「朝鮮有事」で日帝の本格参戦狙うガイドライン改定許すな 今春の安保国会決戦に立とう

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週刊『前進』08頁(2670号05面01)(2015/02/23)


「朝鮮有事」で日帝の本格参戦狙うガイドライン改定許すな
 今春の安保国会決戦に立とう


 安倍政権は今国会での安保関連法の一括整備とともに、外務・防衛の閣僚協議(2プラス2)を4月末にもワシントンで開催し、5月上旬に計画される安倍訪米前に日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定を強行しようと策動している。それは日帝・自衛隊が米軍とともに血を流し戦争をする軍隊として東アジアと全世界にのり出す大攻撃だ。ガイドライン改定の重大性を暴く。

朝鮮侵略戦争構える米帝

 世界大恐慌が戦争(世界戦争)に転化する過程が始まり、東アジアが中東、ウクライナと並ぶ発火点となっている。
 朝鮮半島の戦争危機が激化している。米軍と韓国軍が毎年行っている合同軍事演習である「フォールイーグル」(野外戦術機動演習)と「キーリゾルブ」(指揮系統の予行演習)が3月上旬から実施される。この演習自体が北朝鮮スターリン主義の政権転覆を狙うすさまじい戦争重圧だ。
 13年の「フォールイーグル」では、核攻撃のために開発されベトナム戦争でじゅうたん爆撃を行った戦略爆撃機B52が参加し、核搭載可能なB2ステルス爆撃機が米本土から韓国に飛来して爆弾投下訓練を行った。北朝鮮軍による局地的な戦争勃発に米韓両軍が反撃する手順を定めた作戦計画が、この演習のさなかに発効した。
 米帝は朝鮮侵略戦争の態勢を構えている。昨年9月に、15年12月に在韓米軍から韓国軍に有事の際の作戦指揮権を移管するとしていたのを事実上無期延期するとともに、米韓連合師団を15年に創設することも決定した。
 昨年12月、米政府はソニー米映画子会社(SPE)へのサイバー攻撃を北朝鮮によるものと断定し、1月2日にオバマが対北朝鮮制裁措置の行政命令を発動した。制裁対象を北朝鮮政府・労働党と明示したのは初めてのことだ。追いつめられた北朝鮮・金正恩(キムジョンウン)政権は軍事演習を中止すれば核実験を中止すると取り引きを持ちかけたが、米帝は拒否した。1月22日にはオバマが北朝鮮の政権崩壊に言及し、ブリンケン米国務副長官が2月9日に「北朝鮮への圧迫を継続すべき」と発言した。
 北朝鮮は軍事対抗政策に絶望的にすがりつき、「未曽有(みぞう)の対米対決戦に入った」と宣言、韓国に対して「対米追従を続ければ報復する」と威嚇(いかく)した。短距離ミサイルを発射するなど軍事演習へのけん制を繰り返し、一触即発の情勢である。

安倍が戦争の最大の元凶

 北朝鮮スターリン主義のこうしたあり方は、労働者階級の国際的団結への破壊・敵対であり、核開発で労働者階級を分断し、帝国主義との瀬戸際的な取り引きで体制延命を図ろうとする反革命だ。とりわけ韓国民主労総の4〜6月パククネ打倒のゼネストに真っ向から敵対している。また、北朝鮮国内で労働者人民を徹底的に抑圧している。これへの怒りは爆発寸前である。
 今や北朝鮮スターリン主義は後ろ盾であった中国スターリン主義からも見放されてきており、体制崩壊の危機が迫っている。それがもたらす東アジアの大激動に恐怖する米帝は、自らの主導で北朝鮮の政権転覆と朝鮮半島の制圧・占領を狙い、全面的な侵略戦争を構えている。この戦争は南北朝鮮の労働者人民への大虐殺になると同時に、対中国の全面激突に発展する、とてつもない世界戦争=第3次世界大戦の導火線となる。
 この情勢の中で、最も凶暴に戦争に突き進んでいるのが日帝・安倍政権だ。米帝と日帝は激しい争闘戦をはらみながら、これまでの延長ではない侵略戦争態勢づくりに突き進んでいる。集団的自衛権行使の7・1閣議決定を反映させるガイドラインの改定は重大だ。今回の改定は初めて日帝側が働きかけたものだ。
 97年に旧ガイドラインから改定された現行ガイドラインの背景には94年の朝鮮侵略戦争危機がある。この時、在日米軍は日本政府に対し「機雷掃海」「故障した米軍艦船の曳航(えいこう)」「民間空港の利用」など1千項目以上の米軍支援の要求を示した。だが日帝はそれに応える準備がなく、戦争態勢の立ち遅れが突き出された。
 単に法整備の問題だけではない。国鉄分割・民営化と総評解散―連合結成以降も、動労千葉を先頭に国鉄闘争が継続した。国鉄を始め労働運動を解体できないまま、国家をあげて戦争に突入することは不可能だった。
 97年改定で朝鮮侵略戦争の態勢を強化することが狙われた。「平時」「日本有事」「周辺事態」の3区分に分けて米軍と自衛隊の役割分担を決めた。「周辺事態」とは主として朝鮮有事を指す。米軍に対する日本の支援として「施設の使用」「後方地域支援」をあげ、領土外で自衛隊が支援行動を行うことが可能となった。また、日本全土の空港、港湾、交通、医療などを戦争態勢に組み込み、出撃基地・兵站(へいたん)基地化することを取り決めた。しかし「周辺事態」への対応に際しては、自衛隊は武力行使をせず、あくまで「後方地域支援」にとどまるとされた。

韓国ゼネストに応えよう

 今回の改定でこれを一変させようとしている。昨年10月8日に発表されたガイドライン見直しに関する中間報告では、「平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐ」としている。平時と有事の区別自体をなくし、日本への攻撃がない段階から「国の存立のための自衛の措置(=存立事態)」という内閣の判断ひとつで自衛隊が武力行使を行う。
 さらに「日本と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生し、......日本の武力の行使が許容される場合における日米両政府間の協力について詳述する」と明記した。「密接な関係にある国」とはアメリカだけを指すのではない。韓国への攻撃に対し、自衛隊が本格的武力行使を行う軍隊としてのり出すという決定的飛躍を行おうとしている。さらには、これまで地理的制約があった日米同盟の範囲を全地球に拡大しようとしている。
 だが、この朝鮮侵略戦争情勢は同時に巨大な革命情勢をも引き寄せている。戦争を阻止し、アジアの全労働者階級人民の未来を開く道は、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命にある。民主労総ゼネストに応え、日本の労働者階級がいかなる闘いをするのかが問われている。
 国鉄闘争を基軸に階級的労働運動と国際連帯の大発展をかちとろう。安保・戦争国会を粉砕しよう。
(芦原英信)

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