JR体制 破産と崩壊⑫ ダイ改を機に大再編狙うJR 「競争力強化」を叫び大合理化 大量退職テコに全面外注化へ 生きぬくための反撃に立とう

週刊『前進』06頁(2665号02面06)(2015/01/19)


JR体制 破産と崩壊⑫
 ダイ改を機に大再編狙うJR
 「競争力強化」を叫び大合理化 大量退職テコに全面外注化へ
 生きぬくための反撃に立とう


 2015年、国鉄決戦は文字どおり重大段階を迎えた。最高裁は動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の昨年内判決を断念せざるをえず、すべては15年決戦に持ち込まれた。
 それだけではない。3月ダイ改をめぐるすさまじい攻防は、動労千葉・動労水戸―動労総連合を先頭とする国鉄(JR)職場の闘いを巨大な決戦に押し上げている。さらに、昨年9・11郡山工場包囲闘争を闘いぬき、外注化・非正規職化絶対阻止へ闘う国労郡山工場支部の闘いも、大きな飛躍の時を迎えている。
 鉄道輸出をめぐる帝国主義間・大国間の争闘戦は、レーニンの時代をも超えるような市場・資源・勢力圏をめぐる奪い合いとして激しく進行しつつある。その中で今年7月、JR東日本は東京に1000人を超える世界の鉄道関係者を集めて「世界高速鉄道会議」を開催し、全世界を対象にした鉄道輸出の権益の分割・再分割戦に乗り出そうとしている。
 「動労総連合を全国に」の闘いを今こそ貫徹し、国鉄決戦でプロレタリア革命を実現しよう。

地方切り捨て都市圏に集中

 3月ダイ改でJR東日本は、JR東日本全域におよぶ輸送体制の大再編と大合理化に本格的に手をつける。これは、今後3〜4年、大きくは2020年東京オリンピックの開催を射程に入れた、きわめて大規模なものとしてたくらまれている。それは、大量退職時代を迎えてJRがたくらむ大合理化・全面外注化の突破口をなすものだ。
 3月ダイ改は、北陸新幹線の開業と上野東京ラインの開業を頂点に、東北・上越新幹線や京浜東北線・山手線・宇都宮線・高崎線・常磐線・東海道線などの首都圏線区全体、東京メガグループとされる武蔵野線・南部線・横浜線・京葉線を含む大再編に及んでいる。
 北陸新幹線の開業は、JR全体にとっても2011年の九州新幹線開業以来4年ぶりの新線開業であり、JR東日本と西日本にまたがる輸送体系の大再編をもたらす。
 ダイ改を前に各労働組合に提示した資料の中で、JR東日本は北陸新幹線と上野東京ラインの開業の狙いを「対抗輸送機関との競争力強化」とあけすけに述べている。これを機にさらなる大合理化に踏み込むということだ。
 この資料はまた、「ご利用状況に応じた輸送力の適正化(列車の削減)」を掲げている。千葉支社管内での特急の全廃・大幅削減を始め、花輪線・男鹿線などローカル線での列車の削減を強行し、JRは地方の衰退に一層の拍車をかける攻撃に露骨に踏み込んできたのだ。寝台特急「北斗星」の廃止も、列車が通過する岩手県や青森県の第三セクター会社に大幅な減収をもたらす地方切り捨て攻撃そのものだ。
 JRはこうして、新幹線と都市圏輸送、都市間輸送だけに特化し、赤字ローカル線を切り捨てて生き延びようとしている。その攻撃は鉄道のパッケージ輸出戦略と一体だ。たとえ鉄道の海外輸出が壁に阻まれようと、JR資本はそこにかける以外になくなったのだ。

JR東日本であいつぐ自殺

 3月ダイ改でJRは鉄道業務の全面的外注化と非正規職化、基地統廃合や工場を先端とする分社化・子会社化に踏み切った。それはすさまじい労働強化、技術継承と安全の破壊、職場の団結破壊をもたらす。その攻撃のすべては青年労働者に激しく襲いかかってくる。
 民営化・外注化は人間労働を分断・寸断し、その協働性を破壊する。これと真正面から闘わなければ、青年の未来は奪われる。
 実際、JR東日本では13年12月に上野新幹線第二運転所の36歳の運転士、14年1月には綾瀬運輸区の41歳の東労組組合員が自殺に追い込まれた。昨年5月の東労組の文書によれば、「2004年から今日まで、約10年間で20名の組合員が自ら命を断ち、しかも、2010年から11名にのぼっている」という。外注化を全面推進した東労組カクマルこそ、ここまで労働者を追い詰める職場の現実をつくり出した張本人だ。しかも彼らは、この深刻な問題をカクマル分子の特権維持のための取引材料としか扱っていない。
 さらにこの間、列車運行の要をなす列車指令のあいつぐ自殺という事態まで起きている。JRのすさまじい現実は極限にまで至ったのだ。
 ところが、この問題が議題の一つになった国労とJR東日本との団交で、国労東日本本部は「引き続き社員管理をお願いする」と頭を下げ露骨に資本におもねった。
 何ということだ! 労働者を死に追い込んだのは資本ではないか。こんな腐りきった体制内労組幹部を打ち倒し、資本と一体となった抑圧・制動をぶち破って、生きるために職場から総反撃に立たなければならない。

職場の闘いと団結を武器に

 3月ダイ改で常磐線の上野から品川までの乗務区間の延長(品川までの直通運転)や増便、車掌業務の外注化を狙った特急列車の全席指定化、さらには常磐線の全線開通をたくらむJRと全力で対決する動労水戸は、昨年暮れの動労総連合大会で次のように闘いの決意を明らかにした。
 「15年10月、出向の期限を迎えます。外注化拡大ではなく65歳まで定年を延長することなしに大量退職問題は解決しないことを、職場で粘り強く討論しなければなりません。東労組や国労などの外注化に賛成し、推進してきた極悪の幹部を打倒する時が来ています。組織拡大のチャンス、JR総連打倒の絶好の機会が到来しています。動労総連合を全国につくるためにともに頑張りましょう」
 最高裁に動労千葉鉄建公団訴訟控訴審の昨年内判決を断念させたのは、8万3千筆を超える署名と6度にわたる連続的な署名提出行動であり、何よりも民営化・外注化、非正規職化を許さない職場での日々の闘いであり、そこで築かれた団結の力だ。青年の未来をかけ、2015年を日本と世界を揺るがす国鉄決戦の爆発の年としよう。
(北倉和夫)
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