福島から核も原発もない社会つくる 3・11郡山に1100人が集う 反原発福島行動ʼ14の発言

週刊『前進』06頁(2624号02面01)(2014/03/17)


福島から核も原発もない社会つくる
 3・11郡山に1100人が集う
 反原発福島行動ʼ14の発言

(写真 かんしょ踊りと「牛みこし」先頭にデモ デモ出発を前に郡山市総合体育館前は熱気にあふれた【3月11日】)

(写真 三里塚反対同盟の市東孝雄さん、萩原富夫さんを始め全国から集まった全国農民会議が登壇。代表して大内孝さんが発言)

(写真 華やかな衣装に身を包んだ地元福島の女性たちと、そろいの法被を着た全学連の学生がかんしょ踊りでデモを盛り上げた)

福島からのアピール

労働組合がすべてを一つに 国労郡山工場支部 橋本光一さん

 国労郡山工場支部は原発事故以来、JR会社に放射能対策を求める運動をしてきました。工場に入場した車両よりも、検査・修繕が終わって出ていく車両のほうが放射線量が高い。工場の放射線を含んだ粉じんが電車の屋根に降り積もって電車の線量が上がっている。私たち労働者は工場内にまき散らされている粉じんを吸引して内部被曝させられています。
 原発事故時に約20㌔地点で被曝した車両4両が昨年7月に検査・修繕のために入場しました。職場全体で反対運動をつくり、現場長に連日「説明会をやれ。線量を測れ。内部被曝対策を行え」と追及して、当局に防護服とマスク、ゴーグルなど原発作業員と同様の防具を準備させました。青年を被曝車両作業から除外させた職場もあります。夏の暑い時期に完全防備で作業するのは大変でしたが、みんな重装備での作業をやりぬきました。
 原発事故から3年。家族と一緒に県外に避難して「毎日新幹線通勤で大変だ」と言う人。「子どもも親戚も家にも墓参りにもなかなか来なくなった」と嘆く人。それぞれの考えや事情を抱えてみんな、必死で生きぬいています。それをまとめて一つにする力が労働組合にある。国労郡山工場支部は福島県と郡山の反原発運動を一本にまとめるため全力で頑張ります。

ポケモン列車に感じた憤り 動労水戸 羽部圭介さん

 水戸駅と郡山駅をつなぐJR水郡線の運転士をしています。鉄道というのは今まで戦争や災害とかいろいろな歴史の中で、列車が走る姿を見て僕たち鉄道員も地域のみなさんも希望を持つ、そういう力を持っていると私は思っています。
 しかし、ポケモントレインの水郡線と常磐線・いわき〜広野間での運行は違います。原発も収まっていない中で、明らかに竜田駅への延伸に向けて、その地域への帰還に向けてのデモンストレーションです。非常に憤りを覚えました。ポケモントレインを楽しみにしていた子どもたちは乗せてあげたい。でも危ないから乗せたくない。本当に葛藤しました。でもやっぱりおかしい。原発に向かっていくポケモントレイン、それはないです。
 組合としてこの間の運動で、地域のみなさんとのつながり、僕たち組合員一人ひとりが放射能に対して今一度考えるよい機会になりました。
 最近、世の中が放射能に悪い意味で慣れてきているように感じる。町中にモニタリングポストがあるのが当たり前になってしまっている。これは非常に危険なことです。目に見えない放射能を相手にするには相当な覚悟を持って運動していかなければいけないなと考えています。先の長い長い闘いになります。ともに頑張りましょう。

自分たち自身が変わること 全国農民会議 大内孝さん

 3・11の東日本大震災と原発大事故の後、「私たちは何か悪いことをしたでしょうか」という声を何回か聞きました。確かに悪いことをした人もいるかもしれませんが、していない人の方が多いと思います。しかし、悪いことをしなかったにもかかわらず、原発事故の大きな原因をつくってしまった、あるいはそういう中に身を任せてしまった自分を徹底的に反省し克服することなしに、この3・11を語ることはできないと思います。
 政府と電力会社は今、再稼働にむかって着々と準備しています。その利権のおこぼれにあずかろうとする者もいる。確かにすべての責任は東電と政府にある。しかし私たちの側にもいくらかの意識のずれや対立もあったと思います。そのことが3・11をとおして明らかになったんじゃないかと思います。
 原発のない社会を実現するということは、自分自身のこれまでの古い考え方、体質、意識、それを根本的に変えるような、内なる動きも必要だと思います。
 私たちは農業生産に携わっている者ですが、福島の現実を訴え、ここにいるみなさんと問題を共有しながら、労働者や子どもを抱えているお母さんたちの思いを共有して、私たち自身も意識を飛躍させていきたいと思っています。

自分と2世、3世の健康守る 福島出身の高校生

 私は名前も知らない人に泣きながら謝られました。「私たちのせいで関係のないあなたたち福島の子どもが苦しむことになってごめんなさい」。私は何も声をかけることができませんでした。
 つらくなかったと言えばうそになります。福島に残るということは、将来、病気になる確率が高くなり、結婚して子どもを産むことに抵抗を覚え、子どもを産めば、その子どもが苦しむかもしれない。子どもに対して罪悪感と後悔にさいなまれるかもしれません。
 私は原発が爆発した次の日には山形にいました。原発が爆発したとニュースを聞いた後、外に出た時、寒気がし、鳥肌が立ちました。その時からうすうす気がついていたのかもしれません。もう元の福島はないと。
 原発の危険性がわかっていながら知らんぷりをする罪は、直接かかわっている人と同じくらい、もしくはそれ以上の重い罪だと思います。今が楽しければ未来が真っ暗でもいい、そんな逃げるような考えをしていた私を私は絶対に許しません。私は自分の健康を守ります。そして次の命も産まれ健康であるために、今の私が健康でなければなりません。私の罪は2世、3世を守ることによって償います。福島を支えて闘ってくれている方たち、本当にありがとうございます。

地元大学から声上げ続ける 福島大学の学生

 福島大学で原発反対を叫ぶことは容易なことではありません。これまでに何度か教授から呼び出しを受け、「過激派団体と付き合うのをやめろ」と言われました。大学から両親へ「過激派とのつながりを切るように説得してほしい」という連絡をしてきたこともありました。福大当局や教授は、口では「原発反対」を語りながらも、学生が主体的に原発反対を訴え行動することを阻止したいと思っているのです。
 福大当局は反原発の企画のための教室貸し出しの申請をすべて不許可にし、「反原発をかたった過激派団体の勧誘に注意」という看板を大学構内に設置しました。副学長も務めた清水修二が学生弾圧に積極的に加担してきました。彼は現在、県民健康管理調査検討委員会の副座長として放射能の安全キャンペーンを進めています。大学教授が学生を弾圧し、国の原発推進政策に加担することは本当に許せません。
 学生が団結して立ち上がり、大学を変えていくために闘うことが求められています。一人ひとりの力は小さくても、それは団結することでとても大きなものになります。「大学の主人公は学生だ。学生は当局や教授の言いなりではない」と信じ、大学と社会を変えるために闘いましょう。

甲状腺検査し子どもを守る ふくしま共同診療所医師 布施幸彦さん

 多大な募金をありがとうございます。そのおかげで一昨年12月に開院してもう1年たちます。僕ら診療所の医師は、全国に福島の現状の話をしに行きますので、ぜひ講演を設定してほしい。
 今福島では33人が小児甲状腺がん、疑いも含めれば74人です。一般的に小児甲状腺がんは100万人から10万人に1人と言われますが、福島では約7千人に1人、異常に多い。しかし県も国も「放射能の影響はない」と明言しています。
 甲状腺エコー検査で5・2㍉ののう胞があった子どもから甲状腺がんが出ている。しかし超音波の計測器とは、ある時は5・5、ある時は4・8というようなものです。そんなことで5・0㍉だった子どもは見捨てられて「次の検査は2年後」とされます。僕らの診療所では、ちょっとでも疑わしければ3カ月後や半年後に検査してフォローしようとしています。そうすれば確実に早期甲状腺がんを見つけることは可能です。
 福島の子どもだけの問題ではありません。東日本を始め多くの地域で起こっていることです。東日本にいた子どもたちにも小児甲状腺がんは出る可能性があります。だから子どもだけでなく大人も定期検診をちゃんと受けてください。うちの診療所に来てください。よろしくお願いします。

ここがあるから生きられる 福島診療所建設委員会 佐藤幸子さん

 みなさんの温かい募金で「希望の診療所」が開院して1年以上たちました。お母さんたちがどれほど救われたかわかりません。A2判定のお母さんの友達がいます。「2年待つことはできない」と診療所で診ていただいたら、すでにB判定になっていた。そういうことを認めてくれる診療所があるからようやく生きていけるという現実です。
 甲状腺がんが疑いも含めて74人。このことをマスコミが報道しない。県外で講演するたびに毎回「福島の子どもの甲状腺がんが何人か知っている方は手を挙げてください」と聞きます。原発や放射能にかなり危機感を持ってらっしゃる方でも、マスコミから情報を得たという人は一人もいません。友達から聞いた、ネットで見たという人が2〜3人。こんなことは許されません。
 その声を上げるため、福島の現地にいるお母さんたちも、顔を出して名前も出して取材を受けるという覚悟を決めました。これからこの現実を日本に世界に発信していかなければいけないと覚悟しています。
 私たちは「子どもを守りたい」という一心でふくしま共同診療所を立ち上げました。誹謗(ひぼう)中傷もたくさんありました。東電、国に逆らう診療所だからつぶしたい。そんな力に負けることはできません。みなさんのお力が必要です。どうぞお願いします。

海外からのアピール

(写真 左から韓国のイホドンさん、ドイツのケアスティン・ルーデックさん、米国のスティーブ・ゼルツァーさん)

ドイツで福島に連帯しデモ
 独・ゴアレーベン核廃棄物処分場建設反対同盟 ケアスティン・ルーデック前委員長

 福島の原発事故にはものすごいショックを受けました。私たちはその時もゴアレーベンでデモをやろうとしたんですが、私は何を言ったらいいかわからなかった。チェルノブイリ事故で原発事故のすさまじさはわかっていた。それがまた福島で起こってしまった。その後、自分も気を取り直して、福島と連帯して立ち上がりました。
 ドイツで数基の原発が止まったのは福島事故があったからです。しかし全部止めければならないし、全世界で原発を止めなければなりません。
 福島の事故は天災ではなく人災です。先週土曜もドイツの数百カ所で反原発のデモが行われました。けっしてあきらめず、きょうを闘いの日にしましょう。

全世界から原発なくそう
 米・運輸労働者連帯委員会 スティーブ・ゼルツァーさん

 明日、アメリカの日本領事館に「原発をただちにやめろ」という抗議行動を行います。安倍政権とオバマ政権は「放射能事故は克服できる」と言いますが、まったくうそです。このような大災害を起こしながら、原発をトルコやインドなどに輸出しようとしています。無実の星野文昭さんは原子力に反対して沖縄闘争に立ち、今も獄中に捕らわれています。全世界の労働者が団結して全世界から原発をなくそう。

原発の事故に国境はない!
 韓国・解雇者復職闘争特別委員会 イホドン議長

 みなさんの闘いは東アジアの脱原発・再生可能エネルギー政策、東アジア・全世界の平和をつくり出すために大きな力を与えるものです。二度とこのような大事故が起きないよう、みなさんの運動が大きな発展をかちとられることを祈っています。韓国でも3・11に合わせていろんな行事・行動を行い、みなさんと連帯しようとしています。原発の事故には国境はありません。みなさん、頑張ってください。私たちも力いっぱい連帯します。

全国からのアピール

口先でなく本物の行動を チェルノブイリへのかけはし 野呂美加さん

 私たちは20年間かけてチェルノブイリの子どもたちと本物の友情を分かち合ってきました。心と心がしっかり手を結んでいなければ、口先だけでは友情はできません。私たちには今、どういう運命を子どもたちに渡すのかが問われています。子どもたちに一番必要なことは「社会があなたたちを守ろうとしている」と伝えることです。口先だけではなく、子どもたちが本当に愛されていると感じられる行動をやりましょう。一丸となって、人間としてなすべきことをやりましょう。みんなで力を合わせればその社会はやってきます。

福島分断政策は沖縄と同じ 沖縄・元基地労働者 水島満久さん

 安倍政権は原発の再稼働と核燃料サイクルを維持している。原発がなければ生活が成り立たない現実を強制する福島の人びとへの分断政策は、辺野古新基地建設を強引に進める沖縄への攻撃と同じです。福島現地の闘い、沖縄の辺野古新基地建設阻止で追い詰められているのは安倍政権だ。
 沖縄でも闘う労働組合をよみがえらせます。反原発福島行動と基地撤去の沖縄闘争を固く結びつけて、きょうの行動をうちぬきましょう。

小さなアリでも象は倒せる 和歌山・脱原発わかやまネットワーク 寺井拓也さん

 原発立地を止めた地域は福島では浪江・小高、全国では30カ所以上あります。和歌山では1967年から20年を超える激しい攻防をとおして5カ所の立地計画すべてを拒んだ。最も激しく闘われたのが日高原発でした。
 88年の漁業組合の臨時総会では、審議打ち切りを宣言した組合長に対して、一人の反対派理事が壇上に駆け上がり、顔にこぶしを思い切りぶつけた。この一発のパンチが引き金となって組合は役員総辞職。これを受けて日高原発は事実上、白紙撤回となりました。
 漁協内では賛成派10人に対して反対派2〜3人。圧倒的少数で長い間闘いぬき、幹部にうちかったのです。このことは少数でも多数に勝利することができる、小さなアリでも巨大な象を倒すことはできることを教えてくれています。自信を持って前進しましょう。

集会宣言

あの日から3年
東京電力福島第一原発はいまだに空に、大地に、海に、私たちの生活の中に放射能を大量にばらまき続けている。
「僕は被ばく者ですか」――誰を責めるでもないこの問いをつぶやく高校生。これから、小児甲状腺がんが増え続けるであろう過酷な子どもたちの現実。
何がオリンピックか。何が再稼働か。大ウソつきの安倍政権。
故郷を家族を心のつながりまでをも分断され続け、苦悩する福島県民を捨てるのか。
声を上げた人たちがいる。母親たち。農民たち。こぶしを上げた人たちがいる。防護服を着た労働者。
この世の中を変えるのはみんなの力。
3・11は全国全世界の反原発の日。鎮魂と闘いの日。福島に立って、未来に向かって社会を変えて行こうと、その思いを一つにする日。
子ども、親、学生、仮設の人々、農民、漁民、全ての労働者の怒りを結集し、自分たちの手で核も原発もない社会をつくろう。
 2014年3月11日

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