4・16一日行動―4・19尼崎へ 〝ストしたから不採用〟  鉄道運輸機構の最高裁での主張 新10万筆署名で反撃しよう

週刊『前進』06頁(2628号02面01)(2014/04/14)


4・16一日行動―4・19尼崎へ
 〝ストしたから不採用〟 鉄道運輸機構の最高裁での主張
 新10万筆署名で反撃しよう

(写真 1月22日の第1回署名提出行動で最高裁に向かう左から動労千葉の解雇当該・中村さん、高石さん、支援する会の山本事務局長、田中委員長)


 動労総連合の強制出向無効確認訴訟と解雇撤回・JR復帰署名の最高裁への提出行動が行われる4月16日は、同日の東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会解雇撤回裁判の判決とともに、重大な決戦だ。東京地裁と最高裁を震え上がらせる結集で4月16日を闘おう。(要項1面)

組合つぶしの首切りを自認

 最高裁を舞台にした動労千葉鉄建公団訴訟はさらに重大な決戦に突入した。被告の鉄道運輸機構(旧国鉄清算事業団)が最高裁に提出した文書の中身が明らかになった。
 鉄道運輸機構の主張は、要約すれば〝公労法上、違法なストを敢行して停職処分を受けた原告らは、JR各社の業務にふさわしい者ではないから、採用候補者名簿から除外されてもやむをえない〟というものだ。
 国鉄分割・民営化に伴う解雇が組合つぶしを目的に行われたことを自ら認め、〝分割・民営化に反対してストライキに立った動労千葉組合員はJRから排除されて当然〟と開き直ったのだ。
 13年9月25日に出された動労千葉鉄建公団訴訟の東京高裁判決(難波判決)は、「停職6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者はJR採用候補者名簿に記載しない」とした不採用基準の策定とその動労千葉組合員への適用を、明確に不当労働行為と認定した。それは、一審での元国鉄職員局職員課補佐・伊藤嘉道(証言当時はJR東日本・高崎支社長)の証言内容を否定することができなかったからだ。
 伊藤の証言内容はおおよそ次のようなものだった。①JR採用希望者が定員を下回った本州各JRでは、当初は希望者全員が採用候補者名簿に記載されていた。②87年2月2日から採用候補者名簿がJR設立委員会に提出された2月7日までの間に、不採用基準が急きょ策定され、原告らは名簿から削除された。③不採用基準の策定と名簿からの削除を伊藤らに指示したのは、職員局次長の葛西敬之(現JR東海名誉会長)だった。
 87年2月2日とは、分割・民営化に賛成し率先推進した旧動労と旧鉄労が合体し、鉄道労連(現JR総連)が結成された日だ。鉄道労連はその結成大会で、「国鉄改革を妨害する不良職員はJRに採用するな」という特別決議を上げ、動労千葉や国労の排除を要求した。不採用基準は、この鉄道労連の反動的な突き上げを国鉄当局が受け入れて策定されたのだ。
 否定しようがないこの事実を突きつけられて、反動司法も不採用基準の策定と適用を不当労働行為と認定するほかないところに追い込まれた。
 だから鉄道運輸機構は、最高裁段階では不採用基準の策定経過を巡る問題からは徹底的に逃げた上で、〝違法ストで処分された者はJR不採用にされて当然〟という、いわば資本の本音をむき出しにした主張で押しわたろうとしてきたのだ。

不当労働行為の主体はJR

 国鉄改革法23条は「JR設立委員が国鉄を通じてJRの労働条件と採用基準を提示し、JR職員の募集を行う」と定めていた。国鉄改革法の成立を受けて設置されたJR設立委員会は、86年12月11日の第1回会合で、「国鉄在職中の勤務の状況からみて、当社の業務にふさわしい者であること」という採用基準を決定した。これは国鉄当局を通じて国鉄職員に明らかにされた。
 最高裁に出した文書で鉄道運輸機構は、〝採用希望者全員を名簿に記載すれば、「承継法人(JR)の業務にふさわしくない者」まで名簿に載ってしまうから、不採用基準を策定したことは当然〟〝原告らは「国鉄在職中の勤務の状況からみて、JRの業務にふさわしい者」という基準に合致しない者として、名簿から除外されてもやむを得ない者であった〟とさえ述べている。
 そして、不採用基準は〝「当社の業務にふさわしい者であること」という採用基準を提示したJR各社の設立委員の意思を忖度(そんたく)して策定された〟と言う。
 「忖度」とは「他人の心を推察する」という意味だ。しかし、実際には推察どころではなく、『国鉄改革前後の労務政策の内幕』と題された井手文書が自ら暴露しているように、当時、国鉄総裁室長だった井手正敬や葛西敬之らは、JR設立委員長だった斎藤英四郎(当時、経団連会長)と密接に謀議して不採用基準を作ったのだ。何より、井手や葛西自身が発足直後のJR西日本、JR東海の社長に納まっているのだから、井手や葛西の意思こそがJRそのものの意思だったことは明白だ。
 鉄道運輸機構が最高裁の段階で新たに持ち出してきた〝不採用基準の策定はJRの意思でもあった〟という主張は、不当労働行為の主体がほかならぬJRであったことを自認しているに等しい。〝JR不採用の責任は採用候補者名簿を作った国鉄にあり、JRに責任はない〟という03年12月の最高裁判例は、鉄道運輸機構自身の主張によって崩れたのだ。ならば最高裁は、解雇撤回・JR復帰の判決を出すしかないはずだ。
 東京高裁・難波判決は、〝原告の名前が採用候補者名簿に載っていたとしても、JR設立委員によって採用を拒まれた可能性がある〟という理屈で、12年6月29日に出された一審白石判決が認めた「JR職員としての賃金相当額」の損害賠償を否定し、慰謝料に切り縮めた。
 鉄道運輸機構はその尻馬に乗る形で今回の主張を押し出してきたが、それは「JRの不当労働行為意思」を事実上、認めてしまった難波判決の矛盾をさらに深めるものになっている。「不当労働行為を認めたのならJRに戻せ」という労働者の当然の論理を最高裁に徹底的に突きつけて、解雇撤回判決をかちとるチャンスでもあるのだ。

総資本の攻撃打ち破る闘い

 現在、沖縄の日本IBM・ビジネスサービス労組の書記長に対する解雇や、東京・八王子西郵便局での正規労働者の青年に対する解雇など、階級的労働運動派に対するでたらめな解雇攻撃が至るところで仕掛けられている。それらはまさに、組合つぶし以外に何の理由もない不当な解雇だ。11年に強行された鈴木コンクリート工業分会の三役解雇もまた同じだ。
 こうした情勢の中で、鉄道運輸機構は資本総体の階級意思を体現して、〝労組つぶしの解雇のどこが悪い〟と真っ向から開き直り、その言い分を最高裁にも認めさせようとしているのだ。国鉄分割・民営化は解雇自由・総非正規職化に向けた資本の攻撃の出発点だったが、国鉄分割・民営化との闘いは今日も解雇をめぐる攻防の基軸をなしている。鉄道運輸機構が最高裁に提出した文書は、このことを敵の側から明らかにするものだ。
 解雇撤回・JR復帰を求める10万筆署名は、今吹き荒れる解雇と真っ向から対決する闘いだ。「ストをやったから解雇。こんな資本の言い分が認められるか」という怒りの声を10万筆署名に集約しよう。
 外注化粉砕と解雇撤回を一体的に闘って、JR体制を打倒しよう。4・16行動に結集しよう。

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