京浜東北線・神田―秋葉原間で転落死 青年の命を奪ったのは外注化強行したJRだ

週刊『前進』06頁(2638号03面01)(2014/06/30)


京浜東北線・神田―秋葉原間で転落死
 青年の命を奪ったのは外注化強行したJRだ


 6月14日午前3時33分ころ、JR東日本京浜東北線の神田―秋葉原間で電力の吊架線(ちょうかせん。電力線をつるすケーブル)新設作業中に1人の労働者が高架下に転落し死亡する痛ましい事故が起きた。亡くなったのは作業班6人中、最も若く経験も浅い21歳の青年労働者だ。
 この工事はJR東日本の委託で日本電設工業が工事指揮者1人を出し、作業責任者ら5人は明和電工(孫請け)という典型的な丸投げ外注化によって行われた。事故の概要は、張ろうとしていた吊架線が切れて高架下に垂れ下がり、作業員が押さえていたが、下の道を通過したトラックが垂れ下がった吊架線を引きずり、押さえていた作業員1人が引きずられ、高架から転落し死亡したというものだ。
 また死亡事故から7分後に電力指令が饋電(きでん)し、1500㌾の電流を電力線に流したが、HP(ハイピー。安全装置)が起動して送電が止まるという事態も発生した。二次的事故になりかねなかったのだ。
 現場は山手線、京浜東北線、新設中の東北縦貫線が重なる区間で、線路閉鎖と饋電停止(電流を止める)の措置を取った上で夜間作業が行われた。饋電停止時間は1時40分から3時40分までの2時間しかなく、他の工事とも競合していた。こうした過酷で危険な作業のやり方が、保線や電力など工務現場では一般的になっている。
 現場では「また死亡事故か!」「事故が止まらない。次々と起きる」という悲鳴と怒りが噴出している。安全が根幹から破壊され、「明日は我が身」が現実に迫っているからだ。労災死亡者数はJR全体で400人に上っている。死亡者・負傷者の大半が低賃金で劣悪な労働条件を強いられている下請け・孫請けの青年労働者だ。
 99年に山手貨物線で5人の下請け労働者が触車死亡した事故以降、JR東日本は事故の責任を下請け・孫請けに押し付ける体制をつくってきた。01年には「設備メンテナンスの再構築」を打ち出して保守部門の外注化を開始し、その後、それを検修、駅など全業務に拡大した。外注化を強行するJR体制は打倒あるのみだ。
 ここ数日、JR北海道江差線で貨物列車が脱線した事故(22日)、JR九州指宿枕崎線で観光特急が土砂に乗り上げて脱線し多数の負傷者を出した事故(21日)など大事故が連続している。小田急でも回送列車の脱線事故(19日)が起きた。JR東日本では、川崎駅事故後も相模線橋本駅構内での保守用車脱線事故や品川駅、池袋運輸区での線路閉鎖にかかわる事故が起きている。表に出るのは氷山の一角で、安全崩壊はとめどなく進行している。
 今回の事故で青年を殺したのはJRだ。JRの責任逃れを絶対に許すな。線路閉鎖・解除や送電の中止・再開はJRが行う。その手続きなどにミスがあれば事故が起きる。だから鉄道事業は外注化してはいけないのだ。今回の事故でも、川崎駅事故後にとられたはずの「JR社員の立ち会い」について、JRは完全に沈黙している。
 職場の安全を確立するのは労働組合の闘い以外にない。JR総連・東労組は外注化を率先して推進し、安全破壊を進めてきた元凶だ。今回の事故についても、JRを一言も批判せず、「リスク管理の問題」とうそぶいているだけだ。
 こうした現実への怒りは充満している。この声を表に出し、大きく束ねて渦をつくろう。動労千葉・動労水戸―動労総連合や国労郡山工場支部に続き、1047名解雇撤回、反合理化・運転保安確立、外注化・非正規職化粉砕、被曝労働強制拒否へ、ともに闘おう。

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動労総連合出向無効確認訴訟
 7月2日(水)午前11時30分
 東京地裁527号法廷
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