11・29星野全国集会を大成功させよう 証拠開示させ再審無罪へ 星野再審弁護団主任弁護人 岩井信

週刊『前進』06頁(2657号05面01)(2014/11/17)


11・29星野全国集会を大成功させよう
 証拠開示させ再審無罪へ
 星野再審弁護団主任弁護人 岩井信

星野さんは明確に無実だ

 星野文昭さんは明確に無実です。星野さんは機動隊員を殴打していないし、火炎ビンを投げるように指示もしていません。それを立証し、星野さんの再審無罪を実現することが、私たち再審弁護団の使命です。
 刑事訴訟法第435条は、再審開始を決定する条件として、「新規」かつ「明白」な証拠を定めています。その新証拠たりうるのが2010年に開示された「一郎丸写真」です。この写真が重要なのは、デモ隊と機動隊との衝突現場を過ぎた後に東急本店前で撮影されたことです。一郎丸という警察官がビルの屋上から撮影しました。
 星野さんが後ろを向いており、右手に白い紙が巻かれた鉄パイプを持っています。鉄パイプは白い紙がきれいなままで、機動隊員を殴ったらつくはずの傷跡や血痕もなく、形状の変化なども一切認められず、まっさらです。星野さんが機動隊員を殴打していない物的証拠です。
 にもかかわらず、東京高裁第11刑事部は「不鮮明ながら殴打の痕跡らしき」ものがあると言って、再審請求を棄却しました。この一言だけで新証拠としての明白性を否定したわけです。
 現在、東京高裁第12刑事部に異議を申し立てています。私たちの主張はシンプルです。第11刑事部が不鮮明な写真を根拠に再審請求を棄却したのだから、それが本当に「殴打の痕跡」なのかどうか、解析するためのデータを開示しろということです。
 異議審において弁護人、裁判官、検察官の三者協議を重ねた結果、今年7月10日に33枚のネガフィルムを最高精度でスキャンしたデータを開示させました。デジタルの技術は日進月歩です。今日の最新技術で解析すれば「殴打の痕跡」など一切なく、星野さんが機動隊員を殴っていないことが科学的に証明されると考えています。

大衆運動の力で再審実現を

 皆さんと一緒に取り組んでいる証拠開示運動が重要です。この力が、裁判官が検察官を促し、検察官にネガデータを開示させたと考えています。
 現在の第2次再審請求・異議審は、第1次再審以来の蓄積の上に闘われています。第1次再審において、最高裁は極めて異例な決定文を出しました。確定判決の柱をなすKrさんの供述調書は星野さんが「きつね色の背広上下」を着ていたとし、それを殴打者識別の根拠にしています。ところが、星野さんが実際に着ていたのは薄青の上着だったことが、警察の報告書などで明白になりました。最高裁はそれを認めざるを得なかったにもかかわらず、特別抗告を棄却しました。
 このことから東京高裁は、頼りの供述証拠が崩れてきているので、物である証拠については、やはり開示して弁護人の検証に耐えられなければならないという所に立たされています。この上に「一郎丸写真」などを開示させました。しかし、11人の現場目撃者を始めとする供述調書については、開示の勧告もしようとしません。

真実は歴史に必ず残るもの

 再審請求を巡っては様々な動きが出ています。袴田巌さんに再審開始の決定が出されて、48年ぶりに釈放されました。まだ再審無罪には至っていませんが、大きな進展です。しかし、その一方で、名張毒ぶどう酒事件や北海道の恵庭事件では再審請求が棄却されています。最近の動向は決して楽観できません。
 検察官が自分から証拠を開示することはありません。大衆的な運動の力がなければ、ネガデータの開示はありませんでした。検察官が持っているすべての証拠を開示させるには、もっともっと大きな力と運動が必要です。
 真実は歴史に残るものです。真実とは何か、星野文昭さんは無実だということです。
 確定判決の証拠構造は実に脆弱(ぜいじゃく)なものです。デモに参加した6人の供述調書のみが、星野さんを有罪にする証拠とされています。そのうち3人が少年です。6人のうち5人が公判廷で「警察・検察に強制されてウソの供述調書をとられた」と真実を証言しました。本来なら、これだけでも星野さんは無罪とされなければならないのです。
 最後には必ず真実が実現し、歴史に残る。そうした信念の下で、私たち弁護団も再審請求を続けて行きます。11月29日の全国集会の力と一つになり、必ず星野文昭さんを取り戻す決意です。
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