解雇撤回・最高裁決戦勝利2・16集会へ JR北海道 現場労働者の解雇を許すな

週刊『前進』06頁(2619号03面01)(2014/02/10)


 解雇撤回・最高裁決戦勝利2・16集会へ
 JR北海道 データ改ざんは会社の指示 現場労働者の解雇を許すな

(写真 「北嶋君を直ちに運転士に戻せ」「ライフサイクル制度を撤廃せよ」とJR東日本に抗議行動【2月3日 JR千葉運転区前】)

 国鉄労働者1047名を解雇して強行された国鉄分割・民営化の破産は、JR北海道の現実を見れば明らかだ。解雇撤回を実力でもぎりとり、国鉄分割・民営化に断を下す時が来た。東京都知事選を決戦として闘いぬく中で勝ち得たすべての成果を、2・16国鉄集会に結実させよう。2・16から2・23いわき-3・11郡山の連続闘争を力強く闘い抜こう。

 幹部は報酬カットだけで責任のがれ

 1月21日、JR北海道はレール検査データ改ざんの結果集約を発表し、現場労働者に責任を転嫁する懲戒解雇などの処分を行った。同時に国土交通省はJR北海道に監督命令と事業改善命令を通知、現場労働者の刑事告発の準備も進めた。いずれも異例の事態だ。
 JR北海道は大沼保線管理室の現場労働者2人を、昨年9月19日の大沼駅脱線事故直後にデータを改ざんしたとして懲戒解雇にした。うち1人は23歳の青年だ。この2人は刑事告発の対象となる可能性も大きい。
 大沼保線管理室の監督責任者として函館保線所長、大沼と函館の保線管理室助役は諭旨解雇になり、現場労働者ら11人は出勤停止などの処分を受けた。
 他方、野島誠社長ら会社幹部13人は、役員報酬を最大50%カットされただけで、「現場がデータ改ざんを勝手にやり、役員は知らなかった」と責任を逃れている。
 公表されただけでもデータ改ざんが行われたのは保線の全44部署のうち33部署に上る。改ざんが保線区トップの指示で組織的に行われたことは明らかだ。入社間もない青年が勝手にデータを改ざんしたと言うのか。
 05年4月25日の尼崎事故も、23歳の青年運転士にすべての責任が押し付けられ、会社幹部は「無罪」となった。羽越線事故は「風のせい」にして死者・負傷者への賠償責任を逃れている。
 全責任はJR資本と政府・国交省にある。現場労働者になんら責任はない。トップの野島たちこそ監獄に行くべきだ。

 JR北海道の事故発生は私鉄の28倍

 政府・国交省は「データ改ざんは悪質」とJRを批判するが、国鉄分割・民営化を強行した国交省(旧運輸省)も安全破壊の張本人だ。
 その証拠が、上の表だ。これは会社内部に原因がある運転阻害事故(30分以上の列車の遅れまたは運休)が列車走行100万㌔あたり何件発生したかを示している。
 JR7社平均で大手私鉄15社の11倍、JR北海道に至っては28倍だ。
 このデータにはJR北海道で事故が激発した13年4月以降は含まれていない。それでもこの数値だ。JR北海道は11年5月の石勝線特急列車炎上事故後、業務改善命令を受けて「安全最優先に生まれ変わる」と表明したが、事態はより悪化した。
 大沼駅脱線事故後、国交省はJR北海道に特別監査を行ったが、監査に入ることはJRに事前に通知された。だからJR北海道は、監査の前日にもデータ改ざんを指示し、野帳の焼却などの証拠隠滅を行ったのだ。
 保守部門などでJR社員や下請け労働者が列車にはねられる触車事故、転落、感電などが相次いでいる。昨年6月25日には根室線で保線の下請け労働者が触車事故で亡くなった。作業員の安全を守らない会社は乗客の安全も破壊する。
 事故多発とデータ改ざんは、国鉄分割・民営化による大量解雇と、2万2640人を7千人に減らしたJR体制下での要員削減、経営赤字下での徹底した保安費削減の結果だ。国鉄分割・民営化の破産はもはや明白だ。
 今必要なのは、政府とJR体制にその責任を取らせる労働者・労働組合の闘いだ。全国で反合理化・運転保安闘争を闘おう。今こそ国鉄1047名解雇撤回、外注化粉砕・非正規職撤廃の闘いを非妥協的に進めよう。安全破壊のJR体制を打ち倒そう。

 資本とカクマルの癒着・結託が元凶

 分割・民営化とその後の合理化・要員削減、外注化・非正規職化を受け入れてきた労働組合の責任、特にJR総連・JR北海道労組の罪は重い。彼らは今もひたすら沈黙を続け、JR体制の維持に躍起となっている。
 JR総連は「責任追及から原因究明へ」を唱えてJR幹部の責任逃れを助ける一方、「すぐ直さないと危ない」「なのに人も金もない」という現場の声を圧殺してきた。
 JRのある職場では、不正を憎む労働者を「超勤は認めない」と職場から追い出した後で「鉛筆なめなめ」と呼ばれるデータ改ざん、帳尻あわせが行われている。
 こうした実態は、資本とカクマルの結託体制のもとで恒常化した。JR総連はマスコミからも「人減らしや予算圧縮に主要労組は反発せず、なれ合いを選んだ」(日経新聞2・3付)と言われるほどに腐っている。
 1月15日に遺体で発見された坂本真一相談役(元社長)は、「経営陣とカクマルの闇を一番知っていた人物」で、今後の調査で自分の弱みが噴出することを恐れて自殺したと言われている。
 こうしたJRの現実に、現場労働者、特に青年労働者が怒りの反乱を開始した。東京都知事選に立った鈴木たつお氏の選挙戦に駆けつけた多くの青年労働者の中には、JRで働く青年たちがいる。「新自由主義攻撃は国鉄分割・民営化から始まった。これと闘ってきた私こそ本物だ」という鈴木氏の訴えは、青年の心を確実にとらえた。
 動労千葉・動労水戸・動労西日本・動労連帯高崎と国労郡山工場支部の闘いは、都知事選決戦を通して労働運動を激しく揺さぶり、壮大な決起を切り開こうとしている。青年たちはどの職場でも「JRはブラック企業」「元祖、大ブラック」と平気で言い出している。資本とカクマルの結託体制を恐れない闘いが噴き上がろうとしている。
 この怒りと結びつき、青年の怒りを2・16国鉄集会に組織しよう。
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 表 JR各社の事故発生率(2012年4月~2013年3月)
JR北海道、5.04
JR東日本、1.82
JR東海、0.99
JR西日本、1.77
JR四国、0.66
JR九州、1.27
JR貨物、3.16
JR7社平均、0.99
大手私鉄15社、0.18
(事故発生率は列車走行100万キロあたりの会社内部に原因がある事故発生数)
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