三里塚一坪裁判 〝土地強奪訴訟許さぬ〟 更新意見で県を徹底批判

発行日:

週刊『前進』06頁(2679号05面03)(2015/04/27)


三里塚一坪裁判
 〝土地強奪訴訟許さぬ〟
 更新意見で県を徹底批判


 4月16日、千葉地裁民事第5部(松並重雄裁判長)で、一坪共有地裁判が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、勝利の気概に燃えて闘った。
 今回は、右陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、冒頭に弁護団が意見陳述を行った。
 この裁判は、千葉県が成田空港4千㍍滑走路北端近くにある駒井野の一坪共有地を、土地の共有者である故鈴木幸司さん、いとさん夫妻に明け渡すよう求めて06年に提訴したものだ。
 千葉県企業庁は「新産業三角構想」による「成田国際物流複合基地計画」の一環として、この一坪共有地を強奪し、一帯の土地を造成し成田空港会社(NAA)に譲渡(じょうと)するという。
 だがそんな大げさな事業計画は、提訴から9年たって、根本から破綻している。膨大な債務が残り、県企業庁は今年で解散と決まっている。県側はその事実を再三指摘されながら現状説明すら行わず、一坪共有地強奪の裁判を続けているのだ。
 そして、この一坪共有地は、空港反対運動の中でつくられた「三里塚に土地を持つ会」の組合所有であり、共有者個人から買収することはできないものだ。ましてや、金銭補償の形をとって共有権を強引に奪う「全面的価格賠償方式」の適用は、違法・無効だ。
 千葉県はこれまで空港建設の促進者となって、天神峰・市東孝雄さんへの農地強奪攻撃に加担してきた。また千葉地裁を始め裁判所も、空港に肩入れし著しく不公平な裁判を行ってきた。このような「国策裁判」を許さない。裁判所は本件訴訟を却下せよ。
 以上のような弁護団の強く鋭い批判に満ちた陳述に、県の代理人弁護士たちは首をうなだれて沈黙するばかりだ。
 さらに弁護団は、学者、県企業庁、NAA幹部など7人の証人の採用を強く要求し、尋問事項書を提出した。
 次回期日を6月18日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で、報告集会が開かれた。
 葉山岳夫弁護士を始め弁護団がこの裁判の重要ポイントを解説し、特に、破綻した事業のために、全面的価格賠償方式という例外的な方法(民法に規定がない)で共有地を奪おうとする卑劣なやり口を断罪した。
 さらに弁護団から、重要な事実が報告された。東京高裁の市東さん農地裁判控訴審で右陪席裁判官だった定塚(じょうづか)誠が、4月10日に法務省訟務局(しょうむきょく)の局長に就いたことだ。
 訟務局は国がかかわる裁判への対処を行う機関。要するに、法務省に属する検事・裁判官の出身者を国の代理人=「国側の弁護士」としてあてがうということだ。訟務局は01年の省庁再編で廃止されていたが、原発差し止め、基地被害などの訴訟が近年激増したため、今年14年ぶりに復活した。定塚はそのトップとして、住民の訴えを退け、押しつぶし、国策を推進する任についた。そういう人物が3月まで農地裁判控訴審の裁判官席に座り、小林裁判長とともに結審を強行したということだ。
 まさに三里塚闘争は国家権力中枢と対決し、国策攻撃との最前線に位置しているのだ。新聞記者からも、この点に熱心な質問が集中した。
 そして弁護団はあらためて、複数の三里塚裁判はどれ一つおろそかにできない闘いであり、勝利のために傍聴・支援が欠かせないことを訴えた。特に、3年近い中断を経て6月15日に再開される市東さん耕作権裁判(千葉地裁民事第2部)の重要性が強調された。
 最後に、動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立った。「航空機事故の多発、JR山手線の事故などの根本にあるのは、外注化による指揮命令系統、連絡網の大混乱ということではないか。今日は韓国セウォル号事故の1周年。新自由主義の破綻は全世界的に明らかだ。民主労総はパククネ政権打倒のゼネストへと進んでいる。動労千葉も全力で闘う」
 集会後、反対同盟と支援連は千葉市繁華街に繰り出し、動労千葉、県内の労働者も加わって、農地取り上げ反対3万人署名と裁判員制度反対の情宣活動を行い、安倍政権打倒を訴えた。

------------------------------------------------------------
三里塚裁判日程

新やぐら裁判
 5月11日(月)午前10時30分開廷 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため30分前に集合)

このエントリーをはてなブックマークに追加