星野ビデオ国賠 上告理由書を提出 高裁不当判決を打ち砕け

週刊『前進』10頁(2692号06面03)(2015/08/03)


星野ビデオ国賠
 上告理由書を提出
 高裁不当判決を打ち砕け

 7月30日、星野文昭同志と再審弁護団は、証拠へのアクセス権を否定したビデオ国賠控訴審の不当判決に対する上告理由書を最高裁に提出した。
 戦争法案の衆院強行採決で人民の根底的怒りに火をつけた安倍政権もろとも、東京高裁第12民事部・奥田正昭裁判長の反動判決を徹底的に弾劾し、粉砕し尽くそう。
 昨年9月9日、東京地裁は、星野同志には再審請求人としてビデオテープを利用する権利(期待権)があることを認める判決を出した。ビデオテープの「紛失」(証拠隠滅だ)は、これを保管委託した裁判所職員と、保管受諾した警視庁公安総務課長の違法な職務行為による権利の侵害であると認め、各自20万円の支払いを命じたのである。
 ところが奥田裁判長は、本件ビデオテープの保管機関である裁判所職員または保管委託された警視庁公安総務課長が、再審請求の審理においてビデオテープが重要な証拠であることを知り、あるいは容易にこれを予見することができた場合に限って星野同志にビデオテープを利用する権利があるという、とんでもない屁理屈(へりくつ)を持ち出した。
 こんなことは、被告である国も東京都も主張していない。その上で、裁判所職員も公安総務課長も重要な証拠だと予見できなかったから、星野同志にはビデオテープを利用する権利はなく、裁判所職員も公安総務課長も「紛失」の責任を問われない、として逆転敗訴を宣告した。
 ふざけるな! こんなでたらめな判決が許せるか。無実で獄中40年、星野同志には無実を晴らすために一切の証拠を見る権利がある。あまりにも当然の権利だ。
 奥田裁判長もさすがに、最高裁白鳥決定が認めた新旧証拠の総合評価説までは否定することができなかった。総合評価のためには、すべての証拠を適切に、かつ厳密に保管しなければならない。大事な証拠と思わなかったら杜撰(ずさん)に扱って「紛失」しても責任を問われないという奥田裁判長の論理は、絶対に成り立たない。
 そもそも、証拠が将来どのような価値・意味合いを持ってくるかは、誰も分からない。再審無罪をかちとった冤罪(えんざい)事件で、かつては重要と思われなかった証拠が決定的な証拠となっている。
 奥田裁判長は、最高裁・寺田体制の先兵として、星野ビデオ国賠に送り込まれた。一審勝利判決を取り消し、逆転敗訴とすることを目的にして、法廷に臨んだのだ。 改憲と戦争に突進する安倍政権への全人民的怒りの爆発と一体のものとして闘い、最高裁・寺田体制の先兵・奥田判決を打ち砕こう。
 9・6徳島刑務所包囲デモに総力決起し、無実の星野文昭同志を階級の力で絶対に取り戻そう。

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ビデオ国賠 無実の星野文昭同志は、1971年11月14日、沖縄返還協定批准阻止闘争をデモ隊のリーダーとして闘った。星野同志は、①機動隊員を鉄パイプで殴打し、②火炎ビンを投げるよう指示したとして、無期懲役刑を受けた。
 当日のテレビニュースのビデオ録画が、一審裁判で証拠調べされた直後、裁判所はビデオテープを刑事訴訟法に反して警視庁公安部に保管委託した。しかし、これを警視庁公安部は「紛失」したのだ。ビデオテープには、殴打現場を通過するデモ隊が撮影されており、星野同志の無実を証明する重要な証拠である。
 これは裁判所と警視庁公安部による「証拠隠滅」だ。ビデオ国賠はこれを徹底的に弾劾する裁判として闘われている。

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