労働者への階級戦争だ 新自由主義の崩壊と「骨太方針」 「人口急減」の危機逆手に 社会保障解体・民営化狙う

週刊『前進』10頁(2643号03面01)(2014/08/04)


労働者への階級戦争だ
 新自由主義の崩壊と「骨太方針」
 「人口急減」の危機逆手に
 社会保障解体・民営化狙う


 6月24日に閣議決定された骨太方針と新成長戦略は、集団的自衛権行使の7・1閣議決定と一体の全労働者への階級戦争宣言だ。経済財政諮問会議(以下、諮問会議)がまとめた骨太方針は、アベノミクスの「3本の矢」と称される経済・財政の基本方針である。産業競争力会議がまとめた新成長戦略はその「3本目の矢」という関係だ。骨太方針は「働き方改革」や「積極的平和主義」を前面化させた。同時に「日本の未来像にかかわる制度・システムの改革」を掲げて新たに打ち出したのが、「人口急減・超高齢化の克服」と称して福祉の「岩盤」を崩す大攻撃だ。

「896市町村消滅」の衝撃で「岩盤」の破壊へ

 日本の人口は現在の出生率の水準が続けば、50年後には3分の2まで減少して約4割が65歳以上となり、2040年には全国市町村の約5割、896自治体が消滅の可能性がある――。5月、諮問会議で「選択する未来」委員会が報告した(表)。これに呼応して「人口急減・超高齢化」のキャンペーンを『中央公論』が6月号から始め全体に広がっている。
 子どもの出生率が減って、労働力人口がどんどん減少しているのは冷厳な事実だ。新自由主義による全社会的な非正規職化、低賃金と貧困の進行は、子どもを産み育てる力さえ労働者と労働者家族から奪っている。今や資本主義は労働力人口の再生産すら不可能な最後的破局の時を迎えた。もはや資本主義は終わりだ。しかしその絶望的危機をも逆手にとって、安倍政権は〝子どものために高齢者は犠牲になれ〟と、ショックドクトリンで「岩盤」を崩す階級戦争に打って出てきた。
 委員会報告は、このまま行ったら人口急減で経済規模が縮小し、地方の消滅と東京の超高齢化、財政破綻、国際的地位の低下に至ると叫んだ。日本帝国主義が大恐慌下の争闘戦に敗れ、人口減で崩壊・滅亡する危機が差し迫っていると強調している。「なぜこのような厳しく困難な未来を招くことになってしまうのだろうか」と、あたかもそれが自然災害であるかのように「失われた20年」を問題とした。制度、政策や意識が変われば流れを変えることができる、強い意思をもって実行することができるか否か、それが「未来への選択」だと強弁した。
 委員会報告はこの危機に対して、「生産性をどこまで高められるかが鍵」だとして、「資源配分の重点を高齢者から子どもに大胆に移す」「医療・介護費の増加に歯止めをかける」とともに「性別・正規・非正規、能力や意欲に応じた活躍の機会充実」を進めることだとぬけぬけと結論づけた。まさに骨太方針の核心であり、新自由主義の一層の徹底だ。それは「少子化」の流れを止めるどころか、一層進めるものでしかない。
 加えて、地域社会の崩壊に対して郊外部から撤退し、地方中枢都市圏(中核市など)への「集約・活性化」を図るとした。『中央公論』7月号の特集タイトルは「すべての町は救えない」だ。基礎的自治体を解体・統合し切り捨て、そのもとで丸ごと民営化を進めて資本の餌食とすることを隠そうともしない。
 7月22日の諮問会議は、骨太方針に基づいて「人口減を見据えた社会保障改革」を掲げ、「高齢者の反発が強く歴代政権が先送りしてきた懸案(岩盤)に踏み込む」とした。高齢者は反発することなく犠牲になれという許しがたい攻撃だ。
 ふざけるのもいい加減にしろ! 日本の総人口は08年の1億2809万9千人を頂点に減少に転じた。それは、新自由主義が行き着いた大恐慌と大失業、青年労働者の総非正規化・貧困化の結果だ。どうして高齢者と労働者・労働者家族が犠牲にならなければならないのか。それを居直り延命するために、女性や高齢者、障害者、外国人労働者をさらに徹底的に非正規職労働者として駆り出し、奪いつくそうとする資本主義・新自由主義は打ち倒す以外ない。

「痛みの改革」と称して年金・医療・介護を削減

 骨太方針のもとで、「年金、医療・介護などの痛みの改革」を掲げた社会保障制度改革推進会議が始動し、階級戦争的本質をむき出しにした攻撃を具体化しようとしている。7月25日、15年度予算の概算要求基準を決めた閣議後、麻生太郎財務相は「毎年1兆円ずつ(高齢化による)自然増があるというのではとても財政はもたない」から厳しく精査すると発言した。高齢者が増えること自体を問題とし、今以上に削減するとしたのだ。
 それに先行して6月18日に成立した地域医療・介護総合推進法は、「コスト削減」を目的に15年4月以降、「要支援」の訪問介護と通所介護(デイサービス)を介護保険から市町村の独自事業に移すとしている。13年4月時点で「要支援」の認定者は154万4千人。自治体の財政難の中で切り捨ては必至だ。厚生労働省は7月15日に、同居家族が主に介護を担う世帯のうち、介護する人も65歳以上という「老老介護」の世帯が51・2%に達したと発表している。ともに75歳以上という世帯は29%だ。これでは介護も家族の生活も成り立つわけがない。
 これにさらに消費増税とマクロ経済スライド制発動による年金カット、75歳以上の医療費負担の倍増、生活保護の窓口規制強化が襲いかかる。貧困が極限まで進む。働けない者は死ねということだ。
 これは高齢者=労働者家族にとどまらない。労働規制撤廃と一体で進められる社会保障制度解体は、全労働者に対する戦争だ。
 日本郵政八王子西局の不当解雇撤回を闘う青年労働者は、5・15沖縄闘争に参加し「ひめゆり学徒隊は国家から使い捨てにされ多くの命が失われた。非正規労働者も首切り自由で使い捨てにされている。戦争と解雇は同じであり職場での闘いが戦争を止める」と発言した。国家による福島切り捨て、高放射線地域への帰還と被曝の強制も同じだ。
 安倍の盟友・JR東海名誉会長の葛西敬之は、かつて「戦争でも起きないと日本経済も立ちゆかなくなる」と公言した。これが帝国主義者の本性だ。何が「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険(がある時に自衛権を行使する)」(7・1閣議決定文)だ。使い捨てられ切り捨てられる青年労働者、福島の子どもたちや母親は、安倍への怒りをたぎらせ、闘いに立ち上がっている。労働者階級の根底からの怒りを爆発させて安倍と新自由主義を打ち倒そう。

階級的労働運動の爆発で日帝・安倍を倒そう

 社会保障制度の解体は、改憲・戦争と労働法制の解体と一体であり、労働者階級が血を流してかちとってきたすべてを奪い去る攻撃である。時代は戦後革命以来の原点に引き戻された。戦争か革命かをかけた歴史的決着をつける時が来た。殺されてたまるか! 倒されるべきは安倍であり、「1%」の資本家階級とそれに連なる体制内労組幹部どもだ。
 国鉄分割・民営化を強行するにあたって、当時の中曽根康弘首相は「行政改革・国鉄改革を実現しなかったら革命闘争が爆発してしまう」と叫んで、国鉄労働運動破壊と総評解体で改憲と戦争国家化に突き進む「戦後政治の総決算」攻撃に踏み切った。プロレタリア革命への恐怖に根差した労働組合解体こそ攻撃の核心だ。
 骨太方針は、政労使会議の意義を何度も強調している。国鉄分割・民営化後、総評を解散に追い込んで結成された連合が日帝・安倍政権を支えている。そこに安倍の最大の弱点がある。国鉄闘争を先頭にいたるところで始まった労働者のデモとストライキへの決起は、連合労働運動を標的とし打倒する階級的労働組合運動を再生する最大の力となっている。
 JR体制打倒しプロレタリア革命勝利へ。4大産別を先頭に、ロシア革命時のプチーロフ工場にあたる無数の労組拠点を建設しよう。国鉄決戦を基軸に、階級的労働運動の爆発で2010年代中期階級決戦に勝利しよう。改憲・戦争・原発・首切りの安倍をともに倒そう!8・17集会の大結集をかちとろう。
(大迫達志)

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未来への選択
―人口急減・超高齢社会を超えて、日本
発成長・発展モデルを構築―
2014年5月  経済財政諮問会議

【現状のまま何もしない場合の未来像】
マイナス成長が定着/国民生活低下のお
それ/女性、高齢者、若者が活躍できな
い労働市場の二極化/地方で4分の1以
上の自治体が消滅可能性、東京では超高
齢化/医療・介護費の増加により財政破
綻リスクの高まり、国際的地位の低下
【未来への選択】
・資源配分を高齢者から子どもへシフト
・産業・企業の新陳代謝・若返り
・働き方改革/70歳まで働ける社会
・地域の再生のための集約・活性化

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