大破産のJRダイ改 首都圏全域で鉄道が大混乱 「上野東京ライン」開業が元凶だ

週刊『前進』08頁(2676号02面01)(2015/04/06)


大破産のJRダイ改
 首都圏全域で鉄道が大混乱
 「上野東京ライン」開業が元凶だ


 JRの3・14ダイヤ改定の矛盾と破産は明らかだ。3月30日の終日にわたる首都圏での鉄道網の大混乱は、3月ダイヤ改定によって引き起こされた。朝夕の通勤・通学ラッシュの時間帯に、列車の運休、遅延、ダイヤの乱れをとめどもなく拡大させたのは、宇都宮線、高崎線、常磐線を東海道線と直通させた上野東京ラインにほかならない。翌31日には、北陸新幹線の最速列車「かがやき」が、給水用のホースをつけたまま走行するという事態が起きた。その原因に、外注化と人員不足、強労働があることは間違いない。JRが3月ダイ改の最大の「セールスポイント」としてきた上野東京ラインと北陸新幹線で、まさにその破綻が突き出されたのだ。ダイ改の矛盾が今後さらに激しく表れてくることは避けられない。

ダイヤの乱れは終日続いた

 3月30日午前7時5分頃、横浜市鶴見区のJR京浜東北線・鶴見駅で、男性が電車にはねられ死亡した。JR東日本の発表によれば、この事故により京浜東北線の大宮―大船駅間と、隣接する東海道線の東京―熱海駅間で運転を見合わせたが、午前8時過ぎには運転を再開したという。だが、ダイヤの混乱は首都圏全域に広がり、午後になってもそれは続いた。
 上野東京ラインを通じての宇都宮線、高崎線と東海道線の直通運転は中止され、宇都宮線、高崎線は上野で折り返し、東海道線は東京で折り返した。上野東京ラインに乗り入れたのは、特急などの常磐線の一部の列車に限られた。
 湘南新宿ラインを通じての横須賀線と宇都宮線の直通運転や、横須賀線と総武快速線、京浜東北線と横浜線、埼京―川越線とりんかい線の直通運転も一時中止された。
 ダイヤの乱れは京浜東北線、山手線、宇都宮線、高崎線、常磐線、東海道線、横浜線、伊東線、総武快速線、総武線各駅停車、横須賀線、埼京線、川越線、成田線、内房線、外房線にまで広がった。JR線とつながっているりんかい線、伊豆急行線もその影響を受けた。
 JRの乗客を振替輸送した私鉄も大混雑し、京急本線、同空港線、同逗子線、同久里浜線や地下鉄都営浅草線、京成押上線、北総鉄道北総線でもダイヤが乱れた。
 さらに、同日午後7時19分頃、京浜東北線の大森―蒲田駅間で人身事故が発生し、再び朝と同様の事態となった。
 結局この日、上野東京ラインを通じての宇都宮線、高崎線と東海道線の直通運転は、終日にわたり行われなかった。

出区点検もせず列車動かすJR

 朝夕のラッシュ時を直撃した首都圏全域にわたるダイヤ混乱は、上野東京ラインによって引き起こされた。
 上野―東京間には2本の線路しかなく、そこに宇都宮線、高崎線、常磐線の上下6本の列車が集中する。どこかでダイヤが乱れれば、それがとめどなく波及することは明らかだった。また、上野から東京に向かう列車は、神田駅付近の二層高架区間に登る急勾配では停車できず、前の列車が東京駅を出発するまでは上野駅かその手前で待たなければならない。上野駅構内には、北行きの常磐線と南行きの宇都宮線・高崎線が平面で交差する箇所が二つもある。これもダイヤの混乱に拍車をかける。
 上野東京ラインは開業当日の3月14日にもダイヤ混乱を起こしている。これは、品川駅構内で京浜東北線の線路点検が行われたことで隣接する東海道線のダイヤが乱れ、それが宇都宮線、高崎線、常磐線に影響したものだ。どこかでダイヤが乱れれば、上野東京ラインはそれを多方面に波及させてしまうのだ。
 そもそもJRは、3月ダイ改前からダイヤ混乱を収束させる能力を失っていた。それは、全業務に及ぶ外注化がもたらしたものだ。それに加えてJRは、矛盾の上に矛盾を重ねて上野東京ラインを開業させたのだ。2005年4月25日のJR西日本の尼崎事故のような大惨事がいつ起きてもおかしくないのが、JR東日本の現状だ。
 3月ダイ改後、JRは車両の検査・修繕もまともにできなくなっている。高崎車両センター籠原派出では、ダイ改後、出区点検もせずに列車を出し、そのまま本線を走らせることがしばしば起きているという。出区点検とは、運転士が列車の周りを一周し、床下機器などを目視点検することだ。そのためには25分ほどの時間を要するが、JRは経費と人員を減らすため、出区点検をしなくていいと指示している。まさに安全を根本から破壊する行為だ。

北陸新幹線も運行ストップ

 31日には、北陸新幹線の金沢発東京行き「かがやき532号」が、車両の洗面所に給水するためのホースをつけたまま、午後5時9分に金沢駅を発車するという事故が起きた。
 「床下から異音がする」という乗客の報告を車掌が受け、列車は車両確認のため糸魚川―上越妙高駅間で停止、午後5時47分頃から6時19分までの約30分間、北陸新幹線は富山―長野駅間の上下線で運転を中止した。金沢駅構内と、金沢駅から富山方向に1㌔ほど離れた線路上に、切れた状態の給水ホースが落ちていたという。
 この事故も、JR西日本による業務の外注化と非正規職化が原因だ。必要な人員を配置せず、まともな教育訓練もせずに、時間に追われ肉体的にもきつい労働を強いるJRと外注会社のやり口が、事故を引き起こしたことは間違いない。事故の責任の一切はJRにある。北陸新幹線開業は、労働者、とりわけ車両清掃の労働者に矛盾を押し付けて強行されたのだ。
 JR東日本の清掃労働者の状態もまったく同じだ。上野東京ラインにより東京駅での車両清掃作業がなくなった分、籠原や小田原での作業量は格段に増えた。だが、JRと外注会社は人員を増やそうとせず、非正規労働者に低賃金と過酷な労働を強いている。
 しかもその小田原で、外注会社「東日本環境アクセス」は、動労神奈川を結成した青年労働者を4月末で雇い止め解雇しようとしてきたのだ。動労神奈川は3月26〜27日、24時間ストライキに立ち上がり、この攻撃を粉砕した。大勝利だ。
 JRダイ改は破産をさらけ出した。乗客と乗員の命を危険にさらして利潤追求に走るJRを絶対に許すな。JR東日本社長の冨田哲郎は、「安全は守るものではない。つくるもの」と言って全責任を現場労働者に押し付けている。反合・運転保安闘争を巻き起こしてJRに反撃しよう。動労総連合を全国に建設し、全面外注化と労組解体の第2の分割・民営化攻撃を打ち砕こう。
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