沖縄基地 スト訴訟全面勝利 パート制度の撤回へ

週刊『前進』08頁(2634号07面06)(2014/06/02)


沖縄基地 スト訴訟全面勝利
 パート制度の撤回へ

(写真 キャンプ瑞慶覧の三つのゲート前で基地労働者に「非正規職撤廃を闘う全駐労を復権させよう!」と全国労組交流センターがビラまき【5月19日朝 沖縄・北谷】)

 5月21日、全駐労沖縄地区本部の組合員176人が「ストライキのために取得した年休が無給とされたのは不当だ」として国を訴えていた裁判で、那覇地裁は未払い賃金と「付加金」=制裁金を合わせて411万円の支払いを日本政府に命じた。基地労働者の全面的勝利判決だ。
 年休不許可=賃金カットは、全駐労沖縄地区本部が2012年7月13日に決行したストを破壊するための攻撃だった。基地労働者はこれを、職場(分会)の団結ではね返してスト決起を実現した。一部の報道にあるように、「在日米軍が時季変更権を適正に行使しなかった」ことで基地労働者の「賃金カット」が生じたのではない。
 今回の判決は、「米軍がスト参加の有無に関係なく、7月13日の年休取得に対し賃金カットを強行したことは不当」というものだ。同時に忘れてならないのは、ストの発端となったAAFES(エーフェス、米陸空軍が共同運営する福利厚生組織)の食堂・売店などの職場における60歳定年者の再雇用を強制的にパート化した問題は解決していないことだ。パート化強行で給与は半額以下に切り下げられた。
 そもそも年休の取得は、労基法で定められた労働者の権利であり、時季や取得理由も自由だ。しかし米軍基地内は国内法も米国の労働法すらも適用されない無法地帯である。時間外労働に関する「36協定」も就業規則の届け出や安全衛生委員会もない。全駐労は直接米軍と交渉できない。まず日本政府(防衛省)と交渉し、米軍と日本政府が合意しなければ、駐労問題(賃金・労働条件など)は何一つ決まらない。雇用形態が、日本政府=雇用主、米軍=使用者という「間接雇用方式」だからだ。
 米軍が労務管理を行い、日本政府は雇用主でありながら労働の実態を把握すらできない。これは日米地位協定の排他的管理権によって基地内に立ち入れないからだ。基地労働者の権利や賃金、労働条件は、闘いによってかちとったものだ。もっと言えば、職場(分会)での労働者(組合)と米軍権力との力関係で成り立っている。米軍権力も日本政府も全駐労という労働組合を認めていない。闘わなければすべて奪われる。
 今回の勝利判決をかちとり、職場には「マスコミ報道に頼るのではなく、全駐労自身が速報を準備し、ゲート前で配るべきだ」「執行部は、組合員を闘う方向で組織しようとの考えが弱すぎる」などの積極的な意見が多い。「大報告集会を開き、パート制度の撤回を求める闘いを進めることだ」という声も上がっている。
 基地労働者は、闘う労働組合と闘う方針を求めている。パート制度導入など認めていない。その恫喝にも屈していない。今こそ職場(分会)から団結と闘う態勢をつくりだしてストで闘う時だ。
 日米安保の中枢である米軍基地の中から労働者がストで立ち上がることは、沖縄闘争を大爆発させる。70年代における全軍労闘争の息吹は、基地労働者(青年労働者)に引き継がれている。
 07年11月、全駐労は2波の全国統一ストライキに立ち上がった。16年ぶりの全国ストであった。ストの指導経験がある組合役員はほとんど存在しなかった。全体を牽引(けんいん)したのは青年労働者だった。沖縄地区本部は、ストを打ったあと300人余の新しい組合員を増やし、闘いのなかで青年活動家=指導部をもつくりだした。この青年労働者たちが2012年7月13日、パート制度を撤回させるストを牽引した。
 在日米軍再編に伴う基地労働者への「大量解雇」攻撃が迫っている。基地労働者の闘いは、すべての県民の共感と支持を得て闘われてきた。「基地労働者はどうなってもいい」と思う労働者は一人もいない! 一人の解雇も許さないという闘う方針を確立し、ストライキで闘おう!
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