常磐線・竜田以北の現状 動労水戸の現地調査報告

週刊『前進』06頁(2688号02面04)(2015/07/06)


常磐線・竜田以北の現状
 動労水戸の現地調査報告


 JRが全線開通を狙う常磐線・竜田駅以北の現地調査の報告が、動労水戸副委員長で平支部所属の国分勝之さんから寄せられました。全線開通阻止へ闘おう。(編集局)
  ◇   ◇
 6月18日、常磐線竜田以北の現地調査に行ってきました。私と高野安雄副委員長は、まず常磐線のいわき発10時51分竜田行き列車に乗車。広野駅では40人くらいが降車しましたが、次の木戸駅では下車1人、竜田駅まで乗車していたのは私たちのほかは8人でした。竜田駅で西納岳史書記の車と合流し、カメラと線量計を装備、N95のマスクを着用して出発しました。竜田駅前の線量は0・24㍃シーベルト毎時でした。(以下、放射線量の単位はすべて㍃シーベルト毎時)

(写真 ①竜田駅の北側)
〈写真①〉竜田駅から北側はまだ何も手がつけられていない様子。線路上が0・35、草むらに入ると0・58もある。

(写真 ②楢葉町役場と食堂)
〈写真②〉竜田駅は楢葉町にあるが、その楢葉町役場は国道6号沿いにある。その前にプレハブの食堂ができていた。役場の職員組合に動労千葉物販をもってあいさつ。役場前の線量は0・1。ここだけは「低い」。

(写真 ③放射性物質減容化施設)
〈写真③〉楢葉町と富岡町の間には鉄道の金山トンネルがある。トンネルを富岡側に抜けるとすぐに福島第二原発だ。その海岸線の並びにある放射性物質の減容化施設が目に飛び込んできた。手前の田んぼと施設の境目が常磐線。富岡の手前にある農協営農センターの高台の地点で線量は一気に0・73に跳ね上がる。

(写真 ④ホームだけの富岡駅)
〈写真④〉津波で破壊された富岡駅舎は撤去され、ホームだけが残っている。駅の海側には広大なフレコンパックの山。直径1・5㍍ほどのパックが5段積みになっている。右側に白く見える減容化施設でこれらを粉砕して量を減らすという。富岡町では一時帰宅が行われており、午後3時で滞在時間は終了することを伝える町内放送が聞こえてきた。避難区域解除に向けて準備が進められているようだ。駅前を見渡すこの高台の線量は、この日初めて1・0を超え1・36を計測した。

(写真 ⑤国道6号走行中の車内)
〈写真⑤〉富岡町から国道6号線を北上する。検問も何もなく誰でも入れる。富岡から大熊町、双葉町と進む。福島第一原発まで2・5㌔くらいか。アラームが鳴りっぱなしだった線量計の値が急にけた違いに。車内で最高は8・3だった。

(写真 ⑥浪江町の街の入口)
〈写真⑥〉双葉町の北は浪江町。住民の一時帰宅はできるが、街の入口にはバリケードがある。線量は0・4ほど。

(写真 ⑦常磐線・小高駅構内)
〈写真⑦〉JRが来年春までに開通予定としている小高駅構内。浪江町から北上して市境をこえると南相馬市。駅は南から浪江―桃内―小高の順で、桃内以北は居住制限はないが、小高でも住んでいるように見える家はまばら。常磐線の開通区間は今は原ノ町までだがそれを原ノ町―磐城太田―小高と南下させようとしている。線路工事は小高駅までバラスト交換や駅の除染が進んでいた。

(写真 ⑧常磐道・大熊町付近)
〈写真⑧〉帰りは常磐自動車道の浪江インターから高速に上がり、南下した。国道6号線よりははるかに山の方を通っているが、大熊町付近では5・1。 高速道路でもきっちり放射線の洗礼を受ける。しかもこんなところで路肩に停まっている車があった。マスクもせず無防備だ。
  ◇   ◇
 放射線は見えない。一見すると何でもないように見えて、実はまだすさまじい高線量であることをあらためて認識した。国道6号線や常磐道などは一般車が普通に通行しているが、やはりやってはならない、鉄道も通すなどもってのほかと思った。道路や鉄道の開通は「復旧」などではなく、住んではいけないところへの帰還強制になるということだ。帰還強制は復興ではなく切り捨てだ。絶対反対で闘おう!

このエントリーをはてなブックマークに追加