2010年4月26日

国労臨大 本部方針粉砕を 活路は解雇撤回貫徹に

週刊『前進』06頁(2437号2面3)(2010/04/26)

国労臨大 本部方針粉砕を
 「解決案」は「雇用ゼロ」 活路は解雇撤回貫徹に

 分割・民営化への全面屈服を強要

 4月26日の国労臨時大会を巡る攻防は、労働者階級全体の命運を決める一大決戦になった。国労本部はこの大会で、4月9日に政府が示した「解決案」の受け入れを強行決定しようとしている。それは1047名闘争と国労、そして日本の労働運動全体を敗北に引き込む歴史的裏切りだ。
 4月9日、与党3党・公明党と政府は「国鉄改革1047名問題の解決案(四党申入れ)について」と題する合意文書を取り交わした。そこには、「解決案受け入れの条件」として、次のように書かれている。
 「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと。したがって、今回の解決金は最終のものであり、今後一切の金銭その他の経済的支援措置は行われないこと」「政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できないこと」
 ここに「和解案」の本質は示されている。ところが国労本部はこの条件を組合員にはひた隠しにし、「解決案は、4者4団体が政治解決にあたって求めていた『路頭に迷わない解決』に沿った内容」などと強弁して、解決案の受け入れを臨時大会で強行決定しようとしているのだ。
 4党・政府合意文書に徹底的に貫かれているのは、1047名と国労組合員に対し、国鉄分割・民営化への最終的で全面的な屈服を迫るという支配階級の徹底した意志だ。「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと」という言いぐさは何だ。「解決案」は、1047名をあたかも根拠もなく金を要求する無頼漢のように描き出し、「これが最後だ」と札束でほおをたたいて総屈服を迫っている。
 国鉄分割・民営化攻撃の中で、労働者の尊厳はとことん踏みにじられ、職場の団結はずたずたに引き裂かれた。20万人が職場を追われ、200人が自殺に追い込まれた。
 動労千葉の鉄建公団訴訟では、本州でJR不採用とされた国鉄労働者の名前が当初は採用候補者名簿に載せられていたものの、JR総連カクマルの突き上げを受けた葛西敬之職員局次長(現JR東海会長)らによって名簿から排除された経過が明らかになった。
 「解決案」は、こうした攻撃の一切を正しかったと承認しろと迫っているのだ。

 闘争団を路頭に迷わせるのか!

 4党・政府の「解決案」を受け入れるとは、JRへの採用はゼロでもいいと認めることだ。
 ところが国労本部は、臨大に提出する方針案で、「政府と4党が合意した解決案にもとづき、JR北海道、九州等の各社を中心に200人の採用を要請する取り組みを行う。またその他の雇用についても政府からの働きかけを要請する」などとうそぶいている。これは、闘争団員と国労組合員を欺くペテンだ。
 政府と4党の合意文書には、はっきりと「JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できない」と書かれている。
 この「解決案」を受け入れれば、「採用を要請する取り組み」をいくら行おうが、すべて拒否されて終わりになることは目に見えている。こんな地獄の道に闘争団を引きずり込む権利は誰にもない。
 今日の大恐慌と大失業情勢の中で、闘争団が生きていくためには、「解決案」を粉砕する以外にない。本部方針は、「採用ゼロ」の「解決案」を無条件で受け入れるとともに、一切の裁判を和解で終わらせ、闘争団への生活援助金も交付停止にするとしている。国労本部は、政府やJR資本と一体となって、闘争団を路頭にたたき出そうとしているのだ。本部方針を葬り去ることのみが、闘争団の生き抜く道だ。
 現に、和解に絶対反対する闘争団員が、歴史的な決起を始めている。この闘いの中にこそ、1047名と国労、日本労働者階級の未来がある。

 JRに忠誠誓う最悪の本部方針

 この「和解案」の受け入れは、JR本体組合員に対する外注化を軸とする大合理化・首切り攻撃を全面容認することでもある。
 本部方針案には、「JR産別の企業内組合として社会的責務を自覚した未来志向の国労運動の未来を見据え(る)」などと書かれている。ここまで露骨に国労解散−JR連合との合流の意図をあらわにした方針案はかつてない。国労本部の狙いは、1047名闘争を終わらせ、JR会社に籍のない闘争団員を組合外に放逐し、統一組織としての国労を解散して、会社ごとの単組の連合体に組み替えること、ひいては国労を自ら解体し、連合に合流することにある。
 これは、支配階級の意志と完全に連動している。4月9日の4党・政府「解決案」提示とともに、国交相の前原は次のような談話を出した。「国鉄改革には、未(いま)だ完全民営化を果たしていないJR三島会社やJR貨物の経営の自立を始め、未解決の課題が残されています。国土交通省としては、今後とも、こうした課題への取組みを強化し、国鉄改革の完遂に全力を挙げてまいります」
 大恐慌情勢下で、JR各社の収益は大きく落ち込んでいる。その中で三島・貨物の「完全民営化」を始め「国鉄改革を完遂する」とは、一層の合理化・労働強化と、首切りを強行するということにほかならない。
 実際、国交相の前原は、日航1万6千人首切りを最先頭で強行している人物だ。前原は、その手法をJRにも適用し、労働組合の抵抗を一切封じ込めて、JR大合理化を強行しようとしているのだ。
 だが、動労千葉を先頭とする闘いは、検修全面外注化4月実施の攻撃を打ち砕いた。もちろん、JRはあくまで外注化強行を狙い、体勢を立て直そうと必死だ。
 だが、今や危機に陥っているのはJR体制だ。民主党・連合政権も、沖縄米軍基地問題で絶体絶命のところにまで追い込まれている。JR体制と対決し、解雇撤回をあくまで貫き闘えば、勝てるチャンスは到来しているのだ。
 「解決案」を粉砕し、国労本部打倒へ総力で決起しよう。動労千葉が呼びかける1047名解雇撤回の全国大運動を大きく発展させよう。