高線量を隠し帰還強要 田村市都路地区  痛苦な思いで大半が拒否

週刊『前進』06頁(2629号04面03)(2014/04/21)


高線量を隠し帰還強要
 田村市都路地区  痛苦な思いで大半が拒否

避難指示解除を一方的通告

 安倍政権は4月1日、福島県の田村市都路(みやこじ)地区東部に出していた避難指示を解除した。福島第一原発から20㌔圏の旧警戒区域で初の避難指示解除だ。高濃度に放射能汚染されている地域に住民を強制的に帰還させようというのだ。絶対に許せない。
 しかも政府は、帰還を強要するために放射線量の調査結果の隠蔽(いんぺい)と、数値の操作まで行っていた。経済産業相と環境相を責任者とする内閣府の「チーム」は昨年9月、田村市都路地区、川内村、飯舘村の計43カ所で個人線量計を使い放射線量を調査した。だが高線量が計測されたため帰還政策の妨げになるとして隠し、さらに数値を低くする操作さえしていたのだ。
 安倍政権は、そもそも都路地区東部の避難指示解除を昨年11月に行おうと策動した。だが住民の猛反対で阻まれた。そこで安倍は、帰還の基準を年間被曝線量1㍉シーベルトから20㍉シーベルトにまで引き上げ、さらに放射線量の計測を空間線量から個人線量計に変更して線量が大幅に低く出るようにした。それだけではない。避難住民への精神的賠償(1人月額10万円)を避難指示解除後1年で打ち切るとし、指示解除から1年以内に戻った人に90万円支給すると決めた。避難している住民を困窮させ、帰還せざるをえないよう追い込もうとの手口だ。
 それほどあくどい策謀を重ねたあげく、2月23日の政府・市による住民説明会で、原子力災害現地対策本部長の赤羽一嘉は反対の声を踏みにじって4月1日をもって避難指示を解除すると一方的に通告した。
 帰還強要でどんなことが行われようとしているのか。田村市は4月から、西隣りの船引町に移転していた小中学校3校と幼保一体のこども園を地元に戻した。これによって、3校に通学する152人のうち、91人(60%)は船引町など避難先からスクールバスで通学することになった。子どもたちを避難先から、より汚染のひどいところに通学させるのだ。
 また、全教室にエアコン設置が進められ、地区体育館などに屋内遊び場まで新設された。心身の発育のために、子どもは屋外で遊ぶことが絶対に必要だ。実際に今、福島では屋内でしか過ごせない子どもたちの肥満などが深刻な問題となっている。外で思う存分遊ぶこともできない場所に、なぜ子どもを戻す! 福島の子どもたちに必要なのは、県外の汚染されていない地域への避難だ!

〝国の言うこと真に受けない〟

 安倍は帰還を次々と強行して「原発事故の収束」と「放射能安全」のデマをまきちらし、世界大恐慌と争闘戦が軍事的対立にまで発展している中で原発再稼働と輸出を進め、核武装まで狙っているのだ。
 多くの人が、痛苦な思いで汚染された古里への帰還強要を拒否している。仮設住宅で暮らす女性は「国の言うことを真に受ける人なんかいるか。今までさんざんだまされてきた」と怒りを語っている。都路地区において4月8日の時点で帰還したとされる世帯は4分の1だ。その人たちも、放射能への不安を抱えながらやむにやまれず帰還したのだ。
 避難住民を始め多くの福島県民が安倍政権、「1%」の連中のための政府への不信と怒りの中で、自分と子どもたちの命と生活は自分たちで守る、自分たちの未来は自分たちで決定すると歩みだしているのだ。
 安倍の帰還強要を絶対に許すな。福島の人々と団結し闘おう。ふくしま共同診療所の一層の発展を実現しよう。
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