8・23集会 動労千葉・田中康宏委員長の提起 外注化・非正規職化粉砕へ闘い続ける 国鉄闘争で社会変えよう すべての怒り結集し11月へ

週刊『前進』06頁(2695号02面01)(2015/08/31)


8・23集会 動労千葉・田中康宏委員長の提起
 外注化・非正規職化粉砕へ闘い続ける
 国鉄闘争で社会変えよう
 すべての怒り結集し11月へ


 8月23日に東京の星陵会館で開かれた「闘いはこれからだ!上告棄却弾劾!8・23報告・決起集会」と、午前中に行われた11・1全国労働者総決起集会第1回実行委員会での、動労千葉の田中康宏委員長の提起の要旨を紹介します。この提起を実践に移し、9月の国会・国鉄決戦を闘いぬき、11月労働者集会に攻め上りましょう。(編集局)

採用差別は明確な不当労働行為と最高裁に認定させた

 国鉄分割・民営化から30年間闘い続けてきた1047名解雇撤回闘争で最高裁が上告棄却の決定を出しました。私たちは裁判所・国家権力の判断にすべてをゆだねる考え方はありません。しかし、闘いは大きな節目を迎えました。動労千葉は新しい決意を固め、ともに闘ってきた仲間と決意をひとつにしてこの時代に立ち向かいたい。
 闘いはこれからです。闘いの旗をもっと高く掲げ続けることを決意したいと思います。
 上告棄却決定は、この時代に国鉄闘争はこれ以上絶対続けさせないという国家権力の意思の表れです。「オープンスペース街(まち)」の仲間たちに大変な弾圧がありました。闘いの拠点をつぶしていくことが戦争への道だと思います。最高裁決定にはそういう意図が働いています。
 だけど、この決定で確定されたことは何か。国鉄闘争は何に立ち向かい、何を切り開いてきたのかを確認したいと思います。それは、採用差別が明確な不当労働行為であったと最高裁が確定せざるを得なかったということです。最高裁の決定は法律に等しい効力を持ちます。国鉄分割・民営化が国家的な不当労働行為であったことが、いわば「法律」になったということです。
 確定した東京高裁の判決文を思い起こしてほしい。誰を採用するかという基準は、分割・民営化に反対している労働組合に所属していることをもって不当に差別し不利益に取り扱う動機、目的(不当労働行為意思)によって作られた。ここまで明確に不当労働行為を認定させました。結果として不当労働行為があったというだけでなく、分割・民営化の根幹にあたる新規採用の名簿策定そのものが不当労働行為だということです。
 ここまで言いながら解雇を撤回しなかった。絶対に許しません。
 だけど、中曽根を始め政府・自民党が労働運動をたたきつぶして憲法を改悪して戦争に突き進もうと画策した国鉄分割・民営化が不当労働行為だったと、ついに確定させたことは闘いの新しい根拠、出発点になります。
 現実に目の前で起きていることを考えてみると、国鉄闘争とは何だったかが明確になります。
 国鉄闘争は単に国鉄労働者の解雇との闘いというだけではありませんでした。

JRに採用手続きやり直させ30年の闘いに決着つける

 労働運動をたたきつぶし、憲法改悪と戦争に突き進む、国鉄改革法と労働者派遣法の制定などを通して労働者の権利、団結を破壊し非正規職に突き落とす攻撃に立ち向かってきました。
 今、国会でやっていることは中曽根が国鉄分割・民営化を通してやろうとしてきたことです。戦争法案を制定して、政府、資本家どもが生き残るために戦争に打って出ようとしています。彼らは分割・民営化に3年か5年で決着をつけて改憲・戦争に突き進もうとしました。だけどこれを少なくとも30年、僕らの闘いが遅らせました。
 僕らの闘いの周りにこんな現実、労働運動のこんな現状は許してはいけないという無数の大きな力が結集してきたことが、切り開いた決定的な地平です。
 国鉄闘争は、すべての労働者を非正規職に突き落とす攻撃にも立ち向かってきました。国会では派遣法の抜本的改悪、労働時間規制の解体に始まり、国家戦略特区、国民年金も国民健康保険も医療も教育など何もかもを民営化して競争にたたき込もうとしています。この30年間、競争こそが価値を生むと言ってこれらを破壊してきました。こうした攻撃が行き着いた末は社会全体の崩壊、半分の地方自治体が消滅の危機にある、人間が人間として生きていくことができない社会の現実です。
 国鉄分割・民営化が不当労働行為であったなら、今、起きていること、進んでいることは全部間違いだということです。これに決着をつける責任が私たち国鉄労働者にはあります。
 解雇撤回闘争もこれからが闘いの始まりです。不当労働行為と認定したなら原職に戻せとJR東日本に申し入れを出すつもりです。最高裁が不当労働行為を認定した、しかもそこには相当程度において採用されていた可能性がある、と書かれている。採用手続きをさかのぼってやり直せと申し入れます。新しい解雇撤回闘争の始まりです。すべてがこれからです。

JRの職場で進む安全崩壊

 JRの職場では目を覆うような安全の崩壊が進行しています。北海道だけでなく、東日本でも事故が多発しています。分割・民営化とその後の外注化と労働者の非正規職化の結果、安全が崩壊しています。今年3月のダイ改からローカル線の全面的な線路はがし、廃線化まで始まっています。

UAゼンセン先兵に労組産報化狙う攻撃と立ち向かう

 第2の分割・民営化攻撃粉砕の旗をもっと高く掲げ、とくに外注化・非正規職化粉砕に向けて闘い続ける決意を上告棄却にあたって固めたいと思います。
 鉄道業務のすべてを別会社にして、労働者ごとたたき落とす。それが第2の分割・民営化です。総非正規職化、社会丸ごと民営化をJRをモデルにすることを通して全社会に貫徹しようとしています。国鉄分割・民営化のときと同じです。
 さらに今、総評解散・連合結成に次ぐ労働運動の再編が進められています。安倍とUAゼンセン会長の逢見直人(おうみなおと)との極秘会談を見てください。UAゼンセンは改憲を叫んで徴兵制まで賛成している労働組合です。こういうものが育成されて日本最大の労働組合になり、それを先兵に連合を分裂させようという議論が始まっています。
 日本の歴史の中で労働運動が再編されたことは過去に3回しかありません。産業報国会、総評の結成、分割・民営化を経た総評の解散と連合結成です。初めの2回は戦争にかかわっています。三つめは労働運動に対する全面戦争の宣戦布告でした。権力の側が今の連合すら認めないで戦争推進勢力、つまり産業報国会にしようとしています。これとぶつかって粉砕することが僕らの任務・課題です。
 労働運動を絶対につぶさせない、今それが闘われています。闘いはこれからだという一番の根拠はここです。

動労総連合を全国にと決断

 この夏、明らかに時代は変わったと思います。最後の留め金をはずしたのは、安倍政権の戦争法案の国会提出です。
 その背景にはもう社会の崩壊の中で生きていくことができない現実があります。貧困、格差への怒りの声、あるいは原発政策への怒りの声と、戦争に対する怒りの声、政府がやっていることの本質に気がつき始め、怒りの声が後戻りができない形で噴き出しています。
 この時に必要なのは、国鉄闘争30年の闘いが貫いてきたものです。だから僕らはこの上に動労総連合を全国につくろうと決断しました。
 それはなぜか。国鉄闘争30年の歴史の意味は画期的だと思ったからです。日本の労働運動の歴史の中にこういう闘いはありません。戦後70年の歴史の半分が右も左も国家権力も資本も分割・民営化という問題にかかわらざるを得ない歴史でした。社会を変えていくためには国鉄闘争が先頭に立つことが絶対に必要だと確信しています。

強制出向から3年を前にストライキを構えて闘いぬく

 JRの職場では数百、数千の下請け会社に業務をバラバラにして外注化をしていく攻撃が吹き荒れています。3年前、十数年間止めてきた検修・構内業務の外注化が強行されました。出向期間は3年です。彼らは3年間のうちに下請け会社で業務が全部できる体制を整えたかったのでしょう。でもそんなことはできていません。10月1日に強制出向から3年を迎えます。ストライキを構えて闘いぬく決意です。
 それは、単に僕らだけの問題ではないからです。これからすべてが外注化され、非正規職化されようとしています。下請け会社の大再編が始まっています。下請け会社は東日本だけでも1千社あります。労働条件が全部解体され、転籍が強制され、賃金が下げられる。請負会社をもっと下まで突き落としておかないと、全部上から外注化して労働者を突き落とすことができないからです。
 これからの闘いの一番大きな柱になるのは、外注化・非正規職化粉砕の闘いです。9月11日の強制出向反対・外注化反対の裁判闘争に多くの結集をお願いします。

戦争法案粉砕し安倍打倒を

 職場からの闘いと結合して安倍政権の戦争法案を止めるために、全力で決起することを訴えます。労働者の誇りにかけた闘いです。8月30日に国会前10万、全国で100万人規模の闘いが巻き起ころうとしています。全力で立ち上がりましょう。

11月労働者集会へこれまでのあり方一変させて勝負を

 今年の11・1労働者集会は、これからの日本の労働運動をどうするのか、可能性に満ちあふれた集会です。可能性を具体的な姿にできるかどうかが時代の中で試されています。勝負をかけるつもりでともに闘っていただきたい。
 11月集会の課題は第一に、時代が大きく動き始めた渦中での11月集会だということです。
 大変な反動とそれに対するものすごい怒りの声と立ち上がりが激しくぶつかりながら時代が動き始めました。
 国会前の10万の怒りは本質的にはすでに60年安保闘争を超えています。資本主義の最後の姿の中で、生きていくことができないと立ち上がり始めています。戦争、労働者の置かれたひどい現実、安倍の成長戦略、アベノミクス、すべてが労働者を侮辱しています。冗談じゃない。このような情勢の中での集会です。
 原発をめぐる状況も、福島を見殺しにして資本家だけが生き延びるというやり方に対し、怒りの声が噴出するのはこれからです。
 だから、課題は明確です。われわれがこの怒りの声と結びつくことができるかどうかという挑戦です。今、立ち上がり始めたことの中に欠けているものがあります。闘う労働組合の旗です。これが中心に立つこと、僕らがそういう存在になるという挑戦です。
 また、3労組で11月集会を始めて18年目になります。今年の11月集会は、18年間の蓄積と、僕らが時代に立ち向かってきた大きな地平の上で、階級的労働運動再生への出発点であり、第1回目の11月集会として構えることが必要です。これまでの延長線上の発想を断ち切る強い決意を固めて職場、地域から闘いを始めましょう。
 11月集会の課題は第二に、最高裁の6・30上告棄却決定を受けた集会です。11月集会が始まったのは、1998年5月28日の国鉄闘争に対する判決からです。あれだけの不当労働行為、戦後最大の労働運動解体攻撃をやっておきながらJRには法的責任はないという判決でした。
 これに対してこんなことを許したら労働者の権利・団結はつぶされると危機感を持ち、ともに立ち上がってくれたのが関西生コン支部と港合同の仲間たちでした。それから18年間、立派に共闘を育て上げてきました。
 その地平が、6・30上告棄却で国鉄分割・民営化は国家的な不当労働行為だったと最高裁に確定させました。国鉄改革法を事実上打ち破りました。これは新しい闘いの根拠です。ここから出発する11月集会にしたい。
 11月集会は最高裁が何と言おうが国鉄闘争の本当の勝負はこれからだ、ストライキで解雇撤回を実現するまで闘い続けると内外に高らかに宣言する場です。これは日本の労働運動の歴史の中で新しい1ページを絶対に開きます。

国際連帯の本格的発展へ

 11月労働者集会の課題は第三に、国際連帯闘争をさらに本格的に発展させることです。
 この6月、韓国の全国鉄道労組ソウル地方本部と動労千葉が「民営化と闘う日韓鉄道労働者の共同声明」を出しました。この声明は、たとえどんなに小さくても、何らかの形で全世界の仲間たちに発信すれば力あるものにたちまち化けるかもしれないと、お互いに議論して出したものです。大事なことは、僕らがもう一つ力をもつことです。
 夏秋に向けて、国会では戦争法を強行する動きが9月の上中旬に強まると思います。この怒りとともに闘って11月集会への結集を訴えましょう。
 われわれ自身がこれまでのあり方を一変させる取り組みが大事です。2カ月間、職場、地域でわれわれの力で情勢を動かす。職場でのあり方、労組オルグ、宣伝などすべてを変えることが求められています。自分が主催者だという立場に立って、無数の訴えやビラ、職場、地域の実行委員会や産別、単組、青年の実行委員会などあらゆる力を結集しましょう。

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動労総連合強制出向無効確認訴訟
 9月11日(金)午前11時
 東京地裁527号法廷

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