国際連帯が革命の未来ひらく 日・韓・米・独の団結が大きく前進

週刊『前進』10頁(2630号10面01)(2014/04/28)


国際連帯が革命の未来ひらく
 日・韓・米・独の団結が大きく前進

 3・11福島原発事故、今も必死の捜索が続くセウォル号惨事――資本主義・帝国主義の絶望的延命策、新自由主義の歴史的な破産の現れだ。「命より金もうけ」の論理と現実を許してはおけない。闘う労働組合の再生をかちとり、国際的な団結をもって、この社会の主人公である労働者階級がひとつとなって闘い、世界革命を成し遂げよう。その条件は成熟しつつある。国鉄分割・民営化―外注化・非正規職化と闘う動労千葉を軸に、韓国、アメリカ、ドイツを始めとする戦闘的労働者、労働組合が出会い、同じ敵に向かって歴史的な挑戦を開始している。胸を張ってこの道を進もう!

韓国 労働者人民の怒りがパククネ政権に集中

(写真 鉄道労組ソウル地方本部のオムギリョン本部長ら約40人がソウル西部駅で強制配転の撤回を求め無期限ハンストに突入【4月9日 ソウル】)

 4月16日のセウォル号沈没事件は、新自由主義が引き起こした許しがたい惨事だ。4月23日、民主労総(全国民主労働組合総連盟)が声明を発した。「惨事の背景には構造的な原因がある。......人間や生命に対する責任より利潤を先に掲げる企業たちは、貪欲を効率性で包装してより大きな貪欲の自由を要求してきた。......その結果、韓国はOECD国家中、産業災害死亡1位になった。何よりも大型惨事が起きてはならないが、3時間ごとに1人が死に、毎年2400余人の労働者が死亡する残酷な産業災害の現実も、これ以上続いてはならない」と弾劾し、これと闘う社会的役割を民主労総が担うと宣言した。
 韓国では航空機のパイロットや鉄道保線、バス運転手などで非正規職化が進み、すでに安全崩壊に直結した状態なのだ。大韓航空では、12年末時点ですでに15%が外国人の非正規職パイロット。不法派遣の追及に対し大韓航空は、逆にパイロットと客室乗務員の派遣を合法化しろと要求している始末だ。また鉄道保線の外注会社「コレールテック」の非正規職の割合は96%に達し、11年12月には保線作業中の非正規職労働者5人がひき殺される事件が起きた。
 しかし、パククネ政権は、大統領任期中に経済関連の約3千件の規制を撤廃するとし、「反対は罪悪。抵抗する者は許さない」(3月20日)とまで公言し、公共部門の民営化・外注化・総非正規職化と労働組合解体の階級戦争に出ている。
 だが闘う民主労総は黙っていない。昨年12月、全国鉄道労組はKTXの分割・民営化に抗して闘った23日間の大ストライキを貫徹した。この歴史的ストによって韓国社会に「民営化=悪」という認識がいわば常識となって広がった。そして今回のセウォル号惨事だ。全人民の怒りがパククネ政権打倒に向かっている。

強制配転に反撃

 鉄道公社は昨年のストライキへの報復として130人の解雇を始めとする大量処分攻撃に出、ストの主力である機関士・整備士を中心に850人の労働者を強制配転する攻撃に出てきた。
 この強制配転を苦にチョサンマン組合員(釜山本部)が4月3日、命を絶った。7日、鉄道公社は726人に強制配転を通知。怒りに燃えた鉄道労組は午後2時、大田(テジョン)駅前で決意大会を開催し、キムミョンハン委員長は「故人が願っていた強制転出の中断と民営化阻止、労組の団結のために闘う」と宣言した。
 4月9日朝、イヨンイク前鉄道労組委員長とユチサン前事務局長が水色(スソク)駅前で鉄塔高空籠城に突入した。45㍍の鉄塔には「1人も送れない。強制転出撤回!」と大型横断幕が掲げられた。同日、オムギリョン鉄道労組ソウル地方本部長とソウル本部所属支部長を始め労組幹部約40人がソウル西部駅で無期限ハンストに突入するとともに、闘いは全国の拠点に拡大した。鉄道労組は団結を守り、全面ストライキをも射程に決戦体制に入った。

解雇撤回の勝利

 4月16日、鈴木コンクリート工業分会が東京地裁で解雇撤回の完全勝利判決をかちとった。その翌17日、韓国・亀尾(クミ)では金属労組KEC支会が148人の整理解雇撤回の勝利にわいた。
 一昨年5月、KEC支会の日本遠征闘争を動労千葉が支援。遠征団は鈴木コンクリート分会と門前闘争を闘った仲だ。
 今年3月、会社が148人の整理解雇を発表。解雇撤回の条件に賃金削減をのめと迫る会社に対し、KEC支会は断固拒否して会社との全面戦争を選んだ。以後、1カ月間の波状ストライキと宣伝戦を駆使し、御用労組の組合員をも獲得し、ついに整理解雇予定日の4月17日、解雇撤回をかちとったのだ。
 この2労組の勝利は、資本と非妥協に闘う労働組合の存在と闘いこそ労働者の希望であり、最も困難な職場で資本と闘うことが国際連帯であることを指し示している。労働者の敵は一つ、団結して闘おう。
(室田順子)

ドイツ ベルリンで全欧交通運輸労働者メーデー

(写真 ストライキ中のGDL【2011年3月30日】)

 「頼りにならないアメリカに代わって世界に責任をもつ」「そのためには軍事介入も辞さない」(ガウク独大統領の1月31日のミュンヘン安保会議開幕演説)と宣言し、ウクライナ危機への対米対抗的介入を表明したドイツ帝国主義。これに対し、鉄道労働者を先頭とするドイツ労働者階級は、新自由主義反対・民営化反対のメーデーを全ヨーロッパ規模の国際連帯統一行動として提起、反撃しようとしている。
 「ベルリン都市鉄道の民営化反対行動委員会」(昨年11月労働者集会に代表が来日)は、次のように呼びかけている。
 「われわれは、5月3日のベルリンでの全ヨーロッパ交通運輸労働者行動デー(メーデー)に、すべての交通運輸労働者が、自分たちの車両を連ねて参加することを呼びかける」「ヨーロッパ全域にわたる資本の間の競争が、われわれ労働者に賃金切り下げ・社会保障解体を強制している」「われわれ労働者は、各国の政府の政策によって分断され、相互に対立させられてはならない」「既成の労働組合が、現在、交通運輸労働部門に集中している新自由主義攻撃(民営化攻撃)に対し闘おうとしていない現状にあって、われわれ自身が闘いに決起するしか道はない」
 ドイツの交通運輸労働者は鉄道の民営化開始から20年をへて、▼鉄道労働者の数は半減、▼千以上の駅が消滅、▼7千㌔におよぶ路線が廃止、▼数千の駅窓口が閉鎖(無人駅化)という現実に直面している。その結果、首都ベルリンの都市交通は、事故・列車の遅れが多発し、駅のホームに乗客があふれて大混乱に陥ることが日常茶飯事になっている。
 さらに、ドイツ鉄道は、保守部門(保線・検修)の一層の外注化、鉄道労働者のスト権の制限を計画している。
 EU理事会は「EUの競争力強化と経済成長のための鉄道改革」と称して、EU全域に鉄道の民営化を拡大し、徹底化しようとしている。2月25日には、独仏を先頭とする3千人の鉄道労働者の抗議デモが行われた。

少数組合を排除

 ドイツ労働者階級が現在直面しているもう一つの重要な課題は、ドイツ経団連(BDA)とドイツ労働総同盟(DGB)が共同で策動している「賃金交渉の一元化」と「ストライキ権の制限」の攻撃である。「賃金交渉の一元化」とは、協約交渉を、当該の職場で多数の労働者を組織している労働組合だけに限定し、少数組合は多数組合の締結した協約に従うことを義務付けるものである。これとセットで出されている「ストライキ権の制限」は、「協約交渉中はスト禁止」という労働法の規定を乱用して、少数組合から実質的にストライキ権を奪おうとする攻撃である。
 ここで攻撃の的となっている少数労組とは、機関士労組(GDL)とパイロットを始めとする航空労働者のいくつかの組合であり、首都ベルリンを始めとする都市交通・全国的鉄道網、あるいはドイツ全土の航空旅客輸送で何度もストを闘ってきた労組である。

戦後体制大変動

 このような先端的闘いをめぐる労資の攻防の根底には戦後世界体制の歴史的「地殻変動」がある。1989年の「ベルリンの壁」崩壊=東欧スターリン主義解体、90年の東西ドイツ統一、91年のソ連スターリン主義崩壊、その後のNATOとEUの東方拡大である。戦後世界体制の中枢をなした「帝国主義とスターリン主義によるヨーロッパの東西分割」が崩壊し、中東欧の旧スターリン主義圏が帝国主義圏に包摂された。
 その中軸がドイツ帝国主義である。ドイツは、民営化・外注化(中東欧諸国などEU新規加盟国への工場移転)をテコとして賃下げ・社会保障解体・非正規職化を強行してきた。
 こうした階級戦争に体制内労働運動が屈服してきた結果、今やEUで最大の経済的実力をもつドイツは、低賃金国に転落し、膨大な不安定雇用が主流の社会に変貌(へんぼう)してしまった。
 今年もベルリンで行われる戦闘的労働運動潮流による「革命的メーデー」に加え、ベルリン、コペンハーゲン、ストックホルム、ローマ、オスロ、ハーグでの5・3交通運輸労働者国際連帯デーは、世界大恐慌下のヨーロッパ労働運動の新たな出発点になろうとしている。
(川武信夫)

アメリカ ILWUの再生かけ現場労働者が大反撃

(写真 代替労働者の送迎バスを阻み三井系UGCのロックアウトと闘うILWU組合員【2月26日】)

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は決裂し、日米対立はさらに激化している。大恐慌と革命に恐怖する支配階級は争闘戦の軍事化へと自滅的に突進する以外ない。
 安倍の「東京裁判史観反対」運動は、「戦勝国アメリカがつくった戦後体制」を否定する極右運動だ。相手国への敵意を扇動する過程に突入したのだ。これへの労働者の最強の回答は職場の団結、国際的団結だ。
 アメリカ労働者の貧困化は空前のレベルに達した。農務省によれば1760万所帯(14・5%)が食料入手不安定で飢えに直面している。しかもオバマは昨年、今年と2回にわたってフードスタンプ(食料援助)予算を大幅カットした。むき出しの大攻撃だ。
 1978年に国富の17%だった0・5%の富裕層の財産が2012年には35%になった。しかも08年リーマンショック後の天文学的な国家的支援が富の一層の集中に使われている。CEO(最高経営責任者)トップ100の年俸中央値は12年~13年に9%も上がり、14億㌦になった。
 この新自由主義とそれを支えるAFL―CIO(米労働総同盟・産業別組合会議)と2大政党制への労働者階級の怒りが沸点に達し、新たな決起が広がっている。その核になるのがILWU(国際港湾倉庫労組)のランク&ファイル(職場の一般組合員)運動だ。

TPPとの闘い

 90年代からのNAFTA(北米自由貿易協定)は外注化・生産拠点海外移転・非正規職化・労組破壊と、メキシコ・中南米社会の破壊、「不法移民」大量導入=大量強制送還の重大な攻撃だ。
 NAFTAなどのFTA(自由貿易協定)推進の絶対的条件が港湾大拡張と合理化だ。しかし西海岸の港湾を組織するILWUは、組合が労働者の就労場所決定権を持つなど、強力な職場支配権を握っている。また、自己負担なしの医療保険や確定給付年金を守り抜き、他労組の裏切りを暴露する実例になっている。そして動労千葉とともに07年労組反戦会議を開催し、08年イラク反戦全港湾封鎖を貫徹するなど、職場からの国際連帯の先頭に立っている。ILWUの闘いが全労働者の結集軸になるのだ。
 だから、今年6月の労働協約期限に向かって資本と国家権力の攻撃がILWUに集中している。
 TPPをにらんで11年から日本の巨大商社伊藤忠、丸紅、三井物産が米資本と協力し、北西部の穀物輸出ターミナルでロックアウトを次々にかけている。これは、14年協約改定決戦でILWU全体を破壊するための国家ぐるみの攻撃だ。だからこそ諸支部の組合員は実力で闘ってきた。
 ワシントン州バンクーバー港では2月26日、昨年2月27日以来、1年になる三井物産子会社UGCによる長期ロックアウトの粉砕を掲げて組合員と地域の支援者が決起し、スト破りを乗せたバスの通過を阻止した。こうした職場の実力闘争を背景にして3月、NLRB(全国労働関係委員会)は「UGCのロックアウトは不当労働行為」だという裁定を下した。
 だが、権力の介入と弾圧に屈し、変質を深める本部は闘いを裁判やNLRBなどの場に切り縮め、職場闘争圧殺者として登場している。
 すでに始まっている協約改定交渉では、管轄権変更(ILWU組合員が労働できる職種・職場の削減)が焦点になっている。労働組合の存立基盤そのものを掘り崩す狙いだ。ランク&ファイルの大反撃とILWU再生の闘いが始まっている。
 オバマの目玉政策、教育民営化の戦略的ターゲットとなったロサンゼルスでは、09年の同政権就任時に4万5千人だったUTLA(ロサンゼルス統一教組)組合員が大量解雇で3万1千人にまで減らされた。

教組執行部奪還

 11年の執行部選挙では、攻撃に屈し、組合員の団結ではなく「団体交渉専門家」と裁判に依存する勢力に委員長を奪われた。そしてこの3年間、教員評価、チャータースクール(公設民営校)化、学校閉鎖、大量解雇、追い出し部屋への監禁などの不当労働行為への職場からの反撃が抑圧されてきた。
 だが今年の選挙では、労働組合自身こそ力だとするグループが圧勝した。07年11月以来、日比谷野音の労働者集会に参加してきたアーリーン・イノウエさんらの組織化の勝利だ。
(村上和幸)

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