崩壊するJR体制⑩ 事故が止まらないJR北海道 島田体制下で安全崩壊は加速 トラブルは前年の3倍に増加 闘う労組だけが安全を守れる

週刊『前進』06頁(2642号02面01)(2014/07/28)


崩壊するJR体制⑩
 事故が止まらないJR北海道
 島田体制下で安全崩壊は加速
 トラブルは前年の3倍に増加
 闘う労組だけが安全を守れる


 安全運行体制の崩壊に陥ったJR北海道では、安倍政権の介入で4月、経営陣の大幅な刷新が行われた。久々の技術畑の出身で続投すると思われていた野島誠が社長の座を追われ、JR総連北海道旅客鉄道労組に厳しい態度を取り、子会社に追いやられていた島田修が社長に就任した。JR総連との結託体制の清算に踏み込んだのだ。
 会長・副社長を始め主要ポストにはJR東日本出身者が配置された。これは分割・民営化の枠組みの破産を示す事態だ。

分割・民営化と外注化が元凶

 トラブルや不祥事は、新経営陣のもとでかえって増えている。北海道新聞で報道された事例に限るが、4月1日以降7月18日までに起きたトラブルは、昨年同時期の実に3倍強に上っている。車両の不具合は40件(昨年は14件)、線路やポイントや橋などのトラブルは8件(同0件)、それ以外の設備のトラブルは7件(同3件)、運転士などによるミスや不祥事は9件(同2件)だ。
 昨年は、走行中の特急列車から出火するという重大事故が4月8日、5月5日、7月6日、7月15日と4回も立て続けに起きた。昨年夏以降、出火事故を起こした特急「北斗」(札幌―函館間)と「サロベツ」(札幌―稚内間)は運行を取りやめている。にもかかわらず、どうしてトラブルは増えているのか。
 車両・設備とも老朽化や点検周期の延伸、何よりも業務の外注化に起因することが疑われるケースが激増している。その多くで、原因が直ちに明らかになっていないケースや、いまだに明らかにしないケースも多い。本社が現場を掌握できないだけでなく、現場自身が対処する力を失っているとしか言いようがない。
 7月6日、室蘭線で特急「スーパー北斗」の走行中に床下から白煙が出た。6月22日、江差線で貨物列車が脱線する事故が起きた。いずれも今なお原因が特定できず、有効な対策が取られていない。貨物列車の脱線事故については、JR貨物はコンテナ内の重量バランスを把握していないし、JR北海道はどのような負荷がかかるかには関心を払わずに線路を管理している。旅客と貨物の経営の分割に原因があるとする見方も出てきた(北海道新聞の社説)。
 また、4月10日に石勝線夕張支線でレール異常の放置が、5月30日に根室線での子会社によるレール異常放置・虚偽報告が明らかになった。
 小さな不具合などは単独では大事にいたらないかも知れないが、重なり合えば大惨事になる危険性がある。そうした事態が1年前に比べて3倍にも増えているのだ。
 島田新体制がうたっている「現場との対話」「労働組合との対話」は、鉄道労働者としての誇りを回復するどころか、むしろ逆のものになっている可能性がある。いったん失われた鉄道労働者としての誇りは容易に回復できないからだ。
 新副社長の西野史尚は「これからは現場が危険を感じて上司に報告して、結果的に何も起きない場合も責任を問わない」と言う。しかし、本社トップと現場の対話集会のような場でも、「やらせ」的な発言以外の発言はできないと多くの現場労働者が打ち明けている。おかしいことをおかしいと言えない職場にしてきたのは誰なのか。
 7月6日に走行中の特急の床下から白煙が出たケースでは、JRは「配線の老朽化ではない」「配線の耐用年数は車両と同じ30年を目安にしている」と言っている。30年たたなければじっくり点検しなくてもいいと言うに等しい。
 昨年の4〜7月、線路に関する不具合の報道は皆無だったが、不具合がなかったわけではなかった。そのことが後に衝撃的に明らかになった。安全に対する考え方が根本からおかしくなっているのだ。

赤字線廃止に行き着く方針

 国鉄分割・民営化そのものの矛盾、JR体制の27年間の外注化・非正規職化による膨大な負の堆積(たいせき)物は、経営陣を入れ替えればどうにかなるものではまったくない。JR北海道の経営陣にJR東の幹部を投入すれば何とかなることもありえない。JR東で起きた川崎駅事故は、安全崩壊がJR東の問題でもあることを示した。
 JR北海道の経営破綻は目を覆うばかりだ。6月の鉄道収支は前年同月比6・5%減で3カ月連続で前年実績を下回った。特急や急行による「中長距離収入」は同11・6%減。5月連休中は同12%減だった。13年度の連結売上高に占める鉄道運輸収入はわずか35・4%まで低下。14年度は確実にそれ以下になる。
 島田新体制は「安全運行の再生のために全力を集中する」と言う。そのためには、これまで極限的に減らしてきた安全投資や老朽車両の取り替え費用も、一定は増額せざるを得ない。しかし、JRがJRである限り、本業以外の営利追求に走らなければ生き残れない。
 こうした矛盾の中で、島田新体制は「ローカル線では減速運転をするから路盤強化は後回しでいい」と平然と言い始めた。これは、やがては赤字線の全面廃止にまで行き着きかねない方針だ。

北海道に動労総連合作ろう

 今年冒頭のレールの検査数値改ざんを理由とする2人の現場労働者の懲戒解雇は、改悪された就業規則を昨年9月にさかのぼって適用することにより強行された。これは国労北海道本部を含めた全労働組合が同意することによって初めて可能になった。そうした事実は、ほとんどの労働者に知らされていない。
 改ざんを組織的に行わせてきた上層部は、2人に責任を押し付けてのうのうとしている。
 今ある労働組合によっては、安全は回復しないどころかもっと破壊されていく。たとえ1人に対する攻撃であっても、不当な攻撃には全体が団結し、その1人を守り抜くのが労働組合の存在意義だ。そういう労働組合が絶対に必要だ。そこにしか鉄道の安全を奪い返す可能性はない。「北海道に動労総連合をつくろう」ということだ。
(前島信夫)
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