前進社国賠 警視庁公安藤井を追及中身も見ずに大量に強奪

週刊『前進』06頁(2623号06面02)(2014/03/10)


前進社国賠 警視庁公安藤井を追及
中身も見ずに大量に強奪

N同志の証言が押収の違法暴く

 2月28日、前進社国家賠償請求訴訟の第20回口頭弁論が東京地裁民事第1部(後藤健裁判長)で行われた。この日は、暴力的で違法な捜索・押収を行った警視庁公安1課(当時)の藤井俊裕を法廷に引きずり出し、徹底的に弾劾した。さらに、立会人のN同志が証言し、藤井のデタラメな捜索の実態を暴いた。
 前進社国賠は、2009年10月16日の法大闘争に対して「公安条例違反」をデッチあげて2学生を逮捕し、それを口実にした前進社への捜索・押収に対して損害賠償請求を起こした裁判である。藤井は、前進社からの全押収物1418点の半分を1人で押収した人物だ。絶対に許せない。
 まず、捜索に立ち会ったN同志の証人尋問が行われた。立ち会った場所は、机が5個と棚が所狭しとある小部屋だ。ここには、機関誌『共産主義者』や『本多延嘉著作選』を始め前進社発行の単行本やパンフレット類をデータ化した記録媒体が多数保管されている。
 この部屋を藤井ら3人の警察官が捜索し、その立ち会いをN同志1人で行った。N同志は「藤井は9時10分ごろ、捜索令状を提示し、11時半ごろには押収物の機関紙誌類やパンフなど27点を記した押収品目録交付書に署名した。『押収物はすべて公安条例違反と関連性がない』と抗議したが、藤井は『法大や全学連という記載があるからいいんだ』と答えた」と証言し、デタラメで不当な押収の実態を暴露した。
 しかし、藤井の違法・不当な押収はこれにとどまらなかった。N同志はさらに、「藤井が突然、『ラベルに記載がない。内容が不明だから押収する』と言って記録媒体を押収し始めた。ラベルも見ずに、机の引き出しの中も棚にあるものも全部丸ごとだ。目録にはフロッピーディスクやMOという種類と枚数だけを記載するデタラメさだ」と弾劾した。また、「『ラベルで教育労働者の訪米報告パンフや作成途中のデジタル版本多著作選だとわかる』と抗議しても無視し、手当たり次第に押収した」と暴露した。
 その上でN同志は、「押収品の点数すら確認させずに次々と封筒や段ボール箱に詰め込んで強奪した」「最後は捜索の最高責任者である星隆夫警視も来て、応援の警察官2人と合わせて6人が抗議を無視して押収を強行した」と証言した。
 N同志は「そもそも公安条例自体が違憲だ。しかも、デッチあげ逮捕だ。革共同に対する情報収集を目的とした違法な捜索・押収であり、革共同の思想・表現・出版活動に対する政治弾圧だ」と弾劾し、証言を終えた。

居直りとウソでしどろもどろに

 次に、藤井に対する証人尋問が行われた。藤井の陳述書には「前進社にある記録媒体は、市販されている音楽CD等以外は全部押収対象」とある。この点を原告代理人弁護士が追及すると、藤井は「その通り」と開き直った。国家権力が革共同の闘いに恐怖しているとはいえ、憲法も法も無視して、むき出しの暴力で政治弾圧を加えることなど絶対に許されない。
 捜索令状にも「被疑事実と関連性のある(物)」を押収対象とすると記載されている。藤井はこれを公然と無視し、無関係な記録媒体を手当たり次第に押収したのだ。今回の捜索・押収の目的が「公安条例違反」の「捜査」でも何でもなく、情報収集と政治弾圧、思想弾圧を目的にした、違憲・違法なものであったことを公然と認め、大破綻したのだ。
 その上で藤井は、「捜索の途中で捜索責任者の川島勇二警部から、『抗議が激しいから証拠隠滅の恐れがあり、記録媒体の内容を確認しないで押収してよい』と指示があった」とうその証言をした。原告代理人弁護士が、「そんな重大なことがなぜ陳述書に記載されていないのか」と追及。藤井は「記載するようなことではない」「記載漏れでした」とうろたえ、見苦しくも証言を変遷させた。
 裁判官に「押収物について立会人に確認したのか」と聞かれた藤井は、「袋から出して全部確認した」と証言。通常は押収品を立会人に確認してから袋に入れる。それをまた袋から出して確認することなどない。しかも、押収品目録記載の点数に3カ所も誤記があった。本当に立会人に確認したのならこんな誤記はあり得ない。藤井は見え透いた偽証を繰り返ししどろもどろになった。
 この日は傍聴席に警視庁公安の私服が8人も押しかけ居座った。違法な捜索押収が暴かれることを恐怖したあがきである。原告と弁護団、傍聴団が一体となって徹底的に弾劾した。
 前進社国賠は、安倍政権の戦争と改憲攻撃の激化の中で、警視庁公安部の腐敗・破綻を暴く決定的闘いになっている。次回(4月18日)の証人は、捜索責任者の川島勇二だ。傍聴に駆けつけ、徹底的に弾劾しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加