新刊紹介 特別企画『内部被曝を許さない』 労組と診療所を闘う拠点に

週刊『前進』06頁(2641号06面04)(2014/07/21)


新刊紹介
 特別企画『内部被曝を許さない』
 労組と診療所を闘う拠点に


 『国際労働運動』の反原発特別企画として『内部被曝を許さない』が出版された。3年半前の3・11福島第一原発事故で膨大な放射能が放出された。表紙の内側に福島第一原発事故の放射能汚染地図がカラーで掲載されている。
 政府、福島県、県立医大は、原発事故後、一貫して「放射能は安全」キャンペーンを張り続けている。今は「除染したから安全だ」と高濃度の汚染地帯への帰還を進めている。
 しかし、福島県民健康調査で14年3月末までに甲状腺がんと診断された子どもは、約29万人中疑いを含めて89人と発表された。小児甲状腺がんの発生率は100万人に1人とされるが、29万人中89人は100万人に310人だ。
 ところが県立医大は「甲状腺がんと被曝は因果関係はない」と内部被曝の影響を否定した。これは政府が福島第一原発事故そのものを無かったことにしようとする一貫した攻撃だ。フクシマの怒りを圧殺し、原発事故を起こした責任から逃れようとするものだ。事故の真相や汚染水問題を含めて第Ⅰ部が書かれている。
 第Ⅱ部は、フクシマ圧殺の攻撃と一体のものとしてある川内原発再稼働の攻撃、核燃料サイクルへの固執、原発の輸出――これらを貫く「命より金」の新自由主義を打倒すること、反原発と改憲・戦争反対を労働者人民が生きるためのひとつの闘いとして闘うことを提起している。
 こうした政府、県、県立医大によるフクシマ圧殺と原発再稼働攻撃に対し、フクシマの怒りをともにする反撃ののろしが上がった。
 それがこの本のサブタイトルになっている「被曝労働拒否で動労水戸がストライキ」(第Ⅲ部)と「福島の命を健康を守るふくしま共同診療所」(第Ⅳ部)だ。
 動労水戸が労働組合として反原発闘争の柱となって登場したことが決定的だ。常磐線の竜田延伸阻止、被曝労働拒否のストライキが被災地住民の圧倒的な共感を得た。被曝労働拒否の闘いは、内部被曝との闘いを労働組合の課題にした画期的な闘いだ。これがいわきを始めJRの全労働者を鼓舞している。
 国労郡山工場支部は動労水戸とともに闘い、10月外注化阻止に向かっている。動労千葉を先頭にJR体制打倒を軸に反戦・反原発闘争、国際連帯の先頭に立っている。
 県民は、放射能の影響を心配して医者に行くと「放射能は心配いりません」と言われる。そこで福島のお母さんたちは自分たちの命と健康を守ってくれる診療所を建設しようと建設委員会を立ち上げ、全国から募金を集めてふくしま共同診療所を建てた。共同診療所の3人の医師が福島での甲状腺がん検診をめぐる闘いを報告している。それはまさに内部被曝を許さない闘いだ。今やふくしま共同診療所は反原発闘争のひとつの柱になっている。
 最後に8月闘争を全力で闘い、11月労働者集会を頂点とする今年後半決戦の方針を打ち出している。
このエントリーをはてなブックマークに追加