2010年3月29日

●特集 新入生諸君! 全学連訪米闘争の総括と展望

週刊『前進』06頁(2433号6面1)(2010/03/29)

●特集 新入生諸君! ともに学生運動やろう
 全学連訪米闘争の総括と展望

 教育民営化粉砕で歴史的な国際連帯 法大闘争が百万教育ゼネストに合流
 3月4日、カリフォルニア州の100万人ゼネストを中心に、全米で「教育の民営化」に反対する闘いが空前の規模で爆発した。そして全学連がこの歴史的な闘いに合流し、ともに闘いぬいた! 大恐慌の進展のもとでブルジョアジーの生き残りのために強行されている「教育の民営化(公教育の破壊)」は、社会を根幹から破壊し、われわれ学生から未来を根こそぎ奪い去ろうとしている。3・4教育ゼネストは、これに対する根底的な反撃としてたたきつけられた歴史的な闘いだ。

 組織者として全学連もピケ全学連もピケ

 「私たちは、大学を金もうけの道具にし、学生を商品のように扱う大学当局と闘ってきました。私たちの敵はひとつです。それは大学という資本であり、資本主義そのものです」「どんな暴力も、私たち学生から団結を奪うことはできません」「私たちもカリフォルニアのみなさんとともに、日本で大学と未来を学生の手に取り戻すために闘います!」——3月4日午後、オークランドに響きわたった法政大学・洞口朋子さんの発言に、会場全体から割れるような拍手が応えた。法大闘争の最先頭で闘ってきた洞口さんの訴えは、集会に結集した3000人の圧倒的共感を呼び、会場はひとつになった。全学連訪米団は、アメリカの学生とともに今回の闘いを組織者として担いぬいたのだ。
 3月4日、カリフォルニア大学バークレー校を中心に始まったストライキは、カリフォルニア州全体の学生と教育労働者、小中高校生を含めて街全体を揺るがす100万人のゼネストとなって爆発した。全米32州で連帯行動が闘われた。州の財政破綻と教育予算の大幅削減、教育労働者の大量解雇、学費の大幅値上げ——。公教育の破壊と民営化に対する怒りの爆発だ。これは、ギリシャやポルトガルでのゼネストと一体の、新自由主義攻撃に対するプロレタリアートの全世界的な大反撃の最先端で爆発した歴史的な闘いだ。
 全学連は当日朝7時からスト拠点であるバークレー校でピケットラインの先頭に立った。「大学はだれのものか? 私たちのものだ!」——同じコールでラインがひとつになり、隣の仲間とのスクラムが一層強固になってゆく。集会が近くなると幾手にも分かれて横断幕を手に教室に突入、学生・教職員に「ストライキに加わろう!」と呼びかけた。続々と結集する学生で、十数人から始まったピケットは数百人に拡大し、熱気は高まった。
 昼休みには1000人の学生がキャンパス前の交差点を埋めつくして集会。続いてデモでオークランドに向かう。8㌔メートルの過程でデモ隊列は3000人にふくれあがった。「法政大学での学生弾圧許すな! 民営化粉砕! 資本主義打倒! 万国の学生、団結せよ!」と大書された英語の横断幕を掲げた全学連に、参加した学生が代わるがわる話しかけてくる。沿道からは小学生や中高生、労働者が続々と合流し、車は連帯のクラクションを鳴らして通り過ぎる。街全体が解放区になった。
 オークランドからさらに移動して合流したサンフランシスコでの集会の圧巻は、バークレー校の中心的活動家であるブランカ・ミッセさんの熱烈なアジテーションだ。全学連の訪米を誇らしげに紹介し、国際連帯の闘いにこそ展望があると訴えた彼女の発言に、シビックセンター前を埋めつくした1万人は最大限の歓声で応えた。
 こうして3月4日の闘いは大成功をかちとり、開始されたこの国際連帯は、日米双方の学生運動に圧倒的な展望を与えた。

 新自由主義を覆す大反撃が開始された!

 3・4ストライキは、もはや公教育すら保障できず、資本の金もうけの手段にして破壊する以外には存立しえなくなった資本主義体制に対する、反撃の号砲だ。この決起の背景には、アメリカにおけるすさまじい「教育の民営化」の現実がある。
 一つに、理事会によるキャンパスの私物化だ。バークレー校の学生会館ではテナントが学生からたまり場を奪い、高額な使用料をとる上階は企業しか使えない。ワコビア銀行の上級副社長が長を務める理事会のメンバーにはロスアラモス国立研究所(ここで開発・製造された原爆がヒロシマ・ナガサキに投下された)を運営する会社や金融会社、不動産会社などのトップが名を連ねている。極め付きはキャンパスを闊歩(かっぽ)する学内警察だ。
 二つに、この1年間だけで43%も上げられた学費だ。2001年から10年もたたずになんと2倍以上だ。その上に学資ローンが新たなビジネスとなり、サリーメイなどのローン会社が学生を借金漬けにし未来を奪っている。
 こうしたなかでバークレー校では、教養の授業の75%もが授業料免除を求める大学院生によって担われている。多い学生は月から金まで週5日の低賃金労働者として搾取されているのだ。
 三つに、徹底的な学生の分断だ。高額な学費は、貧しい家庭の有色人種の子どもから教育を奪う。バークレー校では、アフリカ系の学生の占める割合は5%に満たない。人間を自由にするはずの教育が、逆に人種差別を固定化・再生産して学生を分断しているこの転倒! こうした差別を打ち破るのは学生の団結した闘いだけだということを、3・4ははっきりと示した。
 3・4大闘争はあらゆる意味で決定的だった。
 まず、米レーガン政権以来の三十数年にわたる新自由主義攻撃を覆す歴史的な転換点として、しかもそれを大恐慌下のアメリカで爆発させたことだ。カリフォルニア州は、レーガンが州知事時代に新自由主義攻撃の原型をつくったところであり、その際標的となったのが、1964年フリースピーチ運動以来のバークレー校の学生運動だった。今回、そのバークレーから大反撃が始まったのだ。
 次に、このような闘いが教育・大学というテーマでうちぬかれたことだ。民営化の矛盾が最も集中的に教育の場において現れ、青年・学生の未来を奪っているという事実ほど、資本主義の歴史的破産を示すものはない。
 だからこそ「教育の民営化」との対決は、全社会に満ちあふれた怒りに火をつけ、すべての学生・労働者を団結させる。革命によって社会のすべてを奪い返すそのときまでやむことのない闘いが、ついに開始されたのだ。
 さらに、この闘いが学生を先頭に爆発し、全社会をとらえたことだ。大学院生を先頭としたピケットは数千人のデモとなって街全体を獲得した。学生が先頭で立ち上がったとき、その闘いは必ずや街全体、社会全体を揺り動かし、時代を切り裂くエネルギーとなる。新自由主義が全社会を破壊しているいま、団結した学生・労働者の力のみが唯一未来を指し示すことを、3・4の闘いは示したのだ。

 世界革命への展望を開いた日米学生の絆

 今回の闘いで、われわれは限りなく豊かな教訓をつかみとった。
 第一に、訪米団の全員が「教育の民営化粉砕!」の路線で、絶対に日本でも巨万学生の決起を実現することができるという揺るぎない確信を得たことだ。学生に襲いかかる教育の破壊は全世界共通であり、日本の学生が直面している現実そのものだ。「教育の民営化粉砕!」の闘いこそ、日本で学生運動を爆発させる普遍的テーマだ。
 第二に、法大闘争のもつ獲得性をわれわれ自身が再確認したことだ。それは、「教育の民営化」の現実に対し、学生のもつ力と可能性にとことん依拠し、現場から学生の団結を組織して立ち上がること、この困難さから絶対に逃げないこと、そしてそのなかから、困難をのりこえるために必要な原則的な路線や時代認識とそれを体現する指導部とを生みだしてきたことにある。これこそ、動労千葉労働運動と11月労働者集会に貫かれてきた精神だ。
 118人の逮捕、33人の起訴というすさまじい弾圧に対し、国家権力と非和解的に闘って逆に団結を強め、仲間を増やしてきた闘いは世界にも類がない。この法大闘争がカリフォルニアの闘いの中心的活動家と固い団結で結びついた。3・4の行動を組織した中心的な活動家たちは誰もが法大闘争に圧倒的な共感を抱き、われわれに対して結合を求めてきている。
 第三に、こうした巨大な大衆闘争のなかから新たな党をつくる闘いが開始されていることだ。「動員だけが目的ではない。動員した人・学生を組織することをつねに考えなければならない」「国際的な労働者の党を新たにつくる必要がある。これは自分たちの世代の責任だ」(ブランカさん)。アメリカにおいても党建設という課題はわれわれとまったく同じであり、その展望は圧倒的に切り開かれている。
 最後に、なによりこの闘いの核心は、いよいよプロレタリア世界革命の時代が幕を開けたことだ。3・4ゼネストそのものが一つの革命情勢だ。「教育の民営化」に対する根底的な怒りの爆発は、資本主義体制打倒までやむことのない闘いとして始まった。
 日米プロレタリアートの団結こそ戦争を阻止し、帝国主義を打倒する決定的な武器だ。今日の大恐慌のもと、一方では民営化攻撃が、他方では保護主義・ブロック化と戦争の攻撃が吹き荒れ、その最大の焦点として沖縄の米軍基地建設がある。そうしたなかでわれわれ日米学生の団結が海を越え、闘いがひとつになったことが決定的だ。米軍基地を撤去し、日米安保を粉砕して帝国主義を打倒する闘いの展望を、今回の訪米闘争がつくりだした。全学連はこの訪米闘争の勝利の地平の上に、2010年、ヨーロッパへ南米へアジアへと、さらに国際連帯を拡大する。
 すべての学生のみなさん! カリフォルニア教育ゼネストが示したように、学生運動には無限の可能性がある。学生の決起は労働者・学生の連帯を生み出し、街全体・社会全体を揺るがす。あなたが立ち上がったときに社会は変わり、歴史は動き始める。世界の学生とともに立ち上がろう!
 3・4を上回る闘いを、ここ日本の地からともに爆発させよう! 国境を越えた学生の団結で教育の民営化を粉砕しよう! 4・23法大解放総決起集会から4・28〜5・15沖縄闘争に攻め上ろう!
 (浜中みなみ)
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 法大裁判に集まろう
 ★5・29デモ弾圧裁判①グループ控訴審判決公判
 3月30日(火)午後1時30分 東京高裁
 *12時半に傍聴券配布所へ