生きさせろ!の闘いを 医療・介護・年金を奪うな 民営化・児童館全廃やめさせよう

週刊『前進』08頁(2659号04面02)(2014/12/01)


生きさせろ!の闘いを
 医療・介護・年金を奪うな
 民営化・児童館全廃やめさせよう


 衆院選決戦は、安倍政治を断ち切る「生きさせろ!」の闘いです。安倍は「財政健全化」を掲げて、医療・介護、年金、保育、生活保護など、戦後の社会保障制度を一掃しようとしています。それは社会を崩壊させ、人びとを死に追いやる政治です。さらには戦争と改憲、原発再稼働、雇用・生活破壊の安倍政権に、腹の底からの怒りを解き放って闘いに立ち上がりましょう。

安倍の「命よりカネ」の政治で殺されてたまるか

 9月24日、千葉県銚子市内の県営住宅で、家賃滞納で退去を迫られた母親が「一緒に死のう」と中学二年生の娘の首を絞めて殺してしまう痛ましい事件が起きました。生活保護も受けられず追い詰められてしまったのです。08年、市立病院の休止が大問題となった銚子市では「17年に財政破綻」「自治体消滅」の危機が叫ばれ、歳出削減が暴力的に進められてきました。これは銚子市だけの問題ではありません。安倍政権は「社会保障と税の一体的改革」を掲げて、人の命を奪う政治を拡大してきたのです。
 当然にも人口が減り続けています。これ自体が新自由主義の末路であり資本主義の崩壊そのものです。しかし安倍政権は「2040年までに896の市町村が消滅する」という大宣伝を始めました。自分たちがつくり出した社会の惨状を逆手にとって、「働き手が減るのだから女性や高齢者はもっと働け」「財政難だから福祉に金は回せない」「消費増税だ(経済成長のために法人税は減税する)」「病院や学校、公共施設は複数の市町村の中心部に集約して民営化し、収益を民間に開放すべきだ」と、いっそう激しくムチを打っています。衆院選決戦で、こんな「命よりカネ」の政治を断ち切りましょう。

公的医療保険の解体をもたらす

 安倍は6月に成立させた医療・介護総合確保推進法(医療・介護総合法)を使って医療・介護給付費の大幅削減を進めようとしています。それは公的医療保険の解体に行き着く労働者への階級戦争そのものです。
 1961年、誰でも安く医療を受けることを国が保障する公的医療保険制度は闘ってかちとったものです。しかし安倍は都道府県に強権を与え、病院と介護施設を統合・再編して43万もの病床を削減する計画を進める一方、市町村に保険料の引き上げと滞納取り立ての強化を迫っています。
 病気と貧困に苦しむ人びとを医療・介護施設から放り出す。差し押さえで身ぐるみはぐ。医療も介護も金次第。非正規職化と賃下げを進め、社会を成り立たせている公的部門のすべてを民営化して営利事業に変え、資本のもうけのえじきにする。堤未果著『沈みゆく大国アメリカ』(集英社新書)が示す〝自己破産理由のトップは医療費、がんの特効薬が一粒10万円、命も市場に並ぶ「商品」の一つ〟と化したアメリカの現実は、日本でも始まっています。もうがまんできない! 怒りが爆発しています。

年金の支給削り株にリスク運用

 厚生労働省は年金加入期間を5年延ばして65歳まで払い続けることを義務づける方針を打ち出し、受給年齢を70歳に引き上げる議論も始めました。年金額を毎年自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」も発動しようとしています。
 さらに公的年金の積立金で株価をつり上げるために、リスク運用にこれまでの2倍も投入しようとしています。株が暴落すれば無になってしまう。その責任は誰がとるというのでしょうか。
 そして消費増税です。「社会保障のため」とされたが、実際にはわずか1割。大半は法人税減税の財源に使われようとしています。円安で最高益を上げるトヨタや日産など巨大輸出企業10社は、消費税が8%に上がっただけで還付される「輸出戻し税」が1兆188億円増えるという試算も出ています(週刊ポスト)。本当に許せません。

自治体が「取り立て屋」に変質

 安倍政権は国民健康保険(国保)をこれまでの市町村管理から都道府県に移す法案を提出しようとしています。給付を抑制し、保険料を引き上げる一方、取り立てを強化することが最大の狙いとされています。
 すでに自治体による強引な取り立てと差し押さえが急増しています。
 前橋市で働きながら娘を一人で育ててきた40代の女性は昨年末、国保料の滞納を理由に預金を差し押さえられて10万円を強制徴収されました。口座には約6万円しか残らず、さらに1月に生命保険まで差し押さえられた女性は市の職員に「私に死ねということですか」と訴えるまで追い込まれました。浜松市国保年金課の「滞納削減アクションプラン」には「滞納の芽を作るな!増やすな!見逃すな!」と掲げられています。完全に犯罪者あつかいです。15年度末までに差し押さえなどを2千件以上にすることが目標とされているのです(朝日新聞)。
 自治体職員の読者が多い『都政新報』は、都民税の滞納取り立ての「成果」を「徴税吏員みょうりに尽きる」とあおる記事を掲載しています。
 住民の生活を守るべき自治体が「取り立て屋」に変質し、自治体労働者が支配階級の手先とされる。それ自体が集団的自衛権行使の7・1閣議決定、戦争・改憲と一体であり、労働者の階級的団結を解体する攻撃です。体制内労組幹部の支配を打ち破って戦争と民営化に絶対反対し、職場の支配権を取り戻す闘いが、全国で始まっています。

保育の民営化と安全崩壊許さぬ

 15年4月からの子ども・子育て支援新制度のもとで、公立保育園や幼稚園のこども園化による統合と民営化、安全基準の大幅緩和による定員400〜500人規模のマンモス化とマンションの1室での小規模化が進められようとしています。さらに地域の小中高生、乳幼児親子、高齢者の交流の場である児童館を廃止。空き教室を使う放課後子ども教室に代えて、敷地と施設を企業に売り渡そうとしています。
 何が「すべての女性が輝く社会づくり」でしょうか。新自由主義が行き着いた労働力人口の減少に対し、「待機児童の解消」を掲げて、子育て中の女性も根こそぎ超低賃金の非正規労働にかりだす攻撃です。それは全労働者の貧困をいっそう進めるものとなります。
 民営化と規制緩和がもたらすのは、子どもの事故が多発する安全の崩壊であり、大量の首切りと任用替え、非正規職化です。止めるのは今です。現場の闘いと結合し、保育園民営化と児童館廃止をやめさせましょう。

社会の崩壊に行き着いた新自由主義に断を下そう

 安倍はアベノミクスの大破綻の中で、10%への消費再増税を17年4月に延期する事態に追い込まれました。国の借金は増え続け、破局に突き進んでいます。だから戦争であり改憲なのです。
 国の借金は誰がつくったのでしょうか。資本家の政府であり、すべては資本の救済と利潤確保のためです。そのツケを労働者に押しつけ、社会保障制度の解体と消費大増税で命まで奪う。こんな資本主義はもう終わりです。消費税は全廃。社会の富のすべては労働者がつくり出したものです。奪われたすべてを奪い返しましょう。
 安倍への怒りは満ち、デモとストライキで打ち倒す情勢が来ています。動労総連合を全国につくり、自治体や学校、医療・介護職場を始め、ストで闘う労組拠点を無数に建設しましょう。衆院選決戦に勝利しましょう。
(大迫達志)

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