安倍の戦争政治と対決し現代の治安維持法と闘う 憲法と人権の日弁連をめざす会 森川文人弁護士の訴え

週刊『前進』12頁(2663号02面02)(2015/01/01)


安倍の戦争政治と対決し現代の治安維持法と闘う
 憲法と人権の日弁連をめざす会
 森川文人弁護士の訴え


 安倍政権のもとで治安立法の攻撃が激化している。改憲・戦争・治安弾圧と闘う決意を、第二東京弁護士会所属で「憲法と人権の日弁連をめざす会」の森川文人弁護士に語っていただいた。(編集局)

 急速に生活が厳しくなってきた。多くの人が実感している。GDPが修正されてさらにマイナスになり、非正規職が40%近くまで拡大してきている。年収300万円以下も40%に迫っている。大学生の半数以上が奨学金の借金を背負っている。
 新自由主義が行き詰まり、帝国主義間・大国間の争闘戦が激化している。その中で集団的自衛権行使容認の7・1閣議決定があった。憲法9条のもとでの「戦争放棄の国」から「戦争をする国」へと大きく舵(かじ)を切った。4月1日には武器輸出3原則を転換して武器輸出に踏み切った。合憲・合法的な装いもまったく無視して戦争に走っている。
 日米安保ガイドライン改定は先送りされたが、戦後初めて日本側から改定を働きかけた。アメリカの意図とは別に、中国をめぐる争闘戦に日本帝国主義が独自に打って出ようと焦っているのだ。
 われわれは、戦争か革命か、そういう時代に踏み込んでいる。

秘密保護法と盗聴法許すな

 こういう時代、敵は政府・資本を批判する言論、戦争反対、原発再稼働反対も含めた言論を抑え込もうと考える。
 12月10日に特定秘密保護法が施行された。政府にとって都合の悪いことは全部秘密。何を秘密にしたのか、それ自体も秘密にしてしまう。
 盗聴法の改悪も狙われている。盗聴の対象を拡大し、また職員の立ち会いなしで警察官だけで盗聴できるようにする。特定秘密保護法と一体で、まさに、ジョージ・オーウェルの『1984年』に描かれた監視社会だ。警察権力の本質を暴露する闘いが必要だ。
 学生たちが大学の中で公安を取り押さえた、いわゆる「京大ポポロ事件」には「学生たちは正しいことをした」「賛同する」という大衆的な支持の声が上がった。デモで現行犯逮捕した学生の証拠集めのための家宅捜索が、京都大学の学生寮にわざわざ東京から120人の機動隊を送り込んで行われた。これは明らかにおかしい、捜索令状を発付した裁判所もおかしいという声も大きく広がった(学生はその後、不起訴釈放)。
 1月22日に新たに「現代の治安維持法と闘う会」を立ち上げる。内なる戦争、激化する治安弾圧を暴露し、これと闘う民衆側の運動をつくりたい。今、安倍戦争政治に対する危機感が広範にある。日本でもすでにいざとなれば万単位で人が集まる状況が生まれている。原発再稼働反対で20万人が国会前に集まるのだ、これは誇っていい。「力の自負と危機感」を持って対決する大衆的な主体性が必要だ。
 横浜事件の国賠裁判を担当しているが、横浜事件の再審が困難だったのは、判決文がなかったから。ポツダム宣言を受諾する前に、自分たちの責任、とりわけ天皇の責任が追及されるのを恐れて公文書を燃やすという方針を閣議決定し内々に全国に通達した。その中に裁判所の文書もあった。
 国は都合の悪い事実は秘密にしてしまう。この姿勢は戦前から今日まで変わっていない。それどころか、特定秘密保護法によって合法的に繰り返そうとしている。
 政府は、階級的な対立をナショナリズムや排外主義で覆い隠そうとしている。しかし、今や国家とわれわれ労働者階級の非和解的な対立が明確になってきている。
 7・1閣議決定の前日や当日には首相官邸前で「安倍打倒!」の声が上がった。安倍を倒せ、アベノミクスはインチキだ、原発再稼働もおかしい、戦争反対だと、きっぱりと声を上げよう。
 われわれは昨年、8・17日比谷大集会―11・2労働者集会と闘い続け、都知事選と衆院選では、鈴木達夫弁護士を押し立てて闘った。
 今の「閉塞(へいそく)感」、かっこ付きなのはそれ自体もプロパガンダだと思うからだが、選挙になっても〝選択肢がない〟〝安倍打倒はいいけれど、安倍を打倒した後はどうするんだ〟と多くの人が思っている。それは俺たちがやるんだ、その証しを鮮やかに見せたのが杉並での鈴木達夫候補を擁立してのわれわれの闘いだった。ストレートに「労働者の政党をつくろう」と言った。われわれはこの時代に責任を取って闘っているのだと自負している。
 今、弁護士も本当に大変だし、非正規職労働者もそうだろう。みんな目先のことに追われているが、それでいいのか。
 宮崎駿の『風立ちぬ』を見た時、みんなもやもやとする。一生懸命に優秀なゼロ戦を開発した結果、戦争を迎える。彼は一生懸命にやったじゃないかと言うが、一生懸命やればいいんじゃなくて、自分の行為が何をもたらすのかをしっかり考えなければならない。
 治安維持法下の裁判官は治安維持法に従うことが「時代の善意」だったかもしれないが、それが何を招いたのか。自覚的に階級的視点を持つことが大事だ。

一人じゃない闘えば勝てる

 厳しい時代ではあるが同時に、団結した力で新たな未来をつくり出そうという希望の時代だ。
 生きぬかなければ、展望も開けない。みんな「普通に生きたい」わけだ。戦争なんかに連れて行かれたくない、健康に生きたい、放射能など浴びたくはない。
 選挙戦で鈴木さんが訴えたキーワード、「一人じゃない」ということだ。団結して闘うとすごいことが起こるんだと。ストライキで、社会を労働者が動かしていることをまざまざと見せ付けることは可能だ。こういう時代こそ、自分たちの力に自覚的であることに展望がある。つながって、ともに闘う。一緒に闘うからこそ力を発揮する。
 2015年、労働者階級の力を自覚し、深まる弾圧にはきっちり構えて闘っていく。しっかり闘えば勝てる。ともに闘おう!(談)

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▼横浜事件 第2次世界大戦中の1942年から45年にかけて生じた弾圧事件。雑誌に掲載された論文をきっかけに編集者、新聞記者ら約60人が治安維持法違反で逮捕され、約30人が有罪となり、4人が獄死した。
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