結審強行に怒り爆発させ市東さんの農地守りぬこう 反戦の砦=三里塚の勝利を

発行日:

週刊『前進』06頁(2673号05面02)(2015/03/16)


結審強行に怒り爆発させ市東さんの農地守りぬこう
 反戦の砦=三里塚の勝利を

(写真 3月4日、農地裁判控訴審の結審強行に反対同盟と労働者・農民・学生の怒りがたたきつけられた)

証人調べも切り捨てて突如審理を打ち切った

 3月4日に行われた農地裁判控訴審で東京高裁第19民事部の小林昭彦裁判長は、突然審理を打ち切り、裁判を結審させた。
 これは、事実上の〝一発結審〟に等しい暴挙である。法廷は今回で4回目を数えた。しかし貝阿彌裁判長のもとでの2回においては、弁護団が一審千葉地裁・多見谷判決の誤りを徹底的に明らかにした控訴理由書に対し、成田空港会社(NAA)や千葉県は「原判決の通り」と述べるだけで弁論から逃げ回った。小林裁判長に交代する更新手続きを行った前回法廷で、市東孝雄さんが2度めの意見陳述を行い、弁護団が追及した結果、昨年12月1日、NAAや千葉県はようやく「反論」を提出して実質審理が始まったのである。
 NAAは、耕作権裁判で重要証拠の偽造をめぐる文書提出命令に最後まで従わず、天神峰やぐら裁判でやぐら・看板の所有権誤認を認めた。農地裁判の核心にかかわる新たな展開が切り開かれている。この日の法廷では、この問題に関わる書面が出され、市東孝雄さんを始めとする証人の立証計画が提出された。審理はこれからであり、およそ打ち切る局面ではない。
 結審強行は、多見谷判決の違憲・違法にフタをし、NAAと千葉県を救済する不当な訴訟指揮であって、断じて認められない。
 裁判報告会で市東さんは、「この悔しさをバネに闘う」と闘志をあらわにして述べた。毎年毎年試行錯誤を重ねながら土をつくり、作物を育てる苦労と喜び。裁判で証拠として提出した畑の土には、どれほど市東さんの農民としての思いが込められているか、わかっているのか! 口先だけで「良い土ですね」と軽口をたたき、平然と審理を打ち切った小林裁判長の態度は、市東さんの気持ちを無造作に踏みにじるものだ。許せない。

耕作者の権利を否定し戦後農政解体狙う攻撃

 小林裁判長の結審強行は安倍政権の戦争政治と一体の攻撃だ。
 三里塚闘争は「反戦・反権力の砦(とりで)」として半世紀に及ぶ闘いを続けてきた。日帝国家権力は今や、戦争政治・改憲攻撃の前に正面から立ちふさがる国鉄労働運動と三里塚闘争を解体できないまま、安倍は中東侵略戦争参戦へと追い込まれている。朝鮮半島の戦争危機が激化する中で、5月には日米安保ガイドラインの改定が策動されている。自衛隊が米軍とともに東アジアと全世界にのり出す大攻撃だ。
 米軍の北朝鮮に対する軍事作戦計画「5027」で、1994年に米兵50万の出撃拠点とされた成田空港の位置は変わっていない。戦争下で空港が自由に使えない状態など、安倍にとってはあってはならないのだ。
 2月3日、安倍内閣は「交通政策基本計画」を閣議決定し、首都圏空港の機能強化をあらためて打ち出し、成田の24時間化と第3滑走路建設を進めようとしている。
 しかし、現実には成田の凋落(ちょうらく)は著しい。次々と羽田に国際線を奪われ、アジアの大空港に敗北し、LCC(格安航空)だけが頼みの綱だ。4月8日開業のLCCターミナルを大々的に宣伝し、新規就航の着陸料を無料にしてまで誘致をはかっているが、この夏から国内LCCのピーチ航空が羽田乗り入れを始めるなど、羽田傾斜の流れは止まらない。この間、台湾やインドネシアなどLCCの事故が相次ぎ、安全崩壊がはっきりしている。便数は増えても利益は上がらず、今や成田空港は、新自由主義破綻の象徴だ。
 さらに、結審攻撃は農業つぶし、TPP(環太平洋経済連携協定)締結攻撃と一体である。
 西川元農相の献金問題こそ、農業破壊の本質を表している。西川は12年の衆院選では、農水族として「TPP反対」を唱えていた。ところが、自民党・安倍が政権を奪い、西川がTPP対策委員長になるや賛成に一変し、国の補助金を受けた木材加工会社から300万円、精糖工業会から100万円を受け取ったのだ。農民をだまし、「補助金」を横取りする西川の姿こそ、安倍と新自由主義の正体だ。
 安倍は、「岩盤規制の撤廃」と言って成長戦略の柱に「農協解体」を据え、戦後農政を解体しようとしている。
 農地解放とともに戦後農政の出発点となった農地法は、2009年に改悪されて企業の農業参入に道を開き、今日の農業つぶし攻撃につながっている。「耕す者に権利あり」と闘い続ける市東さん農地裁判は、こうした戦後農政解体に抗して、農地法本来の精神を一身に体現した闘いだ。
 日帝支配階級の根底には、大恐慌とプロレタリア革命への恐怖がある。だからこそ中東参戦に突き進むと同時に治安弾圧を全面的に激化させ、日本階級闘争の一大拠点=三里塚闘争の解体に全力を挙げている。解体できなければ安倍が吹っ飛ぶという攻防である。

労働者・農民の連帯で安倍の戦争政治粉砕を

 闘いの方針はきわめて鮮明だ。結審強行の反革命攻撃に対して、3・29全国集会で、間髪を入れず反撃していくことである。階級的労働運動を闘う労働者と安保国会決戦の先頭に立つ学生の3・29大結集こそが最大の反撃だ。
 新たな闘いが開始されている。3月1日、動労水戸を軸にして「市東さんの農地を守る会・茨城」が結成された。労農連帯の発展をかけた挑戦が開始された。市東さんと団結して、全農民・労働者を獲得する時だ。
 全国農民会議はあらためて「三里塚闘争勝利・労農連帯で闘う」という方針を鮮明にし、労農同盟の形成へ向けて、全国的な組織拡大に立ち上がっている。
 戦争と改憲にのめり込み、福島切り捨て・原発再稼働や沖縄・辺野古新基地建設を強引に進める安倍に対する怒りは地に満ちている。成田の地でも新自由主義に対する人民の怒りの決起は不可避だ。
 3月14日のJRダイヤ改定で、成田線の東京―千葉―成田―佐原を走る特急「あやめ」は全面廃止になり、他の特急も減便になった。他の沿線自治体同様、成田市でも嵐のように反対の声や廃止決定の撤回を求める決議が上がり、JRへの怒りが噴き出している。医療特区のもとで進む金もうけの医療大学建設に対し、成田市による30億円の建設補助を差し止める住民訴訟も起こされた。
 新自由主義と闘う動労千葉と三里塚を軸に、空港内労働者と連帯し、周辺住民の怒りと結合した地域丸ごとの北総決起を実現しよう。68年2・26闘争をはじめ、三里塚闘争を先頭で闘い抜いた星野文昭同志奪還の決意も固く、栗山公園に集まろう。
 結審強行への怒りを3・29三里塚全国集会に総結集し、日帝・安倍政権打倒に攻め上ろう。3・11反原発福島行動―3・14JRダイ改阻止スト―3・15動労水戸支援共闘結成という大前進を引き継いで、3・29の爆発から4〜5月闘争へ進撃しよう。
 3月4日までに提出された2万3054筆の署名に続く3万人署名の圧倒的貫徹を軸に、署名運動の前進をかちとろう。茨城に続き、各地で市東さんの農地を守る労働者の闘いを組織しよう。
〔幸崎淳志〕

------------------------------------------------------------
三里塚裁判日程
 3月24日(火) 千葉地裁
 ◎団結街道裁判 午前10時30分開廷
 ◎天神峰やぐら裁判(判決)
          午前11時開廷
(同じ法廷で連続して開かれます。傍聴券抽選のために10時までに集合を)

このエントリーをはてなブックマークに追加