3・23―26首都決戦へ 三里塚 新たな3万人署名貫徹し市東さんの農地守り抜こう

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週刊『前進』06頁(2621号05面02)(2014/02/24)


 3・23―26首都決戦へ
 三里塚 新たな3万人署名貫徹し市東さんの農地守り抜こう

 はじめに

 東京都知事選決戦は首都・東京において労働者の革命的権力を打ち立てる蜂起戦として闘われ、決定的な地平を切り開いた。候補の鈴木達夫さんは労働者階級の代表として「労働者階級こそ社会を変革する主人公だ。労働組合のもとに団結して闘おう」と真っ向から訴えて闘った。
 選挙戦を通して、スターリン主義・ファシストどもをなぎ倒していく階級的団結の中核があらゆる所で生み出された。自らの職場・キャンパスで資本と非和解で闘う労働組合・学生自治会を生み出すことに生涯をかけて立ち上がろうとする青年・学生の鮮烈な登場は、2010年代中期階級決戦勝利の展望を押し開いた。
 その一方で安倍政権は、名護市長選での敗退、大阪市長・橋下辞意表明に示される労働者階級の怒りと決起に打ち震えながら、絶望的に凶暴化している。「積極的平和主義」を掲げ、解釈改憲による集団的自衛権行使容認や辺野古新基地建設、原発再稼働・原発輸出などの改憲・戦争への動きと一体で、労働者派遣法改悪による総非正規職化攻撃、TPP締結に向けた動きも加速させている。
 「大失業と戦争」の安倍政権打倒へあらゆる怒りをひとつにし、ブルジョア国家権力の打倒に向けて解き放つのは今だ。三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける3・23三里塚大集会(東京・芝公園)―3・26市東さん農地裁判控訴審(東京高裁)に大結集し安倍政権を打倒しよう。

 農地死守する三里塚は安倍政権打倒の最前線

 市東孝雄さんの農地死守の闘いは安倍政権を打倒する最前線だ。なによりも、安倍の戦争政策と真っ向から対決する闘いである。成田空港は、朝鮮有事の際の米軍受け入れ・兵站(へいたん)拠点となることがすでに暴かれている。最近も米軍のチャーター機が「緊急」と称して着陸するなど、軍事拠点としての成田空港の完成を支配階級は虎視眈々(たんたん)と狙っている。東アジアをめぐる争闘戦の激化の中で、「反戦反核の砦(とりで)」として軍事空港建設を阻んでいる地平は決定的だ。
 同時に、三里塚は国際拠点空港建設という日帝の航空政策を破綻に追い込んでいる。成田空港会社(NAA)社長の夏目誠は「このままではアジアの主要空港や国際化した羽田との競争に勝ち残れない」とあせりをむき出しにしている。新年冒頭のあいさつで、「開港以来の最大の変化ともいうべきオープンスカイ(航空の自由化)が、昨年夏ダイヤより成田空港でも適用され、航空会社が自由に空港を選ぶ時代に突入した」「(航空会社に)選ばれる空港を目指す」と危機感をあらわにし、「駐機場やLCC(格安航空会社)専用ターミナルビルの整備」「2014年度中の空港容量30万回への拡大へ向け取り組み、路線誘致を積極的に展開する」などと述べている。そもそもは、航空需要の増大に対応するためと成田の整備・拡張を主張していたにかかわらず、実のところ「早朝や昼間などピーク時以外では発着枠に余裕がある」(日経新聞12年2・24付)という中で、空いた発着枠をうめることに必死なのだ。
 その目玉が、LCCの誘致だ。しかし、発着時間の制限や、世界一高い着陸料がネックとなり、さらにLCCスポット増設計画も2軒が土地買収に応じなかったため縮小を余儀なくされている。そもそもLCC自体が経営破綻の危機にあえいでいる。
 何より、新自由主義による雇用破壊・安全破壊という現実が成田でも強制され、労働者・周辺住民の怒りで成田空港は包囲されている。雇用破壊問題については、空港内関連事業合わせて4万8千人が働いていた労働者が、リストラや合理化により11年の1年間でおよそ1万人も削減された。10年3月に2兆3千億円という国内事業会社として最大の負債を抱えて破綻した日本航空の再生策は、労働者の3割の首切り、残った労働者の賃金も2〜3割カットするという大リストラ・賃下げ攻撃だった。政府は、会社更生法の枠組みのもとで国家的な支援を注ぎ、リストラ推進を公認した。その結果、わずか2年で過去最高益を更新した。労働者の生き血をすすり生き延びようとする資本に断を下さなければならない。
 同時に安全破壊の現実も深刻だ。国交省による100項目もの航空規制緩和、同時並行離着陸方式の運用の開始、飛行時間の制限緩和がなされる中で、騒音・大気汚染、航空機からの落下物の被害が拡大している。反対同盟一斉行動では「騒音で睡眠薬を飲まなければ眠ることができない」と訴えるお年寄りや、「落下物は本当に怖い。近くのビニールハウスに穴が開いたんだけど氷はとけるから証拠が残らない」との農民の怒りの声が寄せられている。すべて国家・資本による犯罪行為だ。福島・沖縄と連帯し一切の責任を取らせなければならない。

 「三里塚コミューン」と労農同盟を強化しよう

 こうしたNAAのでたらめに対して、市東さんの農地を守る闘いの正義性は明らかだ。食と農という人民の生活・生存基盤を守るという大義は何人たりとも否定できない。そもそも社会存立の根拠・実体を担う主体は国家でも資本でもなく、労働する人間だ。労働者として働くことのできる社会的生活・生存基盤を破壊しておいて何が公共性か。今や国家・政府自体が、「利潤のために国を食い物にし、食い尽くす資本」(ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』)の私的利益を代表する政治機関としてむき出しで迫ってきている。
 こうした国家のあり方に真っ向から対決し勝利しているのが三里塚闘争だ。市東さんは記者会見で次のように語った。
 「確かに7割もの農地を奪われるわけですから農業をやるなという攻撃です。しかし、それ以上に〝空港に反対するな、他で暮らせ〟っていうことだと思うんです。空港ははっきり言って破綻しているし、うちの畑を取らなくても飛行機は飛んでいる。血税をかけてまでやる必要性もない。結局、国に逆らう者は存在しちゃいけないんだってことだと思うんです」
 この発言に空港反対闘争の核心が言い表されている。国家権力の全体重をかけた国策を打ち破ってきた闘いが三里塚闘争だということだ。「長い間日本の人民を苦しめ続けてきた権力と、はじめて全面的に対決し、日本人民解放の先頭に立つ三里塚を世界の人民が見守っている」(羽仁五郎)のだ。市東さんは、国家・資本による犯罪を絶対に許さないと、福島・沖縄の人びととの連帯をどこまでも求め、一体のものとして闘いぬく不退転の決意を固めている。
 労働者階級は、パリ・コミューン(1871年)によってブルジョア独裁の政治機構と闘うためにプロレタリア独裁という新しい政治機構が必要であることをつかんだ。三里塚闘争もまた、国家・資本と闘うために闘いを生活化し、動労千葉・反対同盟の労農同盟を軸にしたコミューンを生み出した。国家暴力と闘わず国家権力の手先となったスターリン主義や社会民主主義のくびきを打ち破り、自主的に武装した農民と労働者が国家と真正面からぶつかり団結を維持してきたのが三里塚だ。
 プロレタリア独裁に向けた階級形成という革命的任務を自覚する党、ゼネストの任務を自覚する労働運動こそが求められている。職場支配権を奪取し、階級的労働運動の発展をかちとろう!

 労組旗・自治会旗を掲げ霞が関に攻め上ろう!

 農地裁判控訴審闘争勝利に向けた闘いは前進している。反対同盟は、農地取り上げに反対する新たな3万人署名運動を全力で推し進め、地元周辺地域に分け入り、多くの署名をかちとっている。空港と地域との「共存共栄」キャンペーンは真っ赤なうそであり、これ以上の空港拡張は絶対に許さないという怒り、NAAの労働者の賃下げ・首切りと安全無視に対する怒りは、反対同盟と結びつき、再び北総台地を揺るがす闘いへと発展しようとしている。昨年5月以来10回にわたって展開された一斉行動を発展させ、1月に亡くなった事務局次長・萩原進さんの「千葉県中を反対同盟に組織したい」という遺志を引き継ぎ闘おう。
 今こそ国策と闘う階級的団結を形成する時だ。「絶対反対」を現場で貫き闘い続けてきたことによって、昨年の動労千葉・鉄建公団訴訟9・25控訴審判決、今年の法大暴処法弾圧裁判での2・12高裁無罪判決がかちとられた。「反動の牙城」=東京高裁でも団結を固めれば打ち破ることができる。
 東京高裁・貝阿彌誠裁判長を震え上がらせる闘いを「裁判所を押しつぶす勢いで」(市東さん)闘おう。3・23―26首都・東京で安倍打倒の火柱を! 新たな3万人署名を集め、東京高裁・霞が関一帯を揺るがす大隊列を登場させよう。
 〔土屋栄作〕
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