民主労総を軸に朴政権打倒し民営化阻止・非正規職撤廃へ セウォル号惨事と韓国階級闘争

週刊『前進』08頁(2646号08面01)(2014/09/01)


民主労総を軸に朴政権打倒し民営化阻止・非正規職撤廃へ
 セウォル号惨事と韓国階級闘争

(写真 「青瓦台は応答せよ」「特別法を制定せよ」の横断幕を先頭にソウル市庁前から大統領府へと向かうデモ隊【8月15日 ソウル】)

(写真 2大労総公共部門労働者がゼネスト大会【8月27日 ソウル駅前】)


 3・11福島原発事故と4・16セウォル号惨事、隠されてきた新自由主義のからくりが今や全人民の前に暴かれ、怒りとなって噴出している。韓国ではセウォル号遺族の怒りと民主労総の闘いが結合し、パククネ政権打倒へ怒涛(どとう)の闘いが進んでいる。「闘いなくして安全なし」のひとつのスローガンで、民営化と闘う日韓の鉄道労組の交流が始まった。この国際連帯の力を日本階級闘争の前進の糧とし、戦争反対、民営化阻止、非正規職撤廃の11月に進撃しよう。

真相究明・責任者処罰を要求

 セウォル号沈没事故はなぜ起きたのか。就学旅行の高校生たちを殺したのは誰だ! 規制緩和で老朽船を就航可能とし、船長・操舵手までも短期契約の非正規職だった。起こるべくして起きた事故だ。その上パククネ政権は救命活動すら怠った。まさに新自由主義が引き起こした事故だった。「すべてうそだった!」――4・16セウォル号惨事は大きな衝撃を韓国社会にもたらした。
 真相究明と責任者処罰のための特別法制定を求める400万を超える署名が集まり、娘を失った父親が光化門で始めたハンストは「4・16」事故を銘記する416人の大ハンスト闘争となった。
 光復節69周年の8月15日午前、民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、南北労働者の自主的交流、安倍政権の集団的自衛権反対などを掲げて8・15労働者大会を開催した。午後にはソウル市庁前広場で「セウォル号特別法制定を促す汎国民大会」が開かれた。
 集まった5万人を前に、高校生の娘ユミンさんを事故で亡くしたキムヨンオさんは、ハンスト33日目の衰弱した体で壇上に立った。「政府は経済をうんぬんしてセウォル号惨事を埋めようとする。だが安全という基礎のないところでどうやって経済を立て直せるのか。責任逃れのための経済を口実にした卑劣な世論操作をやめろ」と怒り、「ユミンのような子どもたちの未来のために最後まで光化門にいる」と揺るぎない決意を語った。そして、40日目の22日、病状が悪化し病院に運び込まれたが、病床でもハンストを続けた。
 キムヨンオさんは金属労組忠南支部の組合員だ。パククネ政権に真っ向から立ち向かうセウォル号遺家族へのインターネットでの誹謗(ひぼう)中傷の書き込みは、キムヨンオさんが労組の組合員であることをも攻撃の的にした。「ユミンのお父さんが金属労組の組合員だから絶食の意図が不純だと!」。ネット上で反論が展開されるとともに、「流言飛語の背後にパククネ政権がいる」との怒りが沸騰している。
 金属労組は8月26日、賃団闘(賃金団体協約闘争)ストと連動させてセウォル号特別法制定闘争を行うことを決め、27日からストに立ち上がった。チョンギュソク金属労組委員長は「パククネ政権は、今では犠牲者の家族まで殺そうとしている。金属労組はキムヨンオ組合員を救うため積極的に闘う」と明らかにした。
 民主労総は28日夕、「民営化阻止! 公共機関のエセ正常化粉砕! 賃団闘勝利! パククネ政権退陣! セウォル号特別法制定!」を掲げた大規模なスト決意大会をセウォル号座り込み場のある光化門広場で開催した。大会後、大統領府前で座り込みを続ける遺族たちを激励訪問した。

労働者国際連帯が力を発揮

 民営化阻止の闘いが、セウォル号惨事への怒りを糾合し、韓国全土を覆う闘いとなっている。
 民主労総と韓国労総に所属する公共機関労働組合の連帯団体である「2大労総公共部門共同対策委員会」が、8月27日夕、ソウル駅前広場でゼネスト宣言進軍大会を開き、9月3日までのゼネストに突入した。核心的な要求は、「公共機関の負債の原因である4大河川事業、財閥料金割引などの責任を公共機関の労働者と国民に転嫁することの停止」「公共機関の労働者の労働基本権侵害の停止」だ。
 8月19日、「医療民営化・営利化阻止と医療公共性強化のための汎国民運動本部」は、集まった200万筆の署名を大統領府に届けようとしたが、警察部隊に行く手を阻まれた。「金より命、金より安全。第二のセウォル号事件を防ごうとする200万人の意思を無視するのか!」との抗議が突きつけられた。署名すら受け取れないほど、パククネ政権は追い詰められている。

鉄道労組と交流

 全国鉄道労組は昨年12月、KTX(韓国高速鉄道)の分割・民営化に反対し23日間のストライキを貫徹した。激しい事後弾圧との闘いの中、鉄道労組ソウル地方本部のオムギリョン本部長が6・8集会に登壇した。
 オムギリョン本部長は「昨今の鉄道民営化と構造調整はセウォル号大虐殺と原因が同じです」と新自由主義攻撃を弾劾し、「検修周期の延長、人員削減、駅の無人化及び外注化、非正規職化、1人乗務などが列車の安全を脅かしています。動労千葉の同志たちが闘う理由も同じだと思います」「新自由主義という怪物には国境がないのと同じように労働者の連帯と闘いにも国境があってはならないのです。それが本当の勝利をつくり出す道でしょう」と呼びかけた。
 動労千葉の田中康宏委員長は「韓国では今まさにKTX民営化を突破口とする分割・民営化との大激突の真っただ中にある。国鉄分割・民営化から27年。〝民営化絶対反対! 解雇撤回!〟を貫いてきた動労千葉の闘いが、この韓国鉄道労組と結びつくことで、国鉄決戦が今日の階級決戦の最大の攻防点になった。国際階級闘争の焦点が定まったとも言える。これこそ労働者階級の国際連帯闘争が持つ力だ」と日韓の鉄道労働者の交流の意義を語っている。
 3・11福島とセウォル号事故、この社会に満ちあふれているすべての怒りと結びつき、世界を変えることができるのは組織された労働者の力だ。
 韓国の労働者階級を始めとする全世界の労働組合との団結を求め、世界を変える国際連帯集会として11・2全国労働者集会をかちとろう!

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