戦争・民営化と闘う11月集会へ 動労千葉・田中康宏委員長の提起

週刊『前進』10頁(2643号02面01)(2014/08/04)


戦争・民営化と闘う11月集会へ
 動労千葉・田中康宏委員長の提起

 7月20日にDC会館で開かれた動労千葉を支援する会2014年度定期総会で、動労千葉の田中康宏委員長は「国鉄分割・民営化との闘いにこだわりぬき、今年の11月労働者集会を戦争と民営化に反対する大集会にしよう」と訴えた。安倍打倒の8・17大集会から11月へ、今夏―今秋の決戦を闘いぬこう。支援する会総会での田中委員長の提起を紹介します。(編集局)

本体と下請けが団結して

 最高裁署名は6万を超えました。ありがとうございます。動労千葉は、全国の皆さんの思いに応えて先頭に立って闘い続けます。闘う労働組合をもう一度取り戻すまで、闘い続ける決意をまず表明します。
 5月2日のストライキを闘いぬき、7月にはCTS(千葉鉄道サービス)の2人の労働者が動労千葉に結集しました。「おかしいことをおかしいというのが本当の組合」「ひどい現実を変えるためにも、仲間を増やす」という強い決意で結集してくれました。これは今はまだ小さな一歩ですが、大きな可能性を秘めた一歩だと思っています。
 私たちは5・2ストから多くのことを教えられました。JRとCTSは、CTSのプロパー労働者に、まともな教育もせずに仕業検査をやらせようとしてきました。そんなことしたら間違いなく事故が起きます。現場は「黙っていることはできない。ストをやるしかない」となった。その一方で、「彼らはスト破り、動労千葉破壊のために雇われたんだ」という気持ちもある。しかし、事故が起きたら犠牲にされるのは、CTSのプロパーの労働者です。下請け会社の彼らの場合、JR以上に深刻です。CTSの幹部やJRの幹部が責任を問われることはない。こうした現実の中から、「外注化粉砕・運転保安確立」「CTSの仲間を守る」を掲げてストをやろうとなった。職場の現実、敵の攻撃自身が闘いの新たな条件を生み出したのです。

(写真 5月2日の動労千葉ストは、委託先の労働者と団結して外注化と対決する画期的な地平を開いた【幕張本郷駅前】)


 これだけの非正規労働者が生み出されたのには、原因があります。外注化です。その外注化も、労働組合が容認してきた結果としてここまでやられたんです。外注化と立ち向かえなければ階級的労働運動とは言えない。そのことを、私たちは闘いの中で学びました。
 さらに、これまではJR本体での闘いが中心でしたが、外注化が強行されて以降、いかに闘うかが再び問われました。「本体と下請けの労働者がともに闘うしかない」ということは、理屈では誰でも言えます。しかし、それを具体的な闘いとして実現できた例はありませんでした。5・2ストは、私たちの側から垣根を取り払うことで、その一歩を踏み出すことができたのです。
 動労水戸の仲間たちも、福島県民を見殺しにするなと、常磐線の竜田延伸粉砕へ3波のストに立ちました。被曝労働強制に対し、職場・生産点からストライキで立ち上がった闘いは、労働運動の歴史に新しい1ページを書き記しています。

これからが本当の勝負だ

 国鉄分割・民営化に対し動労千葉は2波のストで立ち向かい、団結を守りました。その闘いは1047名解雇撤回闘争を生み出し、2010年4・9政治和解に抗して国鉄闘争全国運動が立ち上げられました。そして、6・8集会では「本当の勝負のときがやってきた」と、新たな一歩を踏み出しました。
 その後のことをひとつ報告します。7月16日に、安全運転闘争をめぐる裁判の判決が東京地裁で出ました。尼崎事故の前後、千葉ではレールがばたばた折れる状況の中で、危険個所で速度を落としたり、最高速度を10㌔落とす闘いを展開しました。JRはそれを「違法争議」だと言って処分したのです。東京地裁で出された判決はそれを追認する許しがたい反動判決でした。
 でも、判決は次のように言います。「本件争議行為が列車運行の安全確保を指向するという十分に了解可能で実現結果が社会的に望ましいといえるような動機・目的を持って実行したものであることが認められる」と。やったことは正しい。「十分に了解可能で社会的にも望ましい」。実質的には勝っている。弾劾されているのはJRなんです。しかし、争議は違法だと。ここに、国家の本質、分割・民営化の本質、分割・民営化の結果もたらされた安全崩壊の本質が表れています。採用差別は不当労働行為だったことを認めながら解雇撤回を拒否した東京地裁・高裁判決と同じです。ここをもう一歩突き破って、正しいことを正しいこととさせるためには、闘う労働組合が力を取り戻さなければなりません。

戦争を絶対に止めよう!

 私たちの生きている時代を真剣に見なければいけないと思います。ウクライナで旅客機撃墜事件が起こり、ガザへのイスラエルの軍事侵攻で大虐殺が行われています。イラクではアメリカ帝国主義による中東支配が崩壊し、内戦という形で爆発しています。東アジアでも軍事力と軍事力がぶつかっている状態です。
 日本では集団的自衛権行使の閣議決定が強行され、特定秘密の運用基準が決められようとしています。武器輸出3原則の解体で三菱がF35戦闘機の共同開発に参加することが決まりました。あらゆる矛盾が戦争の色を帯びています。
 かつての道を絶対に歩んではならない、そのために今やれることのすべてをやらなければならない。皆さんも、二度と戦争をしてはならないという思いで労働運動をしてきたと思います。「自衛隊員の命が失われることが考えられるが」との国会質問にすら、安倍は逃げ回ってまともに答えることができない。支配階級としてすら最低の人物です。こんな無責任な連中が戦争を引き起こす。
 新宿駅南口で一人の男性が集団的自衛権に抗議して焼身自殺を図りました。このことを全マスコミが黙殺した。起きていることの異常さ、この社会のウソと偽善に怒らなければならない。ここに示されているのは底知れぬ支配の危機です。日本の腐り果てたマスコミは、報道すれば、もはや消すことができない勢いで怒りの炎が燃え上がることを恐れたのでしょう。もしあの事件が大きく報道されていたら、閣議決定の時、首相官邸前に集まった4万人は、10万人、20万人という規模になっていたはずです。時代が動こうとしている。私たちは歴史の分岐点に立っています。
 憲法は1947年に制定されました。しかし、日米の支配階級はその3年後、50年に朝鮮戦争の中で再軍備を強行しています。戦後の日本の歴史は、帝国主義国として再び頭を持ち上げようとする支配階級と、それに対して立ち向かった労働者の闘いの歴史でした。その闘いが戦争への道を阻んできた。しかし、国鉄分割・民営化が転換点となって、労働運動は止めどない後退を強いられ、集団的自衛権行使の閣議決定まできました。ならば、私たちのなすべきことははっきりしています。闘う労働組合をよみがえらせるために全力を尽くすことです。私たちが国鉄分割・民営化にこだわって闘ってきたことは間違っていなかった。憲法9条を事実上解体するまで30年近くかかったのは、われわれが頑強に闘い続けたからです。これからが本当の勝負です。
 安倍は、集団的自衛権行使の閣議決定によって、日本の労働者階級の怒りを押しとどめる支配の装置を取り払ってしまった。それは、3・11大震災、福島原発事故に次ぐ、時代の巨大な変化の始まりを意味しています。本当に大きな規模で価値観の転換が始まっている。その変化を私たちが組織する力を持つことです。階級的労働運動が力を取り戻す。その一点にかけて闘いぬかなければなりません。
 これから関連法制の改悪が始まりますが、起こることはそれだけではない。社会の隅々まで、戦争のできる国に変えていく攻撃が始まる。閣議決定の日に、自衛隊への勧誘通知が何万人もの高校生に送られています。何よりも教育はすべて変わらざるを得ない。「貧困による徴兵」が起きる。そのために奨学金制度を変え、徹底した取り立てが始まる。自衛隊に入れば免除する。自治体、社会保障、労働者の権利、すべてが変えられてゆく。しかし、そこには全部労働者がいる。われわれが何をなすかが問われます。一人ひとりの労働者が何を決意するのかで歴史が決まる。一人の決意のもとに団結がつくられれば歴史が動く。そういう時代が始まったのです。
 重圧に押しつぶされそうになっているのは安倍のほうです。本当なら、秋の臨時国会から始めても間に合わないような「法改正」を、統一地方選挙があるから、来年の通常国会に回すと言っています。そんな構えで戦争ができるのか。秋の臨時国会だって、8時間労働制の解体、労働者派遣法、国家戦略特区の問題など、ちょっとでも失敗したら全部が破滅する。われわれは、この秋から来年通常国会過程が、歴史の大きな分岐点だと見すえ、思いきった飛躍をかけて闘いに立ち上がらなければなりません。

「民営化反対」の大運動を

 新自由主義攻撃が極限まで推し進められようとしています。安倍の新成長戦略を支える目的でつくられた日本創成会議の提言は、「2040年までに、少子化が加速度的に進んで896の自治体が破綻して消滅する可能性がある」と言っています。本質的には財政的に破綻するということです。ショックドクトリン的にこういう危機感をあおっている。その狙いは、自治体を全部民営化するということです。大民営化攻撃が襲い掛かろうとしている。それは、国鉄民営化を数百倍する規模の攻撃です。だけど、安倍政権にそんなことができるのか。
 私たちは国鉄分割・民営化に立ち向かい、4・9政治決着という反動も粉砕して団結を守りぬいてきました。国鉄闘争全国運動を立ち上げた時、われわれ以外のあらゆる勢力は、「何の影響力ももつはずはない」と冷ややかに見ていました。しかしわれわれは、4年間闘いぬいて国鉄闘争の画期的な地平を切り開いて立派に存在しています。職場での外注化阻止闘争も断固として継続しています。
 さらに、韓国鉄道労組との連帯も始まりました。韓国では今まさに民営化反対闘争が火を噴いて闘われています。その闘いとひとつになることで、国鉄分割・民営化反対闘争も、今現在の課題としてよみがえった。そしてそこに、今述べたような、安倍の最後のあがきに等しい攻撃があります。
 私たちが今なすべきことは何か。戦争への危機感があふれています。7・1をもって、戦争は過去のことではなく、目の前の問題になったんです。その危機感を本当に組織する。当面、最大の勝負は8・17集会です。
 そしてもう一点、あらためて民営化反対の大運動をつくりあげる決意に立つ。国鉄闘争全国運動と10万筆署名運動が切り開いたものが、私たちの出発点です。そこには全国の努力が詰まっています。これを基礎に全国で職場・地域に分け入って、国鉄闘争を中心に地域での集会や行動を設定してほしい。国労郡山工場支部の仲間たちが必死に外注化阻止の闘いに立ち上がろうとしています。今だからこそ、国鉄分割・民営化を問う。その闘いで我慢のならないすべての現実をひっくり返す。怒りの声を掘り起こし、新しい仲間たちを全力で組織する。それを11月労働者集会に結集したい。今年の11月労働者集会は今までの延長線であってはならない。これまでのあり方を超えなければなりません。
 11月労働者集会を、民営化と戦争に反対し、闘う労働組合をよみがえらせる大集会にするということです。私たちが目の前の労働者をどう見るかで、歴史は変わります。一人ひとりの労働者が歴史を動かす力をもっている。国鉄闘争にこだわって11月に向け勝負しようと訴えて、動労千葉からの提起とします。

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