中東・欧州・全世界人民に訴える 大恐慌・戦争を革命へ 日帝の中東―世界戦争参戦許さず 労働者の国際的団結で安倍を倒せ 1・26安保国会粉砕!緊急行動に立とう

週刊『前進』06頁(2666号01面01)(2015/01/26)


中東・欧州・全世界人民に訴える
 大恐慌・戦争を革命へ
 日帝の中東―世界戦争参戦許さず
 労働者の国際的団結で安倍を倒せ
 1・26安保国会粉砕!緊急行動に立とう

(写真 〝戦争のための盗聴・秘密法粉砕を〟戦争と治安弾圧粉砕の闘志に燃え、「現代の治安維持法と闘う会」が結成された。荻野富士夫さん【小樽商科大学教授】の記念講演に聴き入る310人の集会参加者【1月22日 東京・弁護士会館】=詳報次号)


 1月20日、イスラム武装組織「イスラム国」が日本人男性2人を拘束し、日本政府に72時間以内に2億㌦(約236億円)を支払わなければ2人を殺害すると警告するビデオ声明を、インターネット上に公開した。
 この事件は、日本帝国主義の安倍首相が、銀行や商社、ゼネコンなど46の大企業の幹部を引き連れて、エジプトやイスラエルなど中東を歴訪しているさなかに、それを狙いすまして引き起こされた。「イスラム国」はビデオ声明の中で、安倍が17日にエジプトで「イスラム国」壊滅作戦に2億㌦拠出すると表明したことを取り上げ、この2億㌦は空爆作戦で女性と子どもたちを殺し、イスラム教徒の住居を破壊するために使われ、さらに「有志連合」の軍隊の訓練のために使われるのだと非難している。

侵略戦争と1・20人質事件

 これに対し、安倍は20日にイスラエルで記者会見し、「2億㌦は人道支援だ」「脅迫は許しがたいテロ行為」「断固としてテロに屈しない」と語った。日本のテレビ・新聞はいっせいにこの安倍の発言を擁護し、「金目当ての許しがたい蛮行」「脅迫者の批判は筋違い」と一大キャンペーンを張っている。安倍政権は口先では「人命尊重」などと言いながら、実際には2人を積極的に犠牲にし、それを逆に日帝の中東侵略、集団的自衛権行使=侵略戦争参戦のてこにしようとしている。
 フランスの1・7週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件に続くこの事件は、世界大恐慌の激化・深化と新自由主義の総破綻のもとで、帝国主義の世界体制が累積した矛盾を爆発させ、大恐慌が侵略戦争―世界戦争へと激しく転化し始めていることを示している。今こそ階級的労働運動と国際連帯の闘いを全面的に発展させ、反帝国主義・反スターリン主義世界革命に総決起すべき情勢の到来を告げている。
 1・20人質事件とは何であり、それは世界の労働者階級に何を突きつけているのか。
 まず第一に、今回の事件の一切の根源、元凶は、米英仏帝や日独帝を始めとする「有志連合」のイラク・シリア空爆=侵略戦争にあるということである。
 「対テロ戦争」と称するこの帝国主義の侵略戦争には一片の正義性もない。それは中東の石油資源を略奪しようとする帝国主義強盗どもの資源・領土・勢力圏の強奪と分割をめぐる戦争である。そのためには「対テロ作戦」と称して中東人民を皆殺しにしても構わないというのである。これに対するフランスでの1・7襲撃事件と1・20人質事件は、帝国主義による中東人民大虐殺戦争への怒りが、非常にゆがめられた形で爆発したものだと言うことができる。
 昨年8月、アメリカ帝国主義はイラク・中東支配の崩壊の危機に直面し、シリア・イラクで勢力を広げる武装組織「イスラム国」へ空爆を開始した。さらに「イスラム国壊滅」を呼びかけて「有志連合」を結成し、今日およそ60カ国がこれに参加している。米英仏軍を中軸として空爆作戦が連日繰り返され、今日までの6カ月間に、実に1700回以上もの空爆が強行されている。イラクとシリアの町や村に爆弾の雨を降らせ、油田を破壊し、多数の人びとを無差別に虐殺している。
 この空爆作戦について、安倍は昨年9月23日、ニューヨークで、「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と空爆全面支持の発言を行った。これに基づいて日本政府は、「壊滅作戦」費用として9月に2550万㌦(約30億円)を拠出した。さらに今回、大幅に増額して2億㌦(約236億円)の拠出を約束したのである。この日帝・安倍の言動や資金拠出は、空爆を行っている米英仏などと同列で、中東・イスラム人民の怒りの的となっているのだ。

戦争へ転化し始めた大恐慌

 第二に、安倍政権が今回の中東歴訪と1・20人質事件をもてこにして、中東侵略戦争・世界戦争に積極的に参戦しようとしていることである。
 安倍は、他の帝国主義国家と肩を並べて血を流して自力で戦争をやれる国家にしなければ生き延びられないと、対米対抗性をむき出しにして中東外交を展開し、戦争の道へ突き進んでいる。一方で安倍は、その攻撃が人民の怒りを爆発させ、プロレタリア革命の引き金になる恐怖におののき、「2億㌦は人道支援のためだ」などと見え透いた言い訳をしているのだ。
 米軍をはじめ「有志連合」は、空爆で油田や住居を破壊し人民を殺傷し、町や村を廃墟にして住民をバラバラに分断し難民キャンプなどで制圧下に置いている。これは「イスラム国壊滅」と称した侵略戦争そのものだ。仮に2億㌦の一部が「難民救済」に使われても、日帝がやっていることは「有志連合」の空爆=侵略戦争の支援であり、参戦そのものなのである。安倍のいう「人道支援目的」など、まったくのペテンだ。
 第三に、大恐慌は今や「恐慌の中の恐慌」に突入し、世界の帝国主義と大国はかつてない体制的危機からの延命をかけた争闘戦を激化させ、それが今や戦争に転化しつつあるということである。
 現実に中東は、ウクライナ、東アジアとともにその危機の集中点であり、今度の事件を引き金に日帝が参戦し、世界戦争への流れが一挙に加速することは確実である。
 米欧日帝国主義と残存スターリン主義の中国、そしてロシアは、まるで20世紀初頭の時代かと見まがうほどのむきだしの凶暴性をもって、世界のあらゆる市場、資源、領土の奪い合い、分割・再分割戦を激化させている。これこそ最末期帝国主義の絶望的延命形態としての新自由主義の凶暴な実態である。
 中東には、帝国主義にとって死活的な石油・天然ガス資源が最も豊富にある。「イスラム国壊滅」を掲げた侵略戦争の正体、最大の目的は、中東石油の支配と争奪戦である。「有志連合」の内部には、帝国主義間・大国間の激しい矛盾と争闘戦がはらまれている。
 米帝オバマは20日、議会で一般教書演説を行い、「イスラム国」などに対して、「テロ組織を追い詰め、彼らのネットワークを解体する」と、中東侵略戦争を長期にわたって継続する新たな戦争宣言を行った。また「このテロ組織を弱体化させ、最終的に壊滅させるために(アメリカが)幅広い有志連合を先導している」と述べ、他の帝国主義や大国の対抗的突出を許さず、あくまでも米帝主導のもとで「イスラム国」掃討に取り組む考えを表明した。
 またフランス帝国主義のオランド社会党政権は「フランスはテロとの戦争に入った」と戦争宣言を行い、国内治安体制を徹底的に強化し、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」を中東海域に派遣することを表明した。
 他方、ドイツ帝国主義は、イラクのクルド人部隊に大量の武器供与を開始するとともに、クルド人戦闘部隊をドイツ国内で訓練・養成している。ドイツは、3千万人といわれるクルド人の分離・独立運動との関係を強め、その地域での石油利権を狙っている。帝国主義間・大国間の争闘戦に勝ち抜くため、戦後70年にしてついにドイツが戦争へと動き始めた。
 こうした米欧帝国主義の中東支配をめぐる激しい動きの中で、日帝・安倍政権がついに中東侵略戦争への参戦に踏み込んだ。集団的自衛権行使の7・1閣議決定を行い、武器輸出を解禁し、大軍拡と「戦後70年談話」の発表をたくらむ日帝・安倍の動きは、ドイツの動向とともに戦後史を画し、世界戦争の危機に棹(さお)さすものだ。
 多数の資本家を引き連れた今回の安倍の中東4カ国歴訪は、中東での帝国主義間・大国間の争闘戦に後れをとらず、石油資源の確保をめぐる激烈な争奪戦に積極的に食い込んでいくのが目的である。さらに安倍は地下鉄や空港などのインフラのパッケージ輸出をめぐっても、他帝国主義との激しい市場争奪戦に勝ち抜こうとしている。そのためにエジプト革命を圧殺したシシ政権や、パレスチナ人民の虐殺を繰り返すイスラエルのネタニヤフ政権を積極的に支持・支援している。
 安倍は実質5兆円超の空前の防衛予算を計上して大軍拡を行い、さらにアフリカ東部のジブチに、中東侵略戦争のための自衛隊の恒久的な「海外基地」を建設しようとしている。スエズ運河―紅海の出入り口にあたる戦略的要衝に日帝の軍事拠点をつくるという、安倍の超反動的突出を、絶対に許してはならない。
 このように、米欧日帝国主義はいっせいに戦争=世界戦争へと動き出しつつある。まさに「世界戦争前夜情勢」だ。中東、ウクライナ、東アジアこそ、世界戦争の導火線であり発火点である。第3次世界大戦を絶対に起こさせてはならない。帝国主義を革命で打倒し、世界戦争を阻止しなければならない。

階級の団結とマルクス主義

 そのために、今こそ万国の労働者は団結しよう。世界戦争情勢と真っ向から対決し、階級的労働運動と国際連帯の力で、大恐慌と戦争をプロレタリア世界革命へ、反帝国主義・反スターリン主義世界革命へと転化するために、全力で総決起し闘おう。
 第四に、しかし今日のイスラム武装勢力の思想・路線・行動では、断じて世界の労働者階級人民の解放と、帝国主義の根底的打倒は実現できないということである。
 そもそもアルカイダや「イスラム国」などのイスラム武装勢力は、一方での帝国主義の歴史的な支配・抑圧と侵略戦争、他方での戦後体制形成期以来のソ連スターリン主義の裏切りと反動性への怒り、絶望の中から、きわめてゆがんだ形で生み出されてきた存在である。直接的にもアルカイダや「イスラム国」は、米帝やサウジアラビアなどの反動的支配層が、中東分断支配のために育成してきた勢力なのだ。
 そういうものとして彼らは、中東の戦闘的労働者や労働運動、クルド民族などを無差別襲撃することも辞さない武装反革命といえる存在であり、同時に米帝や中東の反動的支配層の先兵ともなってきたのだ。彼らは労働者階級の団結を信頼せず、階級的団結を破壊する。労働者国際連帯にも敵対しそれを解体する。
 こうしたイスラム武装勢力と対決し、求められているものは、マルクス主義であり、労働者階級自己解放の思想、理論、路線である。反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命である。中東で不屈に闘う労働者階級と連帯し、階級的労働運動と国際連帯を強固に発展させよう。労働者を分断する排外主義と対決し、帝国主義の侵略戦争を粉砕し、大恐慌と戦争を革命へ転化しよう。

国鉄決戦で革命勝利開こう

 第五に、戦争へののめり込みはけっして帝国主義の強さの表れではないということである。
 米欧日の帝国主義は、大恐慌の歴史的荒波に直撃され、体制的危機と破綻を深めている。新自由主義による民営化・外注化、非正規職化、賃下げ・首切り・大失業と貧困化に労働者の怒りは高まり、ストやデモが頻発(ひんぱつ)し、階級闘争は激化している。今やすべての政府は「噴火山上」(レーニン)にある。
 欧州では大恐慌下で労働者の階級的決起が巨大な規模で始まり、ギリシャ、スペイン、イタリアなどに続きフランス、ドイツ、イギリスで、既成の体制内労働運動と激突し、新たな労働運動が排外主義と対決しながら、力強く台頭している。この労働者階級の決起に対する各国支配階級の恐怖と焦りこそが、「テロ撲滅」を掲げた侵略戦争と治安弾圧に帝国主義を駆り立てている。つまり彼らが「対テロ戦争」を叫ぶ危機感の根底には、プロレタリア革命への恐怖があるのだ。
 今まさに〈戦争か革命か〉の1930年代的な世界史的激動の時代、戦争の危機を帝国主義打倒―世界革命によって突破すべき飛躍の時代が到来している。
 この時、日本共産党スターリン主義は「対テロ戦争」を支持し、帝国主義の侵略戦争を全面的に美化し、労働者階級自己解放の闘いに敵対を深めている。かつてソ連スターリン主義は1930年代に世界の労働者階級の闘いを圧殺し、第2次世界大戦を「ファシズム対民主主義の戦い」と規定して、帝国主義戦争に参戦した。そして労働者階級を血の海に沈めた。日共スターリン主義は今それと同じ道を歩んでいる。このスターリン主義と対決し闘うことなしに、プロレタリア革命の勝利はかちとれない。
 さらには連合の帝国主義労働運動や、日帝・安倍政権に屈服しその先兵と化す一切の体制内労働運動を打ち破り、国鉄決戦・公務員決戦を闘い抜こう。不屈の闘いを貫く動労千葉、動労水戸のように、階級的労働運動と労働者国際連帯を限りなく発展させよう。それこそが、日帝・安倍の参戦、改憲・戦争国家化の攻撃と真っ向から対決し粉砕する道だ。
 全学連を最先頭に安保国会粉砕の1・26緊急国会行動(正午/衆院第2議員会館前)に立とう。2・15国鉄集会を全国各地でかちとり、3・14JRダイヤ改定阻止と春闘ストを闘い、国鉄・反原発・安保決戦で日帝・安倍政権を打倒しよう。

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