核燃再処理の国家管理許すな 核武装―核戦争狙う安倍 ストで闘って阻止しよう

週刊『前進』06頁(2699号04面03)(2015/09/28)


核燃再処理の国家管理許すな
 核武装―核戦争狙う安倍
 ストで闘って阻止しよう


 経済産業省は8月31日、核燃料サイクルの中核である原発の使用済み核燃料の再処理事業を、民間ではなく国が主体となって行うと決定した。核燃料サイクルは原爆の材料となるプルトニウムを取り出すためのものだ。安倍政権は戦争法の強行制定と一体で核武装まで狙い、朝鮮半島や中東での戦争―核戦争さえもくろんでいるのだ。国会前・全国での戦争法反対の巨万の決起をさらに発展させ、安倍政権の核武装策動を絶対に許さず、戦争―核戦争を阻止しよう!

再処理事業が破綻の危機に

 使用済み核燃料の再処理事業はこれまで民間の日本原燃株式会社(本社、青森県六ケ所村)が実施主体となって行ってきた。そのため、日本原燃が倒産すれば再処理事業も破綻する不安定な状態に置かれていた。
 今回、経産省はこれを新たに創設する認可法人に移し、その法人が日本原燃に事業を委託する形にする。これによって認可法人は経産省の所管となり、経産省の許可なしに再処理事業から撤退できなくなる。
 日本原燃は、沖縄電力を除く9電力会社と日本原子力発電の出資で設立され、電力会社の毎年3千億円近くの負担で営業している。だが、原燃が建設中の六ケ所村の再処理工場は、着工から22年以上たつ今も完成していない。完成時期は22回も延期し、建設費は約7600億円から約2兆2千億円にふくらんだ。また来年4月の電力販売の全面自由化で、電力会社が「破綻することもありうる」(経産省幹部)。
 再処理事業はもはや立ち往生状態だ。この危機を打開するために、安倍政権は再処理事業を国の管理下に置くと決断したのだ。今回の決定は日帝・安倍が核武装に突き進むためのものだ。

原発の目的は原爆材料製造

 そもそも、歴代自民党政権が原発を推進してきたのは核武装のためだ。原発で使用した燃料を再処理し、これを高速増殖炉もんじゅで燃やせば、原爆の材料として最適な100%に近い高純度のプルトニウムが製造できる。また、信頼性や性能面では兵器級には劣るが、通常の原発でできた純度の低い70%程度のプルトニウムでも原爆の製造は可能と言われる。
 8月11日の川内原発再稼働と31日の再処理事業の国家管理決定、そして9月19日未明の戦争法強行採決の暴挙が、1カ月余りの間に連続したのはけっして偶然ではない。安倍政権による戦争法の制定と原発再稼働は一体だ。参院特別委で中谷防衛相が「安保法制で核兵器の輸送も可能」と語ったことは、自民党・安倍政権の核武装の意図を露骨に示している。
●核武装は日帝の一貫した意思だ
 戦後、日本の資本家階級と自民党政権は、日米安保同盟とともに原発政策を車の両輪として内外政策を進めてきた。それは以下の事実で明瞭だ。
 1954年3月2日、中曽根康弘を中心に保守3党が原子炉製造のための予算2億3500万円を国会に提出。4日の趣旨説明で「原子兵器をも理解し、またこれを使用する能力を持つことが先決問題」と言い切った。
 1957年5月14日、首相の岸信介(安倍の祖父)は記者会見で「自衛のための核兵器保有は許される」と、それが支配階級と政府中枢の意思であることを明言した。
 日帝が核武装のために具体的に動き出したのが60年代後半だ。1967年12月11日、首相の佐藤栄作は衆院予算委員会で「核を製造せず、持たない、持ち込みを許さない」と表明し、以後〝非核3原則〟を宣伝してまわった。だが佐藤はその裏で核武装のための布石を打っていった。その基本的考え方を打ち出したのが1969年に外務省が作成した極秘文書「わが国の外交政策大綱」だ。
 この文書は「当面核兵器は保有しない政策はとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(能力)は常に保持するとともに、これに対する掣肘(せいちゅう、干渉の意)を受けないように配慮する」と明記した。70年を前に、労働者学生人民の「ベトナム戦争反対!」「日帝の核武装を許すな!」の闘いがさらに拡大する勢いにおびえ、欺瞞(ぎまん)的な政策を選択したのだ。
 だがここで重大なことは、原爆用の高純度のプルトニウム製造と、原爆を搭載するミサイル製造の事業に具体的に着手したことだ。それが、動力炉・核燃料開発事業団(現在は日本原子力研究開発機構)を設立して再処理工場と高速増殖炉の技術開発をめざすようにしたことと、国家戦略でロケットの技術開発を行うために宇宙開発事業団を設立したことだ。
 また1969年2月には外務省官僚が箱根の旅館などで、日本と同じく第2次大戦の敗戦国である当時の西ドイツの高官と「秘密会議」を持ち、ともに核武装国になろうともちかけた(2010年10月3日、NHKスペシャルが報道)。だが、これは西ドイツが応じず頓挫(とんざ)した。
 これらの支配階級の意思を受け継いでいる中心人物が安倍だ。2002年5月、早稲田大学で行った講演で安倍(当時、官房副長官)は「核兵器の使用は違憲ではない」とまで言い放った。安倍が核武装と、その使用まで念頭に置いていることは明瞭だ。しかし、労働者人民は、そんなことは絶対に許さない!

自治体先頭に職場で闘おう

 原発の再稼働と核武装を許さず、戦争を阻止する道は、JRや自治体などを中心に労働組合や大学で団結をつくり出し、職場と大学キャンパスでストライキ―ゼネストを実現していく中にある。
 動労水戸の被曝労働拒否の闘いは原発で働く労働者や除染労働者と結びつき、再稼働を許さない自治体労働者の闘いに発展している。原発を動かしているのは、そこで働く労働者だ。原発労働者がストライキで闘えば原発を止められる。再稼働のための「避難計画」をつくったり、安定ヨウ素剤を配布したりするのは自治体労働者だ。自治体労働者がストライキで闘い、それらを拒否したら再稼働は不可能だ。動労水戸や高浜原発の地元で闘う自治体労働者のように労働組合の団結をつくりだし闘おう。
●労働組合の力で戦争は止められる
 労働者を動員しなかったら戦争もできない。2004〜06年の陸上自衛隊のイラク派兵(空自は08年まで)では、物資輸送や装備品の修理などを多数の日本企業の労働者や現地の労働者が担い、「総輸送力の99%を民間に依存していた」(陸自内部資料)。動労千葉がイラク戦争反対の72時間ストライキに立ち上がったように、JRを始めとした運輸関係の労働組合や関連企業の労働組合が戦争協力を拒否して闘えば戦争は不可能だ。
 日本共産党やシールズ指導部が言う「安保法制反対の闘いは個々の市民が立ち上がったことが重要だ」などという、労働組合や学生の団結を否定し解体する思想では勝利できない。労働者の団結とストライキ、国際連帯にこそ戦争を止める力がある。
 そのためにも、闘う労働組合の中心として動労総連合を全国に建設しよう。全国各地の国鉄集会を成功させよう。
 原発再稼働反対、安保法制反対の闘いに立ち上がった人は11月労働者集会に集まろう。その力で、すべての原発を廃炉にし、戦争を阻止しよう!
(北沢隆広)

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▼核燃料サイクル
「原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再び燃料として利用する仕組み」と説明されているが、それは労働者人民をあざむくための理屈。真の目的は、原爆の材料であるプルトニウムの製造。

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