常磐線竜田延伸阻止!5・31いわきへ 動労水戸副委員長国分勝之さんが大結集訴え

週刊『前進』06頁(2633号02面01)(2014/05/26)


常磐線竜田延伸阻止!5・31いわきへ
 動労水戸副委員長国分勝之さんが大結集訴え

 動労水戸は労働者と住民に被曝を強いるJR常磐線の竜田延伸阻止へ、5月31日のいわきでの総決起集会を呼びかけている。竜田延伸をめぐる攻防の現状と5・31闘争大結集への訴えを、動労水戸の国分勝之副委員長(平支部・勝田運輸区運転士)に語ってもらった。(編集局)

動労水戸の主張が住民の声に

 5月10日のストライキといわき行動は、思った以上の反響、手応えがありました。いわき駅前での宣伝活動への注目が今までとは全然違いました。みんなわれわれのしていることを理解して、「その通りだ」と言ってくれる。
 2月2日のふくしま診療所報告会と2月23日の怒りのいわき行動で「いけるな」という感触はつかんでいました。でも、どこか「すってんてんに浮かないか」「住民の意識と乖離(かいり)しているんじゃないか」という不安はあったんです。実際にやってみたら全然違う。みんな「放射能のあるところに電車を走らせるのはおかしい」「除染したからいいとはならない」「楢葉(ならは)町がまだ帰ると判断していないし、住民が決めることなのにJRが先行してやるのはおかしい」という反応です。動労水戸が言ってきたことが住民の声になった。
 JRが竜田延伸の提案をしてきたのが4月22日でした。5月10日に試運転をし11日から乗務員の訓練をする。実施は目の前に迫っていた。
 動労水戸は被曝車両K544の運行に反対し、広野延伸に反対し、被曝労働を強制するなと闘ってきた。そこまで反対してきて、今回、何もやらないわけにいかない。街頭宣伝と、訓練の対象になる乗務員への激励行動は最低限やろうと決めたんです。でも、もっと本格的に構えなければいけないと判断して、急きょ全国労組交流センターの仲間などにも呼びかけて10日の闘いを設定しました。そして、組合員を結集し、いわきの乗務員を激励するためにストライキもやろうと決断した。
 いわき運輸区への抗議行動は手応えがありました。あの時、職場にいた人から後日、「たくさん来ていたね」「職場に応援に来てくれるのは何よりの力だ。ありがたい」という反応が返ってきています。「やっているのは動労水戸だけだね」と言う人もいる。それは、東労組とか国労とか、自分の組合が何もしないことへの怒りなんです。誰一人、竜田まで行く乗務に納得していません。
 私もいわき出身ですが、親族から「何かの時だけ来て、騒いですぐ帰っちゃう人にはいわきの人の気持ちは分からない」と言われたことがあります。原発・放射能の問題は結構重い問題で、すぐに住民が立ち上がるとはならなかった。でも今回は、私の親族も「お前らのことが新聞に出ていたぞ」とすぐに連絡してきて、高揚している。
 いわきの住民の中には怒りがある。きっかけがあればその怒りは形になると確信できました。

被曝の危険絶対認めないJR

 会社の放射線対策は、乗務員に積算線量計を持たせることだけです。積算線量が1日の使用で1㍉シーベルトに達するとアラームが鳴る。鳴ったらその日は乗務はさせないって言うんですが、1日1㍉シーベルトというのは規制がないのと同じことです。
 広野延伸後、広野までの行路を乗務した車掌の線量計が15㍃シーベルトになったことがあったんです。でも管理者は「線量計が壊れているかもしれない」と言って、二つ持たせて乗務させた。そしたら二つ目の線量計も14㍃くらいの値になった。それでも乗務から外さなかった。
 線量計を持たせても何の規制にもなっていない。団体交渉で会社は「線量計を持たせるのは不安解消のためだ」と平然と言うんです。労働者を危ないところに行かせるという認識がない。というより、危険性を認めたら延伸できないから絶対に危険を認めない。
 原発事故そのものが収束していないし、いつ何が起こるかわからない。その原発の十数㌔手前まで行くわけだから、原発で何か起きたらどうするんだとみんな心配しています。原発事故が起きたら、いち早く遠くに逃げるのが基本です。もし、電車がいわきから竜田に向かっている時に事故が起きたらどうするのか。電車はすぐにはバックできません。会社は「いったん竜田まで行って折り返すのが一番早い」なんて言う。事故のさなかに原発に近づくなんて、そんなでたらめな話はない。会社の言うことは絵に描いた餅にもなっていない。事故が起きた場合の「対策」があるかのように言うから、まったく非現実的な話になる。
 広野と竜田の間に木戸という駅があるんですが、木戸の周辺の田んぼには除染作業で出た土壌などが黒いビニールシートに包まれて野積みになっています。その中を電車が走っていく。だから訓練で乗務した人はみんなぎょっとしています。
 竜田の駅前にモニタリングポストがあって、それが駅から見えるんだそうです。見たら0・24㍃シーベルトになっていた。会社は「0・23以下になったから竜田まで延伸できる」と言っていたのに、それより高い。空気そのものが汚染されている。そんなところに線量計を持って全員が突っ込めって言うのか。
 しかも、問題は空間線量だけではない。線量が低くても内部被曝は絶対にあるわけだし、ゼロ以外は危険だと動労水戸はずっと訴えてきました。
 竜田まで行った電車の検修は、勝田車両センターで行うことになります。K544は半年間、広野に放置されていた。走っていたわけじゃないけれど、吸気フィルターのところで空間線量を計ったら0・91㍃シーベルトくらいになっていた。運行に使われて、粉じんを巻き上げて走り回って、その空気を吸い込んだ車両は、K544以上に汚染されるんです。
 会社はその対策も何も考えていない。労働者に健康被害が出ても、JRは絶対に責任を取りません。福島の子どもたちの甲状腺がんについても「原発と因果関係がない」と言うわけだから。「健康被害が出たら会社は補償してくれるのか」という怒りが運輸区の労働者にはあります。それは当然の怒りだけれど、補償を問題にする前に延伸そのものを止めなければいけない。
 労働組合としては、労働者の健康被害は絶対に譲れない問題です。労働者は労働力は売っても命までは売っていない。うその論理で放射能を許容し、生命を蹂躙(じゅうりん)する会社は絶対に許せません。

1千人の結集で延伸を阻もう

(写真 竜田延伸阻止へ動労水戸ストライキと連帯し110人が結集し、いわき駅前で抗議行動【5月10日】)

 5月31日の集会は、JRの労働者や、避難している仮設住宅の住民、いわきの住民が結集し、団結を確認し、拡大する闘いにしたいと思います。闘いの軸に動労水戸という労働組合が立つことで、ばらばらに分断されている力を結集させることができる。
 5月下旬に楢葉町長が帰町宣言なり帰町判断なりを出すと言われています。帰町宣言が出されたら小中学校が再開する。広野町の場合、若い人は1割くらいしか帰っていないから、避難しているいわきなどから子どもたちが広野の学校に通っている。楢葉町の帰町宣言が出されたら、子どもたちはより線量の高い楢葉に通うことになる。
 「JRが走っているから住民は戻りなさい」という形でJRが帰町宣言を促しているんです。JRの労働者も乗務を強制されるけれど、強制されて業務としてやっていることが帰町判断の材料にされる。JRの労働者が加害者になってしまう。そのことを運輸区の労働者も自覚し、怒りを持ち始めています。
 原発再稼働のために人間の生命をとことん蹂躙するのが安倍政権のやり方です。これに今、声を上げなければいけない。
 5・31には、何よりもJRの労働者の決起をつくりたい。乗務させられるJRの労働者が「反対している人がこれだけいる」と実感できる集会にしたい。そして、放射能の危険にさらされる住民が、その思いをストレートに表せる場にしたい。安倍政権やJR資本に対し、労働者と住民のパワーで「お前たちの考えていることはすんなりとはいかない」と突きつけたいと思います。
 K544との闘いの中で青年労働者が動労水戸に結集しました。1000人の集会ができれば、動労水戸の影響力はもっと拡大するはずです。そのために、全国から最大限の結集をお願いしたいと思います。

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