JR体制 破産と崩壊① 大量退職テコに外注化を強行 非正規職化と人件費大幅削減 安全の要をなす駅も業務委託 東京を決戦場に反撃に立とう

週刊『前進』06頁(2649号03面03)(2014/09/22)


JR体制 破産と崩壊①
 大量退職テコに外注化を強行
 非正規職化と人件費大幅削減 安全の要をなす駅も業務委託
 東京を決戦場に反撃に立とう


 「動労総連合を全国に」を本格的に実践する時が来た。国鉄決戦を軸にした11・2労働者集会の大成功へ、JR体制の現状を暴き、JR体制打倒の展望を明らかにする新シリーズを始めます。(編集局)

 国鉄分割・民営化から27年、大恐慌と3・11情勢のすさまじい進展の中で、JR体制の危機は今やあらゆる領域で堤防決壊とも言うべき事態を引き起こしている。今こそJR(国鉄)の全職場に渦巻く民営化・外注化・非正規職化への根源的怒りを束ね、それをひとつの力に結実させて総決起する時だ。
 9・11郡山闘争の爆発は、その確かな展望を示した。平成採の青年労働者を先頭に、反合・運転保安闘争路線の発展を切り開き、「動労総連合を全国へ」を全力で推進しよう。そのためにも、危機に立つJR体制の全容を掌握し、JR体制を根底から打倒することが求められている。

2万人超える労働者が退職

 来年度以降、JRでは国鉄採用者の大量退職が始まる。これがJR体制を根底から揺さぶっている。JR東日本の場合、2014年4月現在の社員数5万8270人のうち50歳以上の国鉄採用者は2万5670人で、50歳未満の平成採用者3万2600人だ。国鉄採の内訳は、50歳〜54歳が1万2070人、55歳以上が1万3600人に上る。この10年で計2万6千人近くが退職期を迎えるのだ。
 JR東日本を始めとしたJR資本は、この大量退職による要員不足をもテコにして、さらに外注化を徹底的に拡大し、極限的なコストダウンに踏み込もうとしている。すさまじい激突に入った国際的争闘戦に勝ち抜くためにも、それしかないのだ。JR東日本が大々的に進めようとしている「グループ経営構想Ⅴ」は、崩壊の危機に立つJR体制の延命策の根幹をなしている。
 14年4月の段階で、国鉄採2万5670人の人件費と平成採3万2600人の人件費はほぼ同額と言われている。向こう10年で国鉄採の大量退職による要員不足分が丸ごと下請け会社に外注化されて人件費が徹底的に削減されれば、安全崩壊、技術継承の断絶、強労働と強搾取、超低賃金と長時間労働の強制は激しい勢いで進行する。これがかつてない大事故の続発をもたらすことは明らかだ。

外注化の結果が川崎駅事故

 それを端的に示したのが、今年2月の京浜東北線・川崎駅構内での脱線転覆事故だ。その核心は「JRの監督責任をはじめ、工事管理者、線閉責任者、重機安全指揮者等がひとつでも機能していれば起こるはずのない事故であった。だが、外注化と規制緩和の結果、安全を守るためのその仕組みは形だけのものになっていた。この事故は起こるべくして起きた」(『日刊動労千葉』7669号)ことにある。
 JR東日本社長の冨田哲郎自身、今年6月に行われた今年度の経営方針を示すインタビューで、川崎駅事故について繰り返し言及せざるを得なかった。そこで冨田は「川崎駅構内列車脱線事故を教訓に、あらためて緊張感をもって安全安定輸送に取り組む」「順調な経営状況に甘んじることなく、2014年度は、川崎駅構内の列車脱線事故を踏まえ、まずは安全・安定輸送の確保に全力を尽くす」「『グループ経営構想Ⅴ』に掲げたメニューを強力に推進することで、社員の活躍の場をさらに広げ、一人ひとりの社員、グループ、そして鉄道の未来を切り開いていく」と述べている。
 しかし川崎駅事故の深刻さは、工事が丸投げ外注化され、責任を負うべきJR東日本は元請けですらなかったこと、JRは何が起きても責任をとらない立場に身を置く仕組みを巧みにつくっていたことにある。
 雇用も労働条件も必要な要員も技術継承もすべて破壊し、底辺に向かって労働者を競争させることにより、職場は荒廃し安全は崩壊した。ここに外注化の本質がある。
 大量退職問題を使って、駅業務の全面委託化も激しく進行している。その様相は、駅業務の外注化を本格的に打ち出した08年1月の「ニューフロンティア2008における今後の駅のあり方」とも画然と違う新たな段階に入っている。

首都の主要駅も外注化対象

 12年4月段階でJR東日本の駅業務に従事する社員は1万2400人いた。そのうち約7千人の国鉄採用者が退職することを射程に入れて、JRは地方の小さな駅ではなく東京駅・新宿駅など首都の大規模駅そのものを外注化の主要な対象とする計画を策定した。
 このことをあからさまに表明したものが、昨年10月29日にJR東日本が発表した「グループ経営構想Ⅴ『今後の重点取り組み事項』について」だ。そこでJRは、2020年の東京オリンピックも好機として、「①安全かつスムーズ・快適な移動サービスの提供、②東京圏の観光流動活性化と地方への誘客、③ターミナル駅開発の推進による東京の魅力向上」などを打ち出した。
 このもとで駅業務を含む全業務の全面的な外注化をさらに徹底的に進めるというのだ。こんな営利最優先の計画が、安全をとことん破壊することは明らかだ。
 列車の安全・安定運行は、その要である駅で働く仲間の団結・協同性の不断の強化によって確保される。大量退職を逆手に取った外注化攻撃は、その団結を破壊する。しかしそれは、青年労働者を始めとするJRで働くすべての仲間と、その家族を含む全労働者を敵に回すものになる。今こそ分割・民営化以来の怒りを解き放ち、団結を力に変えて総決起する時だ。
 その決戦場は東京だ。9・11郡山闘争を引き継ぐ闘いを東京で起こそう。地区での団結を固め、各地区国鉄集会から11・2労働者集会へ攻め上ろう。
(北倉和夫)
このエントリーをはてなブックマークに追加