焦点 小学校の教科書に「尖閣・竹島」 戦争準備する教育を許すな

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週刊『前進』06頁(2628号05面03)(2014/04/14)


焦点
 小学校の教科書に「尖閣・竹島」
 戦争準備する教育を許すな


●検定合格の全4社が記述
 来春から使われる小学校社会科教科書に、排外主義と戦争をあおる領土問題が入れられる。文部科学省は4日、小学校用と高校用(主に3年)の教科書の検定結果を発表したが、小学校社会科で合格した全4社が3〜6年生のいずれかで独島(竹島)と釣魚島(尖閣諸島)を「日本の領土」と教える内容を入れ込んだ。
 「竹島」に関しては「韓国が不法に占領」「占拠」と記し、「尖閣諸島」についても「その周りの日本の海では、中国の船が侵入し、日本の同意を得ることなく海洋調査を行ったり、違法に漁業を行ったりするなどの行為を繰り返しています」(教育出版・5年用教科書)と踏み込んでいる。前回09年度の検定では「竹島・尖閣」に触れた教科書は17点中1点だけだったので、一挙に増加した。
 安倍政権の圧力の中で、教科書会社が政権の意向を先取りし、排外主義への屈服、傾斜を強めているのである。下村文科相は「出版社が適切に判断された」「学校現場で十分に領土教育をしてほしい」と語っている。これに先立ち、文科省は1月に中学・高校の学習指導要領解説書を改悪、「竹島・尖閣」問題を授業で教えるよう明記した。続いて小学校でも指導要領自体を改悪し、領土教育=戦争教育を強化する方針だ。
 教科書への攻撃は、安倍政権の戦争・改憲の攻撃そのものである。安倍政権は集団的自衛権や武器輸出解禁など、「国会で多数を占めているこの機会を逃せば、次のチャンスはない」とばかりにあせりにあせって、戦後体制を右側から突き破る攻撃を矢継ぎ早に繰り出している。その根底にあるのは、大恐慌のもとでの帝国主義・大国間の大争闘戦、領土・勢力圏の分捕り合戦であり、その中での日帝の敗勢である。
●日帝が侵略戦争で領有宣言
 「竹島・尖閣はわが国固有の領土」という政府の主張は、真っ赤なうそである。「尖閣」について政府は1895年1月14日の閣議決定を領有権の根拠としているが、それは前年から日帝が中国への侵略戦争(日清戦争)を開始し、中国大陸に次々と侵略軍を送り込んでいるただ中で閣議決定したものである。「竹島」は1905年1月の閣議決定を領有の根拠としているが、それは日露戦争の最中のことだ。第一次日韓協約(04年8月)で当時の大韓帝国の外交権を奪い、武力弾圧のもとで「竹島」編入を閣議決定した。1910年には朝鮮の植民地化(韓国併合)を強行した。
 このように侵略戦争で相手に銃剣を突き付け、何も言えない状態にして領有宣言を行ったものを「わが国固有の領土」などというのは、強盗の開き直り以外の何物でもない。
 そもそも世界単一の革命的階級であるプロレタリアートには祖国・領土・国境など存在しない。ブルジョア民族国家形成の過程で強化された国家・国境・領土などの概念は、一握りの資本家階級の利益のために労働者階級を分断し、団結を破壊し、戦争をするためのものである。戦争になれば、労働者同士が殺し合いをさせられるのだ。
 現場では「領土教育ふざけるな!」と、怒りと闘いの機運が高まっている。それに敵対し国家主義・排外主義をあおっているのが日本共産党だ。4・5付『赤旗』では、領土教育を賛美し、もっと政府は「竹島・尖閣は日本の領土」と主張せよと述べている。このような日本共産党と、日教組本部の屈服を弾劾し、職場で教育労働者が団結して闘えば、戦争・改憲の攻撃を必ず粉砕できる。
●危機深める安倍政権倒そう
 実際、安倍の戦争・改憲攻撃は、まったく狙いどおりには進んでいない。育鵬社版の右翼教科書の押し付けと闘う沖縄県竹富町は、地区協から離脱し、単独で教科書を採択する方針を決めた。また朝日新聞社の最近の世論調査では、「集団的自衛権の行使容認に反対」が前年よりも増え(63%)、「賛成」の29%を大きく超えている。階級的労働運動派の粘り強い闘いが、根底で労働者階級人民の怒りの爆発と闘いを支えている。
 階級的労働運動と労働者国際連帯こそが戦争を阻止する力だ。国鉄10万筆署名を推進し、安倍政権打倒へ総決起しよう。

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