(2010/03/01)

民営化推進のJP労組中央委
 現場から絶対反対で闘おう

 限界を超えた郵政職場の現実

 2月18、19日、JP労組の第5回中央委員会が開催された。この中央委員会でJP労組中央本部は、前書記長として郵政民営化を先頭に立って推進してきた「なんば奨二」の参院選挙を最優先課題として決定した。さらに春闘でのベア要求を放棄し賃上げ闘争からも逃亡したうえ、成果主義賃金の推進まで決めた。郵政労働者の利益を百パーセント投げ捨てたのだ。
 何よりも許せないのは、中央委員会が今の郵政職場の我慢の限界を超えた状況と、この現実を招いたJP労組中央の責任について一言も触れていないことだ。
 郵政民営化から2年半、今、郵政職場はどのような状況に置かれているか。要員が次々と削減された結果「勤務指定表」にいくつも穴が開き、埋まらないことが常態化している。それを補うために定時前出勤や昼食もろくに取らずに働くことが有形無形に強要され、サービス残業が当たり前になっている。郵便物の区分けをする郵便課では、50代の労働者に10時間の深夜勤が3日ないし2日連続(3週間で8日の深夜労働)ということまで強制されている。
 その結果、労災・交通事故・過労死や心身の病気、退職に追いやられる労働者が続出している。08年だけでも集配の労働者が、6月には島根県で車にはねられ、7月には北海道で列車と衝突し、11月には千葉県で車にはねられ死亡した。10月には、山形県でトラックにはねられ意識不明。東京においては昨年12月だけで3人の労働者が交通事故で死亡した。
 東京銀座局では昨年12月、電動牽引車を運転していた労働者がエレベーターの扉が勝手に開いたことで1階のゴンドラ上に牽引車ごと落下し、下敷きになって死亡した。恐れていたことがついに起こってしまった。利益重視と要員削減・安全無視の郵政民営化によって殺されたのだ。
 さらに非正規職の激増だ。定年退職や、中途退職に追い込まれた正規職員が次々と非正規職員に置き換えられ、その結果今や6割の労働者が非正規職だ。賃金は正規職の3分の1。しかも「月給制契約社員」「時給制契約社員」「短時間」「パート」「アルバイト」など労働条件や賃金でいくつもに分断されている。

 解雇との闘いを放棄する体制内

 この現実をつくり出してきた一方の当事者こそJP労組中央だ。郵政民営化と同時に結成したJP労組はその綱領で何をうたっているか。「民営郵政の成長発展」のために「生産性運動を推進する」と掲げたのだ。「生産性運動」など会社=資本の立場であり、労働者や労働組合の立場とは根本的に異なる。それは今日の労働者の現実が赤裸々に示しているではないか。「生産性運動」とは会社の利益を一切に優先させることだ。過酷な長時間労働や深夜労働で、人間としての生活や健康をずたずたに破壊するまで働かせることだ。青年労働者が将来の生活設計を描くこともできないほどの不安定・低賃金で働かせるということではないか。
 この郵政民営化と「生産性運動」をさらに推進しようというのが今回の中央委員会だ。「中央委員会議案書」は「郵政見直しに関するJP労組の主張」として、怒りに堪えない言辞を吐いている。「民営化が前提」「企業性」「株式上場をめざす」「分社化」と、あくまでも「民営化推進」を主張しているのだ。
 郵政民営化とは大恐慌のもとで、破産した新自由主義にしがみつくしかない資本が300兆円の郵貯・簡保を始めとした郵政資産を食い物にする攻撃だ。そして、その「資産価値」を高めるために郵政労働者に奴隷のような労働を強制するのが郵政民営化だ。
 さらに今回の中央委で許せないのはJPEXの破産と、日通側から引き取るとされている1200人の労働者の「削減」=解雇問題についてJP労組中央が完全に沈黙を決め込んでいることだ。JPEXはその労働条件のあまりの劣悪さに怒りを炸裂(さくれつ)させた現場労働者の出向拒否の抵抗闘争により破産に追い込まれた。JPEXを郵政民営化の「戦略的事業」として推進してきたJP労組中央は直ちに退陣せよということだ。
 1200人の解雇に対して沈黙していることなど絶対に許されない。JP労組中央が何も語らないのはそれを承認しているからだ。解雇と闘わない中央本部など、もはや労働組合を名乗る資格はない。中央本部など今すぐ打倒だ。
 さらに中央本部は、今中央委員会で基本給3割カット・成果主義賃金の「新人事・給与制度」を容認し、また会社の「厳しい経営状況」を真っ先に語って、春闘ではベアを放棄し、賃上げ闘争からも逃亡した。徹底的な弾劾あるのみだ。

 郵政職場で反合・安全闘争を

 今回の議案書でJP労組中央は「『なんば奨二』必勝の取り組みは、組織の命運をかけた最優先課題」と組合員の「なんば選挙」への動員に躍起となっている。
 だがこの「なんば」なる人物は何者なのか。全逓—JPU最後の書記長として民社党系の全郵政との統合を推進した中心人物であり、JP労組発足後は書記長の座に納まって郵政民営化を「労働組合」の側から積極的に進めてきた人物だ。郵政労働者を今日の地獄のような労働に追いやっている張本人だ。
 民主党・連合政権の本性が明らかになりつつある。民主党・連合政権とは、昨年の総選挙で労働者に打ち倒された自民党に代わり資本家の利益を守ろうとする政権だ。労働者の味方づらをしながら、労働者を賃金奴隷の状態に縛り付け、とことん搾りつくし、最後は戦争にまで狩り出そうとするやつらだ。
 だが今やそのメッキもはがれた。長崎県知事選挙や東京・町田市長選挙で、民主党候補に労働者の怒りがたたきつけられ、惨敗した。民営化を先頭で推進してきた「なんば」の選挙応援など論外だ。
 民営化こそ今日の資本家階級の基本路線だ。1987年の国鉄分割・民営化がその突破口であり、これを転換点にして労働者の非正規職化が一挙に進み、低賃金・長時間労働と労災・過労死の労働現場を生み出した。
 JR東日本が4月実施を策動している検修業務全面外注化攻撃は労働者の団結を破壊し、鉄道輸送の安全を崩壊させる第2の分割・民営化攻撃だ。分割・民営化と唯一闘ってきた動労千葉は、「外注化阻止」「反合・運転保安確立」を掲げて闘っている。
 国鉄決戦こそ全労働者の未来がかかった決戦だ。小包部門の子会社化・分社化であったJPEXの破綻は、全社会的な民営化攻撃をがたがたに揺さぶっていく先駆けとなる勝利だ。動労千葉は3月1〜2日の第2波ストライキを決定した。1047名闘争の解体策動を許さず、動労千葉とともに検修業務全面外注化阻止決戦を闘おう。郵政職場での反合・安全闘争を始めよう。