アメリカ ILWU メーデーで港湾を封鎖 警察による黒人虐殺を弾劾

週刊『前進』06頁(2681号02面03)(2015/05/18)


アメリカ ILWU
 メーデーで港湾を封鎖
 警察による黒人虐殺を弾劾

(写真 ゼネストを訴え、オークランド港を封鎖しメーデーデモ)

〝労働者の力は生産点にある〟

 5月1日、ILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)は、オークランド港の荷役を完全に止めた。米東海岸の港湾労組ILA(国際港湾労組)ローカル1422の3人の組合員の親族であるウォルター・スコット氏が4月4日に警察に虐殺されたことを弾劾し遺族やILAの仲間と連帯するための闘いだ。
 昨年8月6日のミズーリ州ファーガソンでの警察による虐殺への弾劾闘争を機に、警察の暴行・殺害との大規模な闘いが全米各地に広がったが、当局は労働者居住地域に、米軍装備をそのまま流用した装甲車・自動小銃などで重武装した警察機動隊や州兵を差し向けた。殺害した警官は、ことごとく不起訴・放免した。全米で警官の殺害事件はますます増加し、今年に入ってから1日あたり3件になっている。
 このような警官による虐殺の激増と凶暴な居直りは、最末期の危機にあえぐ帝国主義支配階級の極限的凶暴化を示している。
 これに対して、ILWUのランク&ファイル(現場労働者)運動は〝労働者階級の力は生産点にある〟という思想に基づいて討論を組織し、ローカル10執行委員会の満場一致の港湾封鎖決議をかちとった。
 これにオークランド教組、SEIUローカル1021(サービス従業員労組第1021支部、サンフランシスコ市職や病院関係などを組織)、UAWローカル2865(全米自動車労組第2865支部、カリフォルニア大学の大学院生・講師を組織)なども組織賛同し、オキュパイ・オークランド運動なども加わって、メーデー当日には数千人の埠頭集会、市役所前広場までのデモとなった。集会、デモでは、「ゼネストを!」の発言とコールが行われた。

警官のボディーカメラ着用粉砕

 このような労働組合の職場での決起を基礎にした闘いが当局を追い詰めスコット氏を殺害した警官は逮捕された。そして、この間の殺害事件では初めて起訴され重罪に問われることとなった。
 だが、この殺害警官の所属警察署を管轄するノースチャールストン市の市長は、一部の体制内「警察暴行反対運動」の要求を取り入れるとして、「警察の職務遂行を透明化するために全警官にボディーカメラを着用させる」ことを打ち出した。これが警官の暴行を防止するというのだ。大統領選への出馬を表明しているヒラリー・クリントンらもこれを支持し、選挙公約にしている。
 しかし、これは警官の行動を記録するためのものではまったくない。記録の対象は労働者人民の行動であり、監視社会化を徹底するものだ。
 ランク&ファイルの「ゼネストを!」の声は、こうした策動を根底から粉砕し、労働者階級と警察・支配階級の非和解的な闘い――革命以外にこの問題の解決はないことを示している。
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