朝鮮で全面戦争狙う「5015」

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週刊『前進』06頁(2699号05面05)(2015/09/28)


朝鮮で全面戦争狙う「5015」


 国会での戦争法の成立を受けて、ただちに朝鮮侵略戦争の準備が始まっている。韓国国防部は9月21日、「日本の安保関連11法案が参議院を通過し、自衛隊の集団的自衛権行使が法的に可能になった」とし、朝鮮半島有事における自衛隊の活動範囲などを議論する日米韓3カ国の「実務者協議」を来月中旬にも開催すると発表した。
 また22日には、韓国海軍のチョンホソプ参謀総長が「北朝鮮を抑止するために日本の自衛隊と協力する必要がある」と述べ、来年の米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」に自衛隊を参加させることをほのめかした。
 こうした動きの背景にあるのが、米韓両軍が新たに作成し、6月に調印した戦争計画=「作戦計画5015」である。

米軍が核兵器使い先制攻撃

 米韓はこれまで、朝鮮侵略戦争のための「作戦計画5027」や「同5029」などを作成してきたが、今回発覚した「5015」は、従来の作戦計画の単なる手直しではない。既存の作戦計画の内容を継承・統合した上で、新たに「局地挑発への対応計画」を盛り込み、南北間で局地的衝突が発生した時点でただちに北朝鮮の「指揮部(=ピョンヤン)」を総攻撃することを明記した。2010年11月に延坪島(ヨンピョンド)で発生した砲撃戦や、今年8月の軍事境界線上での衝突のような事態が起きた場合、ただちに米韓の側から北朝鮮中枢を攻撃するということだ。
 さらには北朝鮮の核やミサイル発射の兆候が見られた時点で、30分以内に核兵器などを総動員して先制攻撃する「状況に応じた抑止戦略」が盛り込まれた。韓国軍関係者はこれを「先制攻撃ではなく自衛権に基づく対応」だと強弁している。
 この他、韓国軍幹部は、北朝鮮が核兵器を使用する兆候が見られた場合に金正恩(キムジョンウン)ら北朝鮮指導部を暗殺する「斬首作戦」を立案したと発表した。
 いずれも従来の戦争計画よりはるかに迅速かつ積極的に北朝鮮を先制攻撃し、事態を全面戦争までエスカレートさせる恐るべき戦争計画だ。

日帝・自衛隊が戦争法で参戦

 10月の実務者協議では、自衛隊が韓国政府の同意のもと韓国に上陸して米軍の「後方支援」を行うケースのほか、韓国政府の同意なしに自衛隊が北朝鮮を直接攻撃することも協議されるとみられる。すでに安倍政権は「敵基地攻撃も法文上可能」(防衛大臣・中谷元)とし、給油なしで朝鮮半島まで戦闘行動を展開できる最新鋭戦闘機F―35の導入を決めた。
 「朝鮮有事への対処」と称して、米日帝は北朝鮮の体制転覆と、ゼネストに立ち上がる韓国・民主労総の革命的決起の鎮圧を狙い、帝国主義的な侵略戦争をやろうとしている。「5015」こそその具体的な戦争計画にほかならない。
 民主労総のゼネストと固く団結し、国際連帯と階級的労働運動で戦争をとめよう!
(水樹豊)
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