今年は霞が関へ 農地裁判勝利・空港廃港を 三里塚反対同盟 3・23芝公園に大結集を

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週刊『前進』12頁(2614号04面01)(2014/01/01)


 今年は霞が関へ攻め上る
 農地裁判勝利・空港廃港を
 三里塚反対同盟 3・23芝公園に大結集を訴え

(写真 3・24敷地内縦断デモの最先頭でトラクターを運転する市東孝雄さん)
 「霞が関へ攻め上る」を合い言葉に、市東さん農地裁判控訴審へ向けて闘いぬく三里塚芝山連合空港反対同盟から新年のアピールが寄せられた。労農連帯の力で成田空港会社(NAA)の農地強奪攻撃を断固粉砕し、3・23全国集会(東京・芝公園)に全力で結集しよう。(編集局)

 若者の未来のため

 事務局長 北原鉱治さん
 全国の方々の理解と支援を受けて、三里塚闘争は48年の年月を数えるにいたった。振り返ると、この闘いの年月にはなんら悔いるものはない。
 国際情勢を見るといまだ戦争はなくならず、シリアでは何百何千という人びとが内戦によって命を失っている現実がある。日本においては安倍政権が、戦争の準備を進めるかのごとく反動的な政策を推し進めている。従来から警鐘を鳴らしてきたとおり、成田空港は有事のさいには米軍が大挙押し寄せて軍事使用し、侵略の出撃拠点となることは明白だ。その時は空港周囲で日頃閑古鳥の鳴いているホテルも、軍隊によって満杯になるだろう。
 私は第2次大戦において一兵卒として戦争に参加した者として、その歴史を二度と繰り返してはならぬと訴えてきた。昨年11月に動労千葉の案内で韓国民主労総の労働者たちが三里塚を訪れたとき、「労働者と農民は自国の政府が戦争を行ったとき、これへの協力を拒否する」という共同の誓いを提案し、快く賛同を頂いた。今後もこの国際連帯、労農連帯を深めていきたい。
 市東さんの農地裁判は東京高裁における新たな決戦段階を迎えた。明治から親子三代受け継いで農地を耕してきた市東さんにこそ正義があり、これを奪う暴挙を許すわけにはいかない。このような農民圧殺を繰り返してきたからこそ、成田は今も完成しない欠陥空港だ。反対同盟は東京に攻め上る気概で闘う。国家権力が人民を守るものではないことは、農民と労働者の生活を奪うTPPを見ても明らかだ。
 三里塚は人間としていかに生きるかを問われる闘いでもある。われわれは日本の若者の未来に責任があることを自覚している。命ある限り、私は若者とともに歩むことを切望している。今年もともに闘いましょう。

 TPPの安倍倒せ

 事務局次長 萩原進さん
 3・11の大震災と原発事故で明らかに世の中が一変した。国策・国益の正体が暴かれた。気づいたら、福島だけでなく日本列島全体に原発がひしめいていた。
 反対同盟は闘いの正義を一貫して訴えてきたが、成田空港が地元に4万人の雇用を抱えている現実のもとで、「空港も大事ではないか」という論理もまかり通っていた。だがもう違う。国策・国益というふれこみで行われてきたものの正体は、経済的利益を優先し人間の生活と命をおしつぶすものであり、「公共性」はまったくのうそだった。このことが満天下に明らかになった。
 成田空港は何兆円もつぎ込んで建設されてきたのに、欠陥だらけでつぎはぎで未完成のぶざまな姿をさらしている。市東さんの農地を守る闘いは私利私欲ではなく、この大地こそ人間の生きる源であり、人民の利益であることを、われわれは今本当に大上段から言えるところにいる。
 2013年にわれわれは縦横無尽に闘いぬいて空港側を守勢に追い込んできた手応えがある。空港周辺地域に粘り強く入っていって、住民の怒りと結びついた。この怒りの大きさに脅え、空港とその利権にあずかる自治体は、24時間空港化をもくろみながら、それを真正面から言い出せない危機にある。
 安倍はTPPを推進し、「農業の規模拡大」を唱えながら300万と言われた日本の農家を一気に14万くらいに減らそうとしている。そしてついに減反政策廃止を打ち出した。日本の農民にとっては本当に死活問題だ。農家を無気力にさせ死に追い込む攻撃だが、彼らはそこに突っ込んでいくしかない。だからわれわれは安倍の反動性をとことん引き出してこれをぶったたき、本当に打倒する闘いを実現しなければならない。
 いよいよ高裁での闘いが始まる。霞が関を揺るがしている反原発、沖縄、労働者の闘いとしっかりと結びつき、その先頭に三里塚が立たねばならないと自覚している。東京・芝公園での3・23全国集会に大結集し、続く26日の農地裁判控訴審第1回弁論では、東京高裁を十重二十重に包囲する闘いを実現しよう。

 意地でも大義通す

 東峰 萩原富夫さん
 反対同盟はこの1年、空港周辺地域への情宣活動、オルグ活動を続けて手応えをつかんだ。先日自分も飛行直下の成田市西大須賀を回った。騒音問題は深刻な影響をもたらしている。訪ねると家族で「ああ、どうもどうも」とにこにこ顔で迎えてくれる。NAAは家屋の防音化工事を施しているが、「なんら効果がない」とみんなが怒っている。声を上げないと自分の生活すら守れないところに住民が立たされている。その深刻さが、切実に伝わってきた。
 年頭から3万人署名運動に全力を投入しよう。昨年初めも地裁に向けて署名を集めたが、同じ人からまた署名をもらい、繰り返し行くことで、ためらっていた人も参加して運動が広がりをもっていくことは間違いない。
 東京・霞が関では毎週反原発行動が取り組まれ、秘密保護法反対の運動も盛り上がった。若い労働者たちは派遣労働などで本当に厳しい状況に立たされている。そういう人たちが職場で街頭で霞が関で、自分たちの声を上げ行動する事態になっている。この盛り上がりをどう組織化するかに労働運動の展望がかかってるのではないか。その動きと三里塚が結合することを今年は追求する。
 三里塚農民の闘いは自分たちだけの問題ではない。労働者と結びつき全人民の闘いとして続いている。そこに48年も続いた秘訣(ひけつ)がある。その大義を意地でも通したい。

 「金より命」の重み

 白桝 伊藤信晴さん
 安倍政権は明らかに戦後の価値体系を全部粉砕する腹がまえで、反動的な政策を推し進めている。特定秘密保護法、安全保障会議、TPP、そして原発再稼働。これだけの反対の声をあえて無視し、すべては「国家」の視点で、労働者・農民・人民には一切の配慮もない。経済政策にしても国債を買い上げて金をばらまくなど、禁じ手であり破綻性は明らかだ。だがこうした安倍の反動がどこまで続くのかを決めるのは、結局われわれの闘いいかんだ。
 人民の中で「安倍に好きなようにやられては、生きていけない」という声が大きくなっている。12月8日の「これでいいのか?!TPP」大行動の集会で、長野県川上村村長が「今でも限界集落間近。TPPが結ばれたら破綻する。地方自治体は反対して闘わなければならない」と発言した。
 市東さんの農地を守る闘いは、「金より命」というスローガンの実践だった。3・11後、この言葉の持つ重みが、全人民の心をとらえることができると思う。労働者、労働組合の闘いもそうだ。青年労働者が市東さんの闘いに勇気づけられ、三里塚に結集する。そういう状況をつくり事態を動かしたい。今回の新たな署名運動で掛け値なしに3万人集めるために、全力で奮闘しよう。

 この農地 明け渡すものか

 NAAの犯罪暴く
 天神峰 市東孝雄さん
 2013年はみなさんの力強い支援を頂きました。心からお礼申し上げます。
 3月26日には農地裁判控訴審がいよいよ開かれます。東京高裁はスピード審理で早期結審をもくろんでいると思いますが、私は裁判長と正面から向かい合い、NAAがいかにデタラメで犯罪的かについて全力でたたきつけ、夜に裁判長が床に就いた時には「ああ今日はあんなことを言われた、こんなことも言われた」と思い出させるくらいの攻勢をかけたいと思います。
 私の土地は親子三代耕して守ってきた土地であり、直接触れた人はみな「いい土だ」と感心してくれます。この土地をむざむざ明け渡すわけには断じていきません。
 ですから昨年は勝利的に闘ってきましたが、これを今年は100パーセントの勝利に近づける闘い方をできればいいと思っています。
 これまで動労千葉をはじめ労働者の方々との共闘を築いて闘ってきましたが、13年は全国農民会議に集う福島・山形・山梨・千葉などの農家・農民同士がつながりをもって闘えたことが強く印象に残っています。安倍政権はTPPを進め、企業を農業に参入させようと躍起になっていますが、結局は利益が最優先で農業をだめにします。私も一斉行動で周辺地域を回っていますが、保守的と言われる地元成田の農民とも交流をつくりたいと思います。没落する成田空港が「国策」だと言い張っても、向こうに未来はありません。
 千葉地裁民事第2部の耕作権裁判では、岸裁判長がNAAに対し文書提出命令を出しました。一矢報いた気がしますが、油断はできません。14年は本当に勝負の年だと感じています。勝利へ向けて全力で闘います。

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