教育委員会制度の改悪狙う 戦争・民営化の安倍倒そう

週刊『前進』06頁(2623号03面02)(2014/03/10)


 教育委員会制度の改悪狙う
 戦争・民営化の安倍倒そう


 安倍政権が進める教育委員会制度の改悪案が2月18日、自民党小委員会で了承された。安倍は「いじめ問題」を口実に「教育行政の最終的な責任が明確化できていない」(17日、衆院予算委員会)として今国会での法案提出を表明。改憲・戦争と民営化の安倍「教育改革」攻撃に絶対反対で、職場から総反撃に立ち上がる時が来た。

首長の強権で労組・分会つぶしを狙う

 自民党がまとめた教委制度改悪案の特徴は、国、首長が教育行政に対し強大な権限をもつというものだ。
 現行の教委制度では、教育委員会が教育長を選任するが、改悪案では教育長と教育委員長を統合した「新教育長」(仮称)を設置、これを首長が直接任命・罷免できるとした。首長の意向を反映するために、任期も4年から2年に見直す。
 さらに首長主宰の「総合教育施策会議」(仮称)を設置し、「教育行政の大綱的方針」として学校の存廃、教職員の人事、予算、教科書採択の方針などを決定する。
 また、教委に対する首長の措置要求や、文科省の教科書問題などにおける直接指導もできるようにするという。
 すでに形骸化された教委制度の中で、政府と財界が結託した教育攻撃・労組破壊攻撃に対抗してきたのは職場の闘いであり団結だ。安倍政権はこの団結した力に恐怖し、ついに国と首長の強権でそれをねじ伏せようと踏み込んだのだ。これに職場支配権をかけ、社会の怒りの先頭で現場から反撃を開始する時が来た。

改憲と一体の戦後教育制度解体の大攻撃

 教育委員会制度改悪は、改憲攻撃と一体の戦後教育制度を根本的に解体する大攻撃だ。
 安倍は「戦後教育はマインドコントロール」と罵倒(ばとう)し、「教育再生」をうたい、「教育委員会改革は、教育再生の基盤」と位置づけている。教育はもちろん内閣法制局、NHK、最高裁などすべてを牛耳り、帝国主義戦後世界体制への絶望的挑戦を開始した。ゆえに問題は教育行政の「政治的中立」が確保されるか否かではなく、帝国主義間・大国間の争闘戦が戦争的対立にまで激化する時代において、新自由主義の破綻と3・11情勢に直撃された安倍政権の絶望的な突出に対し、階級的団結を拡大し、安倍政権を打倒するのか否かにある。労働者こそ社会の主人公であり、労働組合には社会を変える力があることを示していくことだ。
 「教育再生は、経済再生と並ぶ日本国の最重要課題」(教育再生実行会議)と安倍は公言している。「成長戦略」で民営化・総非正規職化、解雇自由化を進めて労働運動を解体しつつ、「『強い日本』を取り戻すためには教育再生が不可欠」「教育再生の目標は、世界トップレベルの学力と規範意識を身につける機会を保障すること」(安倍)と教育を一握りのエリート育成と戦争動員に使おうとしている。「戦争と総非正規化」を一体で推し進める意図を隠そうともしない。道徳教育の教科化、領土教育の強化、教科書攻撃も、日米争闘戦の最大の戦場である東アジアにおいて激しい対米対抗性をむき出しにしたものだ。

学校の民営化と労組破壊に職場から闘う

 教委制度改悪は職場を一変させる。それは、単に「教育への国家統制が強まる」ことにとどまらず、国家財政が破綻する中、教育行政への権力を手にした国、首長が、公教育を全面的に破壊し、学校の民営化=教育公務員の解雇・総非正規職化、労組破壊を暴力的に推し進める。「公務員の岩盤を崩す」大攻撃だ。
 昨年12月、公設民営学校を解禁する国家戦略特別区域法が成立、「公立学校の管理を民間に委託することを可能とする」と明記された。
 最大の焦点は労働組合の解体だ。「(教育委員会は)特定の教職員団体と関係が強く『マフィア化』している」(教育再生実行会議・八木秀次)と描き、教育委員会もまとめて解体するという、国鉄分割・民営化過程の激しさをもっている。
 安倍の教委制度改悪の原型は、橋下徹が大阪府知事、市長時代に策定した教育基本条例だ。今、大阪では教職員に処分を乱発し低評価をつけ「指導研修」送りにして分限免職にするという、民営化に向けた解雇攻撃が始まっている。年休取得も評価の対象だ。全国においても、年休を取得した条件付き採用の教員が解雇されようとしている。
 アメリカでは教育の民営化で09年以来、30万人の教員が職を失い、約4千校の公立学校が閉鎖された。学力テストで序列化―予算削減―廃校による解雇や「結果」を出せない教員の解雇・非正規化が吹き荒れ、教育は企業の投資対象となった。

国鉄決戦軸に財界と極右の支配うち破れ

 安倍「教育改革」を主導する教育再生実行会議には、日本の侵略戦争を美化する育鵬社版の歴史・公民教科書を発行している極右・八木秀次、右翼教職員団体の全日本教職員連盟委員長・河野達信、原発・武器輸出を受注した三菱重工の佃和夫、産経新聞取締役の大竹美喜らが登用された。過労死ぎりぎりの長時間・過重労働、賃金削減と教職員定数削減、業績評価などの上に、安倍ら極右・財界たちに職場と労働を破壊されてたまるか! 職場を回しているのは教育労働者だ!
 安倍のもとでのファシスト勢力の登場に対し、国鉄決戦を軸とした階級的労働運動と国際連帯闘争をもって対決すれば勝利できることを、鈴木たつお候補を押し立てた東京都知事選の闘いは示した。国鉄1047名解雇撤回闘争の高裁9・25判決の勝利の力を発展させることが、新自由主義・安倍政権を倒す展望だ。
 国鉄分割・民営化体制は大破産し、民営化・非正規職化によって社会は崩壊し、1%の資本家のために労働者を犠牲にして戦争に突き進む安倍政権への怒りが渦巻いている。安倍「教育改革」攻撃との闘いに妥協の余地はない。連合の「参加・提言・改革」路線は破産した。日教組本部は昨年の大会で「政策実現可能な政治勢力と支持協力関係を構築する」と打ち出し、公設民営学校解禁に声明すら出せない。安倍政権の手先へと急転落している。
 国鉄10万筆署名を集め、教育の民営化絶対反対・非正規職撤廃で労働組合の拠点建設と権力奪取に突き進もう。職場から安倍「教育改革」と闘い、国鉄・公務員決戦を先頭に14春闘に立とう。
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