2010年4月26日

〈焦点〉 自民の分裂と小政党乱立

週刊『前進』06頁(2437号5面3)(2010/04/26)

〈焦点〉 自民の分裂と小政党乱立
 激化する日帝の政治危機

 大恐慌下の日帝の破滅的な財政危機と、帝国主義間・大国間の争闘戦の激化の中で、日帝の政治危機がかつてなく深まっている。
 米軍普天間基地問題で反人民的正体をあらわにし、袋小路に突入している鳩山民主党政権の支持率は、ついに2割台に急減した。7月参院選の結果を待たずに、政権崩壊かという危機にある。しかし他方では、昨年の8・30総選挙で政権から転落した自民党も、離党と分裂が相次ぎ、いよいよ自滅的解体状況を深めている。
 特にこの間、沈みゆく泥船から逃げ出すように、自民党所属議員の脱党と、新党結成の動きが続いている。昨年の渡辺喜美の「みんなの党」に続いて、鳩山邦夫の離党、さらに4月に入って平沼赳夫(元自民党)、与謝野馨、石原慎太郎(都知事)らの新党「たちあがれ日本」の結成、そして舛添も脱党し新党結成へと動いた。
 またこの自民党をめぐる動きと並行し、山田宏・杉並区長、中田宏・前横浜市長らは、地方自治体の首長・首長経験者を軸に「日本創新党」なるものを結成した。
 未曾有の大恐慌と政治危機の中での、こうした自民党からの離党と雨後の筍(たけのこ)のような新党結成は、現時点ではきわめて過渡的・流動的であり、路線的一致もなく、ただ参院選を前に自民党に見切りをつけて、政治的に野合したという要素も強い。
 だが彼らに共通しているのは自民党への絶望と同時に、日帝の体制的破滅状況への右からの危機感と、プロレタリア革命への恐怖である。絶対多数の政党がもはや存在せず、小政党が分立し、民主党を含めて与野党双方を巻き込んだ離合集散と政治的再編が、これから一挙に激化することは不可避である。それは日帝のかつてない政治危機への突入を意味する。
 ここで重要なことは、自民党から飛び出した連中は、みな超右翼的でファシスト的なイデオロギーと政治信条を持った者ばかりだということだ。彼らは鳩山政権の破綻性や、それに有効に対決できない自民党執行部の混乱と無力に危機感を深め、「このままでは革命が起きて日本が滅ぶ」「国家を救え、日本を救え」と叫び、革命への恐怖に突き動かされている。
 平沼は「このままで日本は本当に大丈夫なのか」と危機感をアジり、夏の参院選に田母神俊雄・元航空幕僚長などの極右ファシスト分子の立候補を画策している。山田や中田は、「彼らこそが日本の財政をここまでの危機に陥れた戦犯だ」と自民党や民主党を攻撃し、道州制導入や公務員数を3分の2に減らす「改革」を叫んでいる。その狙いは自治労・日教組を始め労働運動の解体・一掃だ。
 大恐慌は戦争と大失業を生み出す。そしてブルジョア国家の体制的危機の中で、新たな極右的保守勢力、改憲や軍事大国化を叫ぶ勢力の登場が不可避となっている。しかし民主党や自民党にも、分立する極右的小政党にも、危機を突破できる展望など何もない。
 問題は、労働者階級が闘う労働組合をよみがえらせ、今こそプロレタリア革命にむけて団結して闘い抜くことだ。国鉄決戦と安保・沖縄決戦の爆発で、民主党・連合政権を打倒し、大恐慌と戦争・大失業を革命勝利に転化しよう。