トルコ炭鉱爆発事故に抗議 全土でストとデモ

週刊『前進』06頁(2633号06面04)(2014/05/26)


トルコ炭鉱爆発事故に抗議
 全土でストとデモ

(写真 仲間を事故で奪われた炭鉱労働者が怒りの叫び【5月14日】)


 トルコ西部マニサ県ソマで5月13日、最悪の炭鉱爆発事故が起きた。17日まで火災は続き、最終的に死者301人を数えた大惨事である。その中には15歳の少年もいた。
 三井三池炭塵(たんじん)爆発事故(1963年、死者458人)を想起させる大事故だが、世界を覆った新自由主義こそが事故の原因だ。
■民営化こそ原因
 トルコでは1992年に北部ゾンダルダクで炭鉱ガス爆発事故が起きて、263人が死亡している。だが近年の経済成長で電力不足となり、石炭増産は日本からの原発輸入に並ぶ電力供給の柱となった。炭鉱は05年に民営化され、エルドアン首相支持で有名な炭鉱運営会社のオーナーは12年9月に「生産コストを5分の1に減らした」と誇らしげに語った。〝コスト削減のためなら労働者の命を奪って当然〟という新自由主義ゆえに事故が続いてきた。
■「人災だ、殺人だ」
 事故直後から現場に遺族、救出を待つ家族、仲間の労働者が詰めかけた。兄の救出を待つ22歳の炭鉱労働者は「経営者や政府は石炭さえ採れれば安全なんてどうでもいいんだ。エルドアンは人を人と見ていない」とぶちまけた。貧しく炭鉱しか働き口がないソマの街の中心で、若者が「これは事故ではない。殺人だ」「起こるべくして起きた」と声を上げた。
 エルドアン首相は14日に現地で「こういう事故は起きるもの」と言い放ち、1862年以降に世界で起きた炭鉱事故リストを配布し「政府に落ち度はない」と居直った。救助活動が続いている最中にである。これに激高した労働者がデモで詰め寄り、首相に直接「辞任しろ」と弾劾した。また炭鉱運営会社は「最大限の安全管理」、政府は「検査で違反はない」とシラを切っている。
 14日のエルドアンらの居直りや、首相アドバイザーが市民を蹴り上げている写真の配信は、トルコ全土の怒りに火を付け、ストとデモ、警官隊との衝突が激発した。
 事故当日の現地に続き、14日にはいくつもの労働組合が抗議の24時間ストライキに立ち、首都を始め諸都市でデモが闘われた。16日にはソマで1万人の抗議デモが闘われ、警官隊の容赦ない催涙ガス、放水、プラスチック弾に抗して、衝突し投石で闘った。12年にイスタンブールのタクシム広場を制圧したトルコ労働運動は、事故弾劾でさらにエルドアンを追い詰めている。事故の真相も安全破壊の数々も次々と暴かれている。
■新自由主義を倒そう
 事故弾劾の闘いは、新自由主義を食い破る世界共通の闘いだ。韓国のセウォル号沈没も同じだ。日本でも63年の三井三池炭坑爆発事故、同年同日の国鉄鶴見事故、05年JR尼崎事故、11年福島第一原発の爆発、さらにJR北海道、川崎駅など、どれだけの尊い命が奪われたことか。遺族の怒りは消えることはない。
 動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線は世界共通の勝利の道だ。6・8全国集会に大結集し、「命よりもカネ」の新自由主義打倒へ進もう。

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