知る・考える 用語解説 アジア・太平洋戦争/緊縮策

週刊『前進』10頁(2692号05面03)(2015/08/03)


知る・考える 用語解説
 アジア・太平洋戦争/緊縮策

アジア・太平洋戦争-「自衛」の名で侵略戦争15年

 1931年9月に始まる中国侵略戦争から45年8月の敗戦に至るまで、足かけ15年にわたって日本帝国主義が行った一連の戦争。それは日帝によるアジアへの侵略戦争であり、アジア・太平洋地域の市場・資源・勢力圏をめぐる米英との帝国主義間戦争―世界戦争へと発展した。
 29年大恐慌で世界経済が分裂を深める中、日帝は中国大陸の膨大な資源・市場の強奪を狙って侵略戦争に乗り出し、日帝のかいらい国家=「満州国」を中国東北部にデッチあげた(満州事変)。これに抵抗した中国人民を、日本軍は「匪賊(ひぞく)討伐」と称して徹底的に弾圧・虐殺したが、これは現在の「対テロ戦争」と同じである。さらに日帝は「帝国の自存自衛」「東洋平和の確立」を掲げて中国全土へ戦争を拡大し、また戦争継続のための資源確保を目的に東南アジアを侵略、米英との戦争へ突き進んだ。
 戦争末期、天皇と軍部は敗戦必至と知りながら自らの延命のために戦争を継続した。その間に沖縄戦や米軍による全国200カ所以上の空襲があり、また広島・長崎への原爆投下が強行された。
 戦争を通じて天皇や財閥を中心とする資本家が莫大な利益をあげる一方、2千万人ものアジア人民が虐殺された。日本の人民も310万人が命を奪われ、戦時体制下で塗炭の苦しみを負わされた。

緊縮策-財政危機を振りかざし強奪

 国家財政危機を振りかざしてかけられる労働者人民に対する強奪政策のこと。
「財政赤字が拡大し債務不履行(デフォルト)が迫っている」として、国家と資本の延命のために、「財政の無駄排除」を掲げて生きる糧(かて)すら奪おうとする。大恐慌下の資本救済政策が生んだ財政危機を逆手に取った攻撃である。
 公務員の大量解雇と大幅賃下げ、公共部門の全面民営化と総非正規職化、公務員労組の破壊と公的資産・施設・土地の売却を進め、大増税と年金削減、医療・介護、福祉など社会保障と地方の切り捨てを強行しようとする。これまで労働者階級がかちとってきた権利や、労働を通して得た日々の生活と老後、子どもたちのためのわずかな蓄え、社会的資産のすべてを奪い取ることを狙う。
 歴史的にも、帝国主義の危機が恐慌と戦争として爆発するときに、巨額の戦費調達、労組破壊と一体で行われてきた。
 今日、大恐慌と財政危機の爆発の中で各国政府が緊縮政策を進めて既成政党と体制内労組幹部が協力し、労働者人民との非和解的激突が巻き起こっている。ギリシャの労働者は「借金は自分たちがしたのではない」として、EU帝国主義と国際金融資本による債務取り立てのための緊縮策を「社会的な虐殺行為」として反対し、ストライキで闘いぬいている。
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