2010年5月24日

イラン政府による政治犯5人の処刑を弾劾する!

週刊『前進』06頁(2440号6面3)(2010/05/24)

イラン政府による政治犯5人の処刑を弾劾する!

 5月9日、イラン政府は人権活動家の教師キャマンガルさんを始めとするクルド人4人とイラン人のメヘディ・エスラミアンさんの計5人を、卑劣にも家族や弁護士に事前に知らせず秘密裏に突然処刑した。この暴挙を怒りを込めて弾劾する。

 5分で死刑判決

 全世界の労働組合や人権擁護団体が、キャマンガルさんたちへの不当な死刑判決を弾劾し、釈放を要求するキャンペーンを行っていたにもかかわらず、今回処刑が強行された。日本でも一昨年から動労千葉や「牛久入管収容所問題を考える会」などの呼びかけで、「キャマンガルさんら政治犯を処刑するな」と在日イラン人とともにイラン大使館抗議行動に取り組んできた。
 アメリカ帝国主義のイラン侵略戦争策動の強まりを背景にして、イラン政府はトルコ・イスラム政権に接近している。今回の処刑もトルコを訪問したイラン外相が帰国した直後のことだった。
 ファルザード・キャマンガルさん(35歳)は、クルド地域の町、カムヤランの出身で、08年2月に「国家の安全を危険にさらした」「神に対して敵対した」「クルド労働者党(PKK)の構成員だ」として死刑判決を受けていた。彼は、クルド教職員組合の組合員であり、環境保護協会の会員であったが、PKKの党員ではなかった。にもかかわらず、簡易裁判所は、判決までわずか5分の審理で死刑判決を下した。彼の弁護士は18カ月前に再審を要求、裁判所側はあたかも再審がありうるかのような回答をしていた。
 彼は、数カ月にわたって性的拷問も含む激しい肉体的・精神的拷問を受け、3年間を牢獄で過ごした。弁護士の接見時に、彼は激しく衰弱し、熱湯で手を焼かれた姿で現れた。また、腎臓病で血尿が出ていたにもかかわらず、病院での治療も拒否された。
 一緒に逮捕されたアリ・ヘイダリアンさんは、クルド地域のサナンジャイ市で生まれた。09年2月1日に刑務所から出した手紙では、彼は監獄で2カ月間以上にわたって最も残酷な肉体的・精神的拷問を受けたと書いている。彼もクルド労働者党に所属したとされ、わずか10分間の審理で死刑判決を受けた。
 同じくファルハド・バキリさんも、PKKのメンバーとして訴追され、最高指導者に慈悲を乞う手紙を書くように要求されたが、「そんな手紙を書くよりは処刑されたほうがましだ」と妻と友人に語っていた。
 シリン・アラムウリさんはクルド地方のディム・ゲシュラフで生まれた。08年4月に逮捕され、25日間厳しい拷問を受けた後、テヘランのエビン監獄に移管された。彼女もPKKのメンバーだとして訴追され、09年1月に死刑判決。彼女は逮捕された時にはペルシャ語を話せなかったが、裁判はペルシャ語で行われたため、防御権を行使できなかった。

 ストや抗議デモ

 このニュースを聞いて、イランと世界の各国で激しい弾劾の闘いが起きている。クルド人の住む地域では、ストライキや抗議デモが準備されている。テヘランのいくつかの大学では抗議の座り込みが行われ、パリやロンドンのイラン大使館への抗議行動が闘われた。
 今日、イラン政府は、アメリカ帝国主義による激しい侵略戦争重圧政策によって追い詰められている。それに加え、経済危機を乗り切るために推進している新自由主義政策に対する労働者階級の激しい反撃や、民族的権利を要求する国内のクルド人への弾圧に対する怒りの爆発に追い詰められている。
 こうした危機的情勢下でイラン政府は、労働運動やクルド人の民族的権利を要求する闘いを弾圧することで、総崩壊的危機にある国内支配体制を暴力的に立て直し、戦争体制を構築しようとしている。
 だが、イラン人民とクルド人民はけっしてこのような策動を許さないであろう。彼らはイランの反動的政権を打倒し、同時に米帝のイラン侵略戦争を粉砕する闘いに必ずや決起し、帝国主義打倒、世界革命実現にむけた世界の労働者人民の歴史的闘いに合流してくるであろう。